宮部みゆき 62 | ||
ペテロの葬列 |
宮部みゆきはいつの時代も僕にとって特別な作家だし、これからもそうだろう。だからこそ、本作を宮部作品の個人的ワースト1に認定したい。
杉村三郎シリーズ第3作に当たるが、前作『名もなき毒』には心底うんざりさせられたし、かなり辛辣な感想を書いた。しかし、本作と比較すればかわいいものだったのだ。年末・年始にかけてこんなもん読まされる身にもなってほしい…。
トラブルに魅入られた男、杉村三郎。今回は序盤からバスジャックに遭遇する。実は発売前からバスジャックと聞いてうんざりしていたが、バスジャック自体は発生から数時間、全体の1/3足らずで終結する。ここからが真のうんざりの始まりだった。
バスに居合わせた人質仲間(?)と、その後も連絡を取っていた杉村。こういう事件に巻き込まれたことがないのでわからないが、普通はさっさと忘れたいのではないか? ほら言わんこっちゃない、新たなトラブルに深入りすることになる。
バスジャック犯の正体や意図を探るうちに見えてくる構図。現在でも枚挙に暇がない。つまり、ありきたりな話である。心変わりしたのも勝手だが、そのために何て回りくどい手段を…。こんなもん、気持ちをわかってくれなんて無理だろうがっ!!!!!
もう一悶着あるであろうことは見え見えだったが…何だよそりゃあぁぁぁぁぁ!!!!! 意味わかんねえし!!!!! そんな奴ほっとけよっ!!!!! 僕なら絶対関わらない。関わってたまるか。ほっとけないのが杉村三郎たる所以なのだろうが…。
バスジャックの謎解きがメインだが、今回も家庭の話や職場のトラブルが用意されていますよ。しかし、つまらん男だな。全編の中ではおまけみたいなもんだと読み流していたが、最後の最後に本当の爆弾が用意されていたのでした。……………。
ここまでうんざりさせる手腕はある意味すごい。一応きれいにまとめて誤魔化そうとするんじゃないっ!!!!! 自業自得という面もあるが、杉村三郎の人生って一体何だったのだろう。さすがにこのシリーズも終わりか。『誰か』で完結していればよかったものを…。