戦車駆逐科という兵科は、第一次大戦で登場した戦車というものに対して、軍や師団といった高級組織が手当てするための、予備兵力としての機動対戦車砲兵と言った役目のために生み出された、歩兵でも戦車兵でもない、騎兵的な、でも騎兵じゃない兵科です。アメリカ陸軍はしがらみにとらわれることが比較的少ない軍隊で、柔軟に新しい兵科を創設しちゃったりするのですが、それは、逆に言うと第一次大戦後の軍縮の中で将校を失業させないように新しいポストを増やすための口実にしているともいえます。我が帝国陸軍は歩兵とか騎兵とか、創設以来の兵科閥にこだわって、軍縮下でのアメリカのような柔軟なポストの増やし方という姿勢は少なかったのは面白いところです。歩兵団とかいう変な組織は増やしてるけど・・・
タミヤのM10は、いままでのタミヤ的な料理の仕方からちょっと離れたおもしろいキットです。
車体は雑誌とかに寄稿してるようなプロのモデラーに嫌われる箱組で、砲塔は同様に左右分割という構成は、冒険的で好きです。
キットはこだわらなければあっという間に完成です。ぼくは夏休みに2日ちょっとで完成させました。
側面に付くグローサーラックは増加装甲ボルトのピッチが工夫されてるのでいろいろな位置に付け替え可能なのは楽しい。
設定はイタリア戦線。マーキング無い車両もあったみたい。(デカール貼りが面倒だったからじゃないよ・・・) タミヤのキットにはデフォルトで兵隊さんもついてくるのはとても素敵なことだと思います。
フィギュアの塗装指定が、ジャケットをダークイエローで塗れってなってたのも新鮮。
砲塔にいっぱいついてる小さい竿は雨の時テント張るためのもの。今回は可動にしませんでした。疲れてたんだよ・・・
この車両の車体の操縦手と副操縦手ハッチの開き方は、非常に面白いです。
斜め前に起き上がりながら動いて・・・
裏っかわが正面向く!
ただ斜めに軸を設定しているだけなのに・・・
直感的にわかりづらい開き方です。
グラマンの飛行機の主翼のたたみ方に近いものがあります。ドイツ人には見られない方向のこだわり方。
でもね、キットだと防盾が邪魔で砲塔前に向けた状態だとハッチ開かないのです・・・実車もそうなのか・・・それともデッサンに何か間違いがあるのか・・・き、きっと実車も開かないんだよね!きっと・・・
タミヤは細かいパーツは嫌いなようで、ペリスコープガードとか再現されてませんし、ペリスコープ挿した状態なのにハッチの上からはペリスコープが出てないというのはあまりにあれなんで、ペリスコープが出た状態を、ペリスコープ上部とかペリスコープのフタとか自作して再現して、ペリスコープガードはアスカモデルから出るって聞いてたけど待てないんで、20年ほど昔買ったドラゴンのパーシングから拝借。アスカから出たら返すからね、パーシングさん・・・
ペリスコープには淡白だけど戦闘室後部の洗桿はちゃんと再現されてて素敵。
砲塔内部の見えない位置にあるトミーガンとかもちゃんと再現されてて素敵!
主砲両側に俯仰ハンドルがあるのは、間接射撃する際に、砲塔右側の間接照準器で車長が照準するので車掌が操作できるように。旋回は砲手のままですな・・即応弾6発じゃ、砲兵代わりの任務は力不足かな。
この3インチ砲はシャーマン戦車の3インチ砲とは別物で弾薬も互換性無いってほんと?
この砲の俯仰は、砲塔の天井板から降りてるスクリュージャッキで行うようですね。キット見るまで知らなかった。というか、天井板というペラペラの構造を使ったりして精度的に大丈夫なのかな?
砲塔クルーの座席は、フィギュア乗せない時用に可動にしてみました。キットに穴開けて真鍮線通しただけ。
アンテナは実車同様バネ部分にWAVEのバネ仕込んで折れ曲げれるようにしてみた。
防盾の直接照準器の蓋は可動に。右にも似たモールドがあるということは、そういうレイアウトも計画されてたのかな?
エンジンはトラック用のディーゼルを2つ並べたそうで、排気管は左右それぞれのエンジンから。2つにわかれたラジエータも再現されてるのは嬉しい。エンジンのコントロールは、2つのスロットルで同調させたのを一つのアクセルでって言うシステム。多少方っぽが遅れても速い方に合わせて無理やり引っ張るのでしょう。かたっぽ止まっちゃったら、さすがにクラッチで接続切れるらしい。
アメリカ軍おなじみの工兵工具プラス、キャタピラのテンション調整する工具はシャーマンシリーズの特徴ですね。
キャタピラは、キットのは素材的に信頼出来ないので、在庫していた、たぶんアカデミー製のベルトキャタピラを一コマ切って使用。切断部分は、0.5ミリとかのドリルで実物と同じに穴開けて、真鍮線で繋げば簡単確実です。ダブルピン式のキャタピラには結構使える技かも。
シャーマンと比べるとやや大きくてびっくり。
車体色はカーキにハルレッドにつや消し黒で作りました。カーキドラブと変わらない色になった・・・orz
兵隊さんはいい感じですが、砲手が照準してるのに装填手が装填しかけというのはいかがなものか?