このキットには「©1974」て刻印があります。
前回作ったチハよりも一年先輩なんですな。
ぼくが小学生の頃450円で買えた記憶。
タミヤのこのキットは、確かアバディーンの実車を取材して作られていて、説明書に白黒写真が載っています。
国内で訓練に使ったものを博物館入りさせたようで、ディーゼルエンジン搭載タイプだっていうので、模型誌とかネットで一般的じゃねえとか言われてたのをぼくも真に受けて、資料もないしで、小学生の時なんの疑問もなしに素組みして以来、ずっと作れなかったんですよ。
こんかい、ようやく作る気が起きたのでチャレンジです。
たぶん第1機甲師団所属の予備車両で、チュニジアでの初戦のボロ負け後に投入されて試練を乗り越えた個体という設定。
なんで星を黄色く塗ったんでしょうね。
例のごとく完成/アップしてから資料を発掘できました・・・orz
アメリカ軍がアフリカに上陸したときに、国籍マーク用の白色塗料が不足–––アメリカのくせに不足!–––してたので、一緒に黄色い塗料を送ってそれを塗ったからという、ろくでもない理由でした。ちゃんちゃん。
手を出さなかったもうひとつの理由に、キャタピラがどうしようもないという点があります。これはアカデミーが出したM3軽戦車のキャタピラで解決。起動輪もアカデミーのに変えればもう作動は快調。
ディーゼルエンジン装備個体であるという問題は、今やネットにある豊富な写真資料で簡単にガソリンエンジン仕様に改造できます。解決です。
もはや障壁はない。
ちなみに、ディーゼルエンジンバージョンは英連邦軍やアメリカ海兵隊では普通に使ってます。
味のある姿です。
子供の頃ハセガワのお馬さん付き1/72を作って以来、好きな戦車なのです。
全乗員用ハッチ可動で作りました。
ミニアートのとかもう高すぎて手が届かねえや・・・円安と、そうしちゃった政府と努力もなしでダンピング輸出に逃げようとした実業界を呪うよ。
可動部分を動画で上げてみました。手間取ってて笑えるw
このキット付属の戦車兵は、ちょっと大きい気もするけれど、ポーズが秀逸です。小学生の時以来ベストに入る印象のヒギャーです。他にも戦車兵の名作はいっぱいあって、パッと思いつくのは四号H型の車長、旧シェリダンの車長、旧四号駆逐戦車の車長とヤクトタイガーの通信手かな・・・
このヒギャーの服装はチュニジアっぽくないかも・・・
前面ハッチは、六角砲塔の頃に比べて複雑化してます。
メインのバイザーもなんかセミペリスコープ化してます。その脇のサブバイザーはドイツ戦車みたいなまばたき型の装甲蓋が付いてるので可動にしました。
八角砲塔からこの「馬蹄形(ホースシュータイプっつ~の?)」に変わって、一番変な改変がこの車長キューポラです。なんでこんな形に?
しかも当初は窓なしだったんで本当に意味わからない改良?です。
前回チハのことを悪し様に書きましたが、車長が砲手をやらないという乗員配置については、この戦車や38(t)やT-34-76よりも明らかにチハが優れています。
アメリカ軽戦車はルノーFTの流れで主砲が砲塔と独立して左右に振れるのですが、日仏が、砲手が直接自分の肩で砲を振り回す形式なのに対し、この戦車のは上下左右の調整をそれぞれのハンドルで操作します。
そして、この頃アメリカ戦車は上下に関してはジャイロスタビライザーを取り入れ始めるのですが、初期のジャイロスタビライザーは凝り過ぎで、ジャイロモーターが二軸あるという神経質なものだったのに加えて、この戦車は初期にはカルダン砲架にこのジャイロを装備したので不確定要素が多すぎてまともにコントロールできなかったと思われ、砲塔バスケットのついたM3A1やA3からはカルダン砲架といいつつ左右方向の微調整については、カルダン枠につけたネジで砲塔前面内壁につっぱって、動かなくしてしまったようです。新たに砲塔に砲耳を設けるより、既存のカルダンの左右を固定するほうが楽だったのでしょう。なので、M8装甲車も主砲は左右に微動とかはできないと思われます。
新しいタミヤのキットには車体後部の張り出し下にアミのパーツがあったので真似してみた。
この当時の戦車兵は、ドラグーン的な行動が求められていたようで、下車して車載機銃をこの三脚に装備して、重機関銃隊として活動するということが、当時の戦車兵の操典に書いてあります。
でもこのタミヤのキットは取材元の個体がなんにも装備してなかったらしく、三脚とかツルハシとか斧とかなんも付いてません。
なのでつけたよ。
三脚架はドイツや日本やイギリスのよりシンプルなので可動にしてみた。
縛り付けたからもう気軽に遊べないけども。
ちなみに、アカデミーのキットにはちゃんと三脚架はついてくるのですが、後ろ足を左右に広げて踏ん張るストラットの取り付けが左右逆だったりする・・・orz
工兵ツールをタミヤの新しいスチュワートほかから引っ張ってきた。
接着ぜず鉛のベルトで締め付けてあるだけなんで、その気になれば外して遊べます。
めんどいからもう外さないと思う。
機関室上面。
エアインテークの網をライブに。中身は作る気なかったので裏から黒いフェルトを張った。
アンテナはウエーブのバネでびよんびよんします。
説明書にアンテナの長さ8cmって書いてあったけども、この時期のアンテナなげえなたしかに。
無線機が途中で特性変わるんでしょうね。
この戦車の一大特徴の前面ひさしハッチ。
ルノー35とかと似てます。
八角砲塔タイプのシンプルなハッチから、なんか大仰な飾りがいっぱいついたので、可動にするのにあたって、裏側をらしく作るのがひと苦労でした。
操縦手の膝上ハッチは二つ折れになるのは、こうすることでヒンジとハッチ全体の重心との距離を近づけて少しでもハッチを開ける際の重さを軽くするためと思われ。
八角砲塔のタイプでは2つ折れにならないと思うのですが、どうでしょうか。
さて、前回チハのページで、このキットとかアカデミーのとか、寸法正しくね?といってしまったのですが、やっぱ正しくねえわ・・・orz
画像は左がアカデミーで、右が古いタミヤ。
ほぼそっくりですが、やっぱ全体のアウトラインはコピーで、細部だけ改良したんですかね。
八角砲塔は最近エアフィックスから再販されまして、でもキャタピラが連結式でベルト履帯が入ってないのであまり価値はないかも。
そして、車体上面のデッサンですが、どうも、機銃スポンソンが1〜2ミリほど前すぎるっぽい。なので操縦席横の平面部分がその分狭くなっちゃって、その面のリベットの数が破綻してますな。
でもって砲塔の直径は2ミリほど小さい・・・そこでデッサンが破綻して、後部も4ミリほど短くなってんじゃないかな・・・修正はフルスクラッチに近くなるでしょう。
実車取材してるのに砲塔が小さいってのは、地上から見上げたときの・・・そんなんどうでもいいんじゃぁ!くそったれ!
ごめんなさい!エアフィックスにもベルトキャタピラは入ってます!
連結履帯とどちらかを選べます!
アカデミーオリジナル版よりデラックスです!
ほんとうにごめんなさい!
後ろを伸ばすなんて無理なので、姑息的に、一番目立ってわかりやすい、操縦席脇のリベット数の破綻を救うことにします。砲塔直径とかは潔く諦める。
操縦席部分の屋根をプラバンで延長。ここで見た目砲塔が後ろに下がって見えてしまうので、砲塔リングは削り落とす。
もう一個のキットの車体上面を潰して、砲塔リングだけ削って持ってきて、2ミリほど前進した位置、もとの操縦席屋根前端と砲塔リングの位置関係に近いところに接着。
操縦席側面のパーツを前方に1.5ミリほど延長。
実車写真を見ながらリベットラインに穴を開けて、
1.2ミリだったか、0.8ミリだったかのプラ棒の先端をライターでぱっと炙ってキノコ型にしたリベットを植える。
ハッチをエッチングノコで切り取って、裏からハッチが車内に入っていかないためのシロをプラバンを張って削り出します。
実はこの写真は延長工作する前に、ただハッチを可動にしたときのもので、あとから操縦席側面の短さに我慢できなくなったんでこのあと一回引っ剥がして作り直してます。
前方銃のマウントをプラ棒から削り出し。
前方銃は潰したもう一個の対空機銃にボールを付けたもの。
銃身をボールの長さ分切って機関部との間にランナー削りだしのボールを挟んだよ。
この当時のタミヤのキットはスポンソン下が筒抜けなのは許しがたいので透明プラバンでふたして塗りつぶす。
砲塔リングが前進してるのも写ってますね。
ライトガードは、なんでエッチングメーカーのってのりしろなしの点付けなんだろう、くっつかねえよ!という理不尽さへの怒りから自作。
折り曲げ部には真鍮線をはんだ付けして植えてあるからほぼ取れない。
車体後部下のアミは、いつも雑に済ませてるぼくとしては珍しくちゃんと寸法を測って定規当ててカッターで切り抜いてます。
ファインモールドのひし形網ってすごく使える。感謝です。
ディーゼルとガソリンの違いは、エアクリーナーの配管が車体に入り込む位置だけなのです。
こんな感じで。車体側の穴はかまぼこ型ね。
アバディーンの展示車両にはなかったらしく、このキットには工兵工具はスコップしかついてないので、ツルハシや斧の取付部を追加。スコップの取っ手がハマる「Dの字」型の突起が面白いです。
雑具箱の留め金とかも付け申した。開かないけども。
あとリアパネルの取っ手とか牽引部とかも作り直しました。
今回最大の学び。
恥ずかしいことに、ツルハシの構造って、柄の下から頭を入れて楔とかなしで出来上がり!とか今まで知りませんでした。笑えよ・・・orz
砲塔の工作。ピストルポートは側面は砲塔にモールドなんで切り抜いて穴をプラバンで調整。
蓋はもう2個のキットの砲塔後部用を持ってきました・・・3キット使ったのよね・・・
ピストルポート周りの防弾用の境界盛り上がりはプラバンで。
主砲はジャンクのM8装甲車から持ってきた。
M8の37ミリ砲はM3のより砲身が長いらしいので切り詰めてます。
肩当ても付けてるけど写ってねえやw
ピストルポートはヒンジの設定はイマイチで、実物は水平まで開くんだけども、こんな半端位置っす・・・負けです・・・
このキットのもう一つのインチキは、この車長ハッチです。
たぶんアバディーンのは溶接で開かなくなってたんでしょう。なので前後2つのハッチのどちらが先に開くかは、推理になったのだと思われます。つまり、2つのハッチの間にあるかぶさり部分が前につくか後ろにつくかという・・・でもって、当時の写真だと後ろを閉じて前だけ開けて車長が身を乗り出してるのがあるので、前が先に開くんだろうなってことでキットでは前側にかぶさり部分がついてる。でも、実際は後ろが先に開くようです。なので後ろにかぶさり部分がついてます。
ハッチの裏には合成ゴムのヘッドパッドがつくのですが、色はこの色じゃなく、ダークグレイだと思う。
スライド式の信号ハッチは可動にしたんだけど写真撮り忘れたw
対空機銃はキットのものを加工して可動に。放熱筒の穴のモールドはそれっぽいので気にしない。
このキットのデカールはとても品質が良くて、クソ古いはずなのに分解もせず、貼り付けたときにクリアー部分とかがほぼ目立たなかった。
古いキットはそれなりに良心的なのだなって思いました。