戦後最大のベストセラー戦闘機、ミグ21の脚はシンプルな機体構造にマッチさせるために、めッちゃ複雑です。

わかりやすくするために、1)ふつうに前から見た解きの脚の動き、と、2)脚柱中心で見たときのリンクの動き、に分けて図解します。

例によって比例とかはメチャクチャです。機構の参考だと割りきってください。

1)前から見ると・・・

ふつうの油圧ジャッキによって、ななめ前に畳まれます。

図では翼が厚すぎたみたいで、油圧ジャッキのシリンダー部が欲内に収まっちゃってますが、ホントはかなり出てます。すいません。

図では表現していませんが、主脚折り畳みの回転軸は前方にむかって外向きに設定されています。

 

でもって、この飛行機の場合、スピットファイアみたいに主脚の回転軸に垂直方向の角度はつけていないので、脚カバーは主脚の回転軸と平行につくので、キットを作る場合はカバーを進行方向と平行にしてはいけません。

タイヤは折り畳みジャッキに固定されたレバーと連動する一連のリンクによって、折り畳まれる際も常に垂直に近い姿勢を維持します。そのまま主翼桁間を貫通する形で胴体に縦に収まります。

この、脚柱とタイヤの折れ曲がり軸は、主脚の回転軸に角度がついている影響を避けるため、回転軸と平行に設けられています。下図を見てください。

2)脚柱中心で見たときのリンクの動き

リンクの動きが見やすいように、脚柱を動かさずに油圧ジャッキ(機体)の方を回転させてみましょう。

リンクは、上から、油圧ジャッキに固定されて一緒に回転する小アーム(油圧ジャッキと同じ色で表示)、その回転を伝えるプッシュロッド(オレンジ)、ここから、ふたつに別れて、緩衝部のトルクリンクグループ(ピンクと赤)、下のひし形リンクグループへとつながり、三つの鎖状ロッドからなるタイヤ部分のリンクグループへとつながっています。

 

 

a). 緩衝部が伸びる

離陸後、緩衝部が自重から解放されて脚柱が伸びきると、図中左側に見えるトルクリンクグループが伸び切ります。すると、その右側のひし形リンクグループも伸び切って、両リンクグループからなるハシゴのような形ができます。トルクリンクグループは、これからの過程では一切動くことはありません。脚柱上のリンクのための回転軸の不動のポイントとなります。

右側のリンクグループは、先の「小アーム」からでている「プッシュロッド」と一直線になることで一本のプッシュロッドと化します。小さな三本の水色で示したアームは、この連合プッシュロッドの剛性を保つためのガイドとなるのです。

b)油圧ジャッキが縮んでゆくと・・・

油圧ジャッキが脚柱から見て、タイヤ側に回転してゆく形になります。

で、当然先の「小アーム」も一緒に回るので、小アームは「連合プッシュロッド」を押す形になり、押された「連合プッシュロッドはその先のタイヤ部分のリンクグループを押すことでタイヤを下向きに押し下げるのです。

ちなみに、この飛行機の脚カバーはかなり投げやりで、飛行姿勢ではかなり大きな隙間がそこらじゅうにできます。

この複雑なパズルみたいな機構は、もともとはドイツ人のアイデアのようです。

もどる 表紙へ
ミグ23の主脚