ぼくが小学5年くらいのころ買ってもらったパンツァー誌にこの戦車が紹介されていて、当時から軽戦車が大好きだったぼくはこれのプラモが出ないかな〜って思っていました。それから20年位経ったら、テクモッドとICMから出たんで喜んで買いましたが、小学生の頃のように買ったその日から資料も見ずに説明書通り作るとかできない、素直に作れない大人になっちゃってたんで、積んだままさらに年月が経ち、21世紀になってタスカから決定版ともいうべきこのキットが出てしまいました。
テクモッドの頃よりはましだけど、まだまだ全然資料の少ない車両であります。
この戦車は、二号クラスの軽戦車を更に快速化させて、乗員に無線手と砲手を増やし、車長のワークを軽減させた捜索車両として開発されたわけですが、開発に人手が回らずに登場が遅れ、クルスク戦で各機甲師団の捜索大隊規模でデビューするはずが、参加できたのは完成が間に合ったほんの一部という残念なことになってしまいました。
生産はきっちり100両で中止だそうな。その割に現存車が多いのは、軽武装の捜索隊任務であったということと、現存車が鹵獲されたフランス戦線は、見通しの悪い狭い戦場だったので、平らで広い東部戦線で、敵とつかず離れずぐらいの位置から敵情を探るために開発された、高速で悪路に強いけれど軽装甲の本車のような存在は、近接した不期遭遇戦になると戦車を捨てて逃げる以外どうしようもないというところにあったのではないでしょうか。
本車は2センチ機関砲プラス同軸機銃のみという軽武装を評論家から非難され、実際に当時でも心細がられたらしく、生産101両目からは60口径5センチ戦車砲を積む計画があったそうですが、捜索隊というものはガチの戦闘なんかすることより敵情を探って情報を持って帰ることが本筋なので、敵主力とガチで戦える装備を軽戦車にも!などと言い出すのは前線にいかないお偉いさんだけだったんではないでしょうか。戦後のドイツの捜索用車両も20ミリ機関砲装備を守り通しています。
子供の頃この斜めの一枚板による車体後部の構成を見てすごくかっこいいと思ったのを思い出しました。あっさりし過ぎな気もします。逆に、壊れやすいフェンダー後部泥除けの上にジャッキ台とかシャックルとか乗っけてるのは不安になります。作例じゃシャックル一個なくしたんで取付基部だけにしてみた・・・
増加装甲型っていうキットを買ったんだけれど、増加装甲型の部品は昔買ったノーマルのストックに適用しようと思います。
キットはデフォルトでサスペンションとホイール、砲塔後部ハッチとアンテナ基部が可動です。素晴らしい! ぼくはさらに車長ハッチと操縦手、無選手ハッチ、正面のバイザー2つと車体と砲塔のクラッペ3つと信号拳銃ハッチを可動にしてみました。砲手と車長のペリスコープ基部は回転可動させました。
操縦手と無選手のバイザー。まばたきできます。防弾ガラスはめたんだけど写ってないや・・・
砲塔右側面の砲手用クラッペ。防弾ガラスが小さすぎたようです・・・アームの都合でこうなった・・・
砲塔上面のペリスコープと信号ピストルハッチは可動にしました。信号拳銃ハッチは裏側のカンヌキのモールドがあるのがこだわってて、さすがタスカモデルです。
ところで、ジェリカン位置がこれだとペリスコープの視界が遮られてしまうと思うんだけれど、問題なかったのかな?ジェリカンはラックを自作したんで取り外しできます。ガソリン用のジェリカンに白線引いちゃったのは秘密です。
サスペンションはキットのまま組めば見事に可動するのですが、一番前と後ろは固定のショックアブソーバーのせいで可動しないので伸縮部のモールドのとこから切ってドリルでえぐってサスアームにピストン部を関節結合して可動にしてやったんですが写真撮り忘れた・・・
キットのサスの設定は柔らかすぎるようです。写真のように中間にプラバンを差し込んで、この位置でサスアームを瞬間接着剤で固定すると、ちょうどいい硬さになります。今回のようにキャタピラをフリウルに変えたりすると自重でこの設定でもやや柔らかいくらいです。
排気管は車内へ伸びてるのが上から見えるみたいなのでこんな感じに車内の分を付け足し。
でもけっきょく見えなかったよ・・・
砲塔のペリスコープ基部は、砲手用のはまだ内部をごまかせるからいいとして、車長のはハッチに仕込まねばなりません。キットのハッチパーツのペリスコープ基部を削り落として上側を削りこみ、ペリスコープ基部はプラバンを切り抜いて新造します。引っかかり部分として缶ビールの空き缶を丸く、ちょっと大きく切り抜いたのを基部の下に貼り、ハッチに乗せたらドーナツ状に切り抜いた薄いプラバンで作ったハッチ上部を乗せて接着します。
ハッチ内側の下の方には、ハッチを開けるときにハッチの重さをゼロにするためのバネと連動したリンクが付くんでこれも再現。実車ではリンク基部にレバーがついていて、これを力いっぱい押したり引いたりすることで車内から手を出さずにハッチを開閉できるようになっていますが、作例ではこのレバーの再現はパス。
写真じゃ見づらいけど、ペリスコープ基部右側には基部を回転させるための取っ手がついてるんで再現しました。一個上のハッチ裏側の写真には写ってます。ペリスコープ基部裏側とハッチ裏側の色は黒かタンクグレイのようです。小学生の時のパンツァー誌(1977年6月号)に車内のカラー写真乗ってた・・・発掘できたの完成後だったんだよ・・・orz
ハッチのヒンジは真鍮板のハンダ付けで新造。手すりは真鍮線で作り変えました。
特徴的なシュテルンアンテナは、キットのエッチングだと絶対壊しそうだったんで、0.3ミリのステンレスバネ線をハンダ付けして作り変えました。キット付属のエッチング曲げ治具を改造してハンダ付け治具を作ったらうまくいった。線を治具にセロテープで固定してハンダ付けというシンプルな方法です。
同じ装甲捜索車両であるsd.kfz.250/9と記念撮影。これらに加えて8輪重装甲車ってのも存在するドイツ軍の捜索車両のバリエーションは、プラモ作りの夢を広げてくれますが、経済的に考えるとやっぱり無駄すぎと思った。ただ、ルクスが一番ぬかるみに強そうではあります。
同じ頃デビューの同じような目的のイタリアのL6/40と。こっちも装甲車で間に合っちゃってたらしい・・・
元祖騎兵用軽戦車のはしりである我が九五式軽戦車と。無線機がないのは時代的にしょうがない?
というより我軍の騎兵はガチで突撃することしか考えてなかったんで・・・捜索にはおウマさんと装甲自動車をあてたようです。無線の代わりに伝令・・・
ルクスは無駄と書きましたが、偵察用の、軽快なそれなりの武装を持った軽戦車という発想と需要は戦後も生き残って、例えばこのスコーピオン/シミターのような商品が登場し、実際売れます。同じ任務に何種類も重複した装備を持ったりはしないだけ。
でもやっぱりルクスはカッコ可愛いので好きかも。
塗装は、フランスあたりにいたどこかの捜索隊の謎の1両という設定。