スウエーデンのかわいらしい練習機、サフィールの前脚です。

この飛行機、恐ろしいことに三つの脚の引き込みを一本のレバーで一度に行ないます。人力で。

Bf108などがラチェットによるポンプ運動の繰り返しで少しずつ入れるのに対し、この飛行機では、コックピットの、自動車でいうところのサイドブレーキの位置にある太いレバー(左図ではピンクで表示)を一回押し込むだけで済ませてしまうのです。ちなみにこのサイドバイサイドの操縦席の間にはレバーが2本並んでいて、右が脚、左がフラップで、どちらも掛け値なしの人力駆動です。

図では進行方向は左です。

図中ピンクで示したレバーを前に押し込むと、レバーに直結された変形滑車に結ばれたワイヤーの赤色で表示された側が引っ張られ、二つの滑車を経由して脚柱上部の回転軸の歯車を回転させると、前脚柱が二つ折れになって脚が引き込みます。ワイヤーの歯車にかかる部分だけチェーンとなっているのですが、図では省略しました。

引き込みを助けるために、上部脚柱回転軸にはカムとバネと三角の斜面を利用した機構が付いていますが、図では省略しています。機体側に付く円弧状のレールは、もしかしたら正円ではなく楕円で、これも引き込み時のバックアップに使われるのかもしれませんがよくわかりませんでした。

脚出しは重力に助けられます。ダウンロックとアップロックはどうもレバーつけねのロック機構で前後脚を共通に行なっているようです。

図でレバーにかかっている渦巻き状のものはレバースライド部の金属板のカバーで、これはぜんまいバネのように渦巻き部に巻き込まれ、レバーを押し込む助けになっているみたいです。プライバティアの側面ターレットの機銃のシールドと同じ仕組みです。エレールのキットは、この前脚の構造をかなり正確にとらえていたのでした。いままでキットを見るたびに謎だったんだけど。

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