PART8  かりそめの終焉(後編)  〜Last Tears

 

 このエッセイ始まって以来の、前後編仕様である。  それだけ、私のこのシナリオに対する想いが、強い事を表しているのかもしれない・・・・・・

 

 さて、前回の続きである。  キャスト達を殺さないための対策とは一体何なのか?  そろそろお気づきの方もいるかもしれない。  そう、イクスこそがそのためのギミックである。  イクスもDAEDALUSの創り出した、人型ナノマシン兵器である。  それを利用し、自らの体を媒体にし、ナノマシン・ウィルスを散布し、全ての人型ナノマシン兵器達の活動を停止させる。  それが、イクスに与えられた役目である。  そして、役目を果たした時、イクスという存在は、消滅する・・・・・・・・・

 

 このアイディア自体は、既にARMSでも出てきたものなので、イメージの湧かない人は、一度読んで見る事をお勧めする(第9巻に載っている)

 

 このため、イクスはこの場で、死ぬか殺されるしかないわけだが、ただ死なせるだけでは面白くない。  ところで、この時イクスと共にいたのは、小嶋ただ一人。  これは千載一遇のチャンスである。  ここで私は、神業≪電脳神≫をイクスに飛ばし、彼女を洗脳して、小嶋に襲いかからせた。

 私としては、小嶋が涙ながらにイクスを倒し、一時だけ正気に戻ったイクスが、彼に涙ながらに謝り、彼と共にいた幸せだった日々を懐かしみながら、砂のように彼女の体が崩れていき、それとほぼ同じ時間に、全ての人型ナノマシン兵器達が、イクスと同じ様に砂のように崩れていく・・・・・・・・・  という、美しいシチュエーションを期待していたのだが・・・・・・・・・

 ダイス目(N◎VAではトランプ)やプレイヤーの意志は、容易くシナリオ(予定調和)を崩壊させてしまう。  ・・・・・・イクスが強すぎた(爆)  小嶋、あっという間に視力を奪われ、口もきけなくなり、ついには耳まで聞こえなくなった。  ・・・・・・もう、戦えない(死)

 ・・・・・・仕方ないので、量産型に囲まれて大ピンチだったはずのTEAM2の登場を許可して、彼らにイクスを倒させてしまったのだった。  ちなみに、その時の彼らの一言、

「ストーカーにとり憑かれたストレスで、ついにAIが発狂したか!?」

 ・・・・・・・・・全然、違うッ・・・・・・とは言い切れん気がする(爆)

 

 そして、さらなる問題があることが発覚。  イクスの最期の言葉が小嶋に伝わらないッ!(爆)  仮に伝わっても、会話ができんッ!!(死)  どうしようか、私は途方に暮れてしまった・・・・・・・・・  苦肉の策として思いついたのが、小嶋の精神世界での会話だった。  科学的、物理的でないなんてツッコミはしないで頂きたい!  他に方法が本気で思いつかなかったんだから!!

 そして、精神世界での会話が始まった。  涙ながらにイクスは謝り、冷淡な態度をとっていたのは、お別れが辛くならない様にするためだったことなどを、小嶋に語った。  なぜ、イクスが自らの命を犠牲にしなければならなかったのか?  小嶋のその問いかけに、彼女はこう答えた。

「イクス達、ナノマシン兵器は人間達に害をもたらすだけの存在。  産まれて来ては、いけない存在だったんだよ!  だから、イクスと、弟や妹達の罪を、少しでも償いたくて・・・・・・・・・」

 ここで、私は意外な一言を聞く事となった。

「そんなことあるもんか! 産まれて来ていけなかった事なんてないよっ!!」

 私は、彼が第五話でイクスの事を、すっかり見捨てているものだとばかり思っていた。  まさか、ここで私(とイクス)の望んでいた言葉が聞けるとは思ってもみなかった。  この言葉を聞けた(あるいは言わせられた)だけでも、ルーラーをやってて良かったと、心底思った・・・・・・

 

 イクスの想いは、報われたのだ・・・・・・・・・

 

 今までで、最高のエンディングだった。  このまま、全てを終わらせておくべきだった。  しかし、時間はまだ残っていた。  そして、他のメンバーにGMをやる気は全く見られなかった。  仕方ないので、私は引き続きルーラーをやる事にした。  DAEDALUS社長、ブラック=マーキスは行方不明扱い(社長室にいたのは、ナノマシン兵器の一人で、ブラックの<カゲムシャ>)にしてあったので、続けるのは容易いはずであった。  そう、容易いとその時は信じていた・・・・・・・・・


今だから言える! Prof.Oの私的災厄レポート☆その8

 

 最期の悲しくも美しい別れを演出するためだけに、この回のシナリオを作ったと言っても過言ではない。  当時は、Lute氏やししょーの手によって、K○NONやら○IRにハメられた時期であったため、特にそういうシナリオをしてみたかったのだろうと思われる(爆)  嗚呼、ダメ人間万歳!(爆死)

 この試みは、小嶋くん(のプレイヤー)がいたからこそ、実現できたのだ。  ありがとう、小嶋くん!!  私は君の事を一生忘れない!!  何よりも、君にイクスを預けられて良かった―――――

 

 「終わり良ければ全て良し」という格言(?)があるが、私は当時、それを嫌と言うほど実感した。  この時点でGMを別の人間に譲るべきであった。  どれほどワガママな人間に思われても、自分の意志を貫き通すべきだった。  今更ながら、自分の人の良さと意志の弱さを嘆きたくなってしまうのだった・・・・・・