シーン26  暗躍(マスターシーン)

 

 ―――どことも知れない暗く広い部屋の中。 そして、そこに佇む人影。 顔は闇の中に沈み、よくわからない。

 ふと、どこからともなく足音が聞こえてきた。 それは闇の中の人物のほうに徐々に近づいて来た。 そして、その人物の直前で足音は止んだ。

 直後、涼やかな女性の声が聞こえてきた―――――

 

「よろしいでしょうか、オメガ様」 

「うむ。 何事か、”ゲシュペンスト”?」

「ケルバー西部地方が沈黙致しました・・・・・・」

 

レオ:沈黙致しましたって、どういう事!?〕

リサ:つまり、やられたって事〕

 

「という事は・・・<鋼の傭兵団>だったか? あの領域で活動していたのは・・・」

「はい。 恐らくは<聖痕者>にやられたと思われます」

「そうか・・・・・・報告、御苦労だった」

「いかが致しましょうか?」

「どうもこうもない。 放っておけ」

 

レオ:言うと思った(笑)〕

 

「奴の暴走は前々から目に余るものがあった。 良い薬だ・・・いや、死んでしまえば元も子もなかったな、クックックックッ・・・・・・ しかし、ゼノンを倒した聖痕者の事は気になるな。 ”ゲシュペンスト”、お前はそやつらの調査に向かえ」

「はっ、承知致しました、オメガ様」

 

 遠ざかっていく足音。 その場には先程と同じ沈黙と闇が戻って来た。 風すらそよがないはずの場所で、かすかに男の銀髪が揺れた―――――