2005.6.19
マイクロエースのC56は独特な形ですが、全体のスタイルを根本的に修正するのは難しいものです。
そこで、側面のプロポーションの改善に重点をおいてみました。あきらめる部分は潔くあきらめます。
基本的な部分は省略して書いています。工作の結果については責任を負いかねますことをご承知ください。刃物を使うので怪我をされませんように。
…しかし私自身、デザインナイフを2回も指先にぶっ刺しました。キャップをしようとするときが危ないのです。
[1] 実物の側面シルエットと模型を比較すると、ランボードより下はほぼOKですが、ランボードより上が約2mm高い(太い)ことがわかります。キャブもモーターを隠すように大きくなっています。 ボイラーの直径は手をつけませんが、下側を切り詰めますから、横から見れば一見細く見えることを期待しました。 |
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[2] まず前面を分解しました。デフの下側のランボードを片手で持ち、もう片手でボイラー下部のランボードを持って、左右にほどよい加減で力を加えていると、やがてバラバラになりました。 ハシゴ、放熱管などボイラー上のパーツも外しておきます。裏側の焼き止めされているところをナイフで平らにし、キリの先などで押すと外れます。接着されている部分もあるので、取れにくいときは裏からタミヤセメントなどを塗って柔らかくしてみます。放熱管は側面に止められています。 |
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[3] 切り刻む前に、左右のランボードの間隔をぴったり保持できるように、1.2mm厚プラ板で治具のようなものを作っておきました。 |
[4] ランボード上面の付け根に、横からデザインナイフを入れてズバッと切り取りました。材質が柔らかくて薄いので、1.2mmプラ板などに比べてもずっと簡単に切れます。 |
[5] ボイラー下側を約2mm切り取りました。ボイラー下側の垂直になっているあたりが目安です。 逆転機ロッドが下がってしまうので、削り取ってプラ板で付け直すことにしました。 |
[6] ランボードの切り口をきれいにし、作っておいた治具にセットします。 |
[7] ボイラーの切り口もきれいにし、ランボードにしっかり接着します。ここまではまっすぐ切ってつなぐだけです。 |
[8] 煙室扉がデッキに当たるようになるので、外周と扉を削って小さくします。外径は約10mmとしました。扉は細い彫刻刀を寝かせて削りました。 最初はKATOのC50の顔をコピーしようと思いましたが、それはそれで加工が必要なのでやめました。 |
[9] ボイラー前面の断面が「えら」が張ったように見えるので、切り込みを入れて少し内側に絞りました。 ボイラーを細くしていないので、このへんのつじつま合わせが必要です。 |
[10] どちらがよいかという選択の問題ですが、ここではモーターがはみ出すことは承知のうえで、キャブを切り詰めました。まず下側を2mm弱切り取りますが、切り取った部分は捨てずにおきます。 私は最後に屋根の後端を切り取りましたが、このあとすぐやったほうが楽のようです。 |
[11] 次にキャブ後端も切り取りますが、この部品も一部を切り取って再利用します。 窓の縦桟も切り取っておきました。 |
[12] 取っておいた切れ端で窓の後ろ側をふさぎました。なお切り取った縦桟は、窓ガラスの後ろ端を黒く塗って表現するだけとしました。 窓の上下位置が気になる場合は、プラ板を貼ったり反対側を削ったりして移動することもできます。 最初に切り取ったキャブ下の部品は、適当に切って裏側から貼り付けておきました。あまり内側に重ねすぎると、モーターの関係でキャブを取り付けられなくなります。 |
[13] 動力の上部、矢印で示した範囲を上から2ミリ削り、断面が半円形になるように削りました。分解してから削ります。車高下げの改造をしてきた方にはおなじみの作業です。 |
[14]安全弁がモーターに干渉するので、付近のボイラーを安全弁ごと切り取りました。 安全弁は矢印の位置2箇所に浅い穴を開けて固定しました。こんな野蛮なことをメーカーさんがするわけがありませんね。 穴を開けず、エポキシで接着のほうが安全かもしれません。 |
上は最初に考えたボツ案です。 |
あとは写真にありませんが、デフの上部を切り詰めてステーを0.3mmプラ板で作り、ダミーのライトを取り付け、ランボードやボイラー上のパーツを元通り取り付ければOKです。製品のナンバープレートは、似なくなる原因を作っているような気がして、市販のものに変更しました。
削り合わせだけなので限界もありますが、元の製品の面影を消すことはできたと思います。
プロポーションの改善が目的だったので、特にディテール工作はしていません。
のべ工作時間は8時間くらいでした。
加工していない製品の前面はこんな感じです。 |
こちらが加工したものです。つかみ棒の間隔は少し広くしてあります。 |
前が今回の加工、後ろがトレインショップ製品です。値段の違いは6倍近くあります。
客車の先頭に立たせてもシルエットの違和感はなくなりました。ワールド工芸のC57と重連させたかったのですが、速度が合わなくてそれは無理でした。