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子供の科学風のラジオを作る−6石スーパー・ラジオ

前回の2石レフ同様、「はじめてトランジスター回路を設計する本」(2002年版)に載っている、6石スーパーを組み立ててみました。
外観はいつもの名刺ケースに組み込んだポケットラジオとし、基板はあえてプリント配線ではなく、ユニバーサル基板を使ってみました。たぶんそんな配線では発振して使い物にならないに決まってる、くらいに考えて気楽に始めましたが、最終的にはちゃんと鳴りました。

回路

組み立てたのは本の99ページに載っている、「2.2.5 6石スーパーラジオ」で、P.104の回路図をもとに部品を集めて配線しました。
回路は中間周波2段増幅の標準的なもので(必ずと言ってよいほど発振する、とあります)、ダイオードAGCが設けられています。音質改善のためということで、低周波増幅回路に負帰還がかかっています。電力増幅はB級プッシュプルです。

部品

本には、「スーパー用のコイルは現在入手が困難なので製作はできません」とあります。入手難なのはOSC、IFT、スーパー用2連ポリバリコン、スーパー用バーアンテナですが、確かに全国的に見ても売られているお店は少ないです。シオヤ無線の店先にすべてが当たり前のようにあるのは、全国的に見ると例外中の例外でして…。ただし通販で扱っている店もいくつかありますから、地方でも部品を集めることは可能です。2000年頃に比べると、現在(2006年)のほうが、部品の入手性はむしろ改善しているように感じます。また、不要なトランジスタ・ラジオを分解する方法も結構おすすめです。500円くらいで中古のポケット・ラジオを買えば、スーパー用の2連ポリバリコンやバーアンテナも一度に入手できます。私は新品ですべて買い揃えてみましたが、数千円かかりました。

Tr1〜3は2SC2669-Oが例として挙げられていますが、私は2SC2669-Yを使いました。検波およびAGCのダイオードは1N60となっていますが、ラジオ用のゲルマニウム・ダイオードなら何でもよいので適当なものを使いました。また、電力増幅回路にある1SS193の代わりに、手元にあった1S1555を使いました。他にも1S2076A、1S1558、今なら1N4148など、使えるものがたくさんあると思います。

基板

「子供の科学のラジオ」の、奥澤氏の名刺ポケットラジオと同じ体裁で作れるかどうかの実験を兼ねていましたので、基板は横53mm×縦74mmとしました。プリント配線の6石スーパーは一度組んでみたので、今度はあえてユニバーサル基板で組んでみました。あまり感心しない配線かもしれませんが、一応鳴った姿のひとつとしてお示しします。

配線路 配線が終わった基板(表)
オレンジ色の線に沿って、部品のリード線を折り曲げてハンダ付けしています。一部点線になっているところは、トランスの外装板にて導通しているので結線はしていません。また、2箇所ある濃いピンク色の線は、ビニール線で結んでいます。 IFTやOSCには10mm角と7mm角がありますが、あえて10mm角を使っています。2個あるSTトランスも結構大きいのと、裏側に配線が何本も平行しているところがあり、部品のスペースに制約が大きいです。1つの穴に部品を2〜3個通しているところもあります。

線が込み合っているため、ひとつのサークルの上を2本の線がかすめてしまい、ショートの原因になるところが何箇所もあります。そういうところのサークルは、彫刻刀で削って銅箔をはがしてしまいました。表側も、部品のリード線が近くのトランスなどの金属部分に接触しそうなところがあるので、何箇所かに絶縁チューブをはめています。

10mm角のOSCやIFTを、このような2.54mmピッチ基板に差し込むには、穴を開け足すなど工夫がいりますが、無理に差し込むと「パキッ」と音がして足の付け根が割れ、さらに断線してしまうので無理は禁物です。私は新品でこれら4つのコイルを買いましたが、無頓着に基板に押し込んだところ、そのうち2個の足を折ってしまいました。

鳴らない(1)−トランスの配線ミス

電源を入れると、かすかにスピーカが「ポツッ」と鳴りますが、あとはシーンとしていて、発振すらしません。「サー」という音も聞こえません。
さてどうしようか、と思っていたところ、T2(ST−81)が異常加熱していることに気付き、調べたところ1次側・2次側を間違えていました(両方とも白と緑のリード線が出ているので)。すぐ直して加熱は収まりましたが、鳴らないことは同じです。
なお、ST−81の二次側の左右を入れ替えたところ、正帰還になって見事に大発振!ラジオが鳴らなくてもサイレンとしては使えそうです。でもそれは何か悲しい結末です。

鳴らない(2)−OSC、IFTの結線変更、鳴ったがすぐ不調

念のため、トランジスタ・ダイオードを1つずつ外し、壊れていないことを確かめましたが大丈夫です。ボリュームの端子に指を触れると、スピーカーから「ブーン」という低い音が聞こえてきます。どうも低周波側は作動しているようですが、高周波側が死んでいるようです。そこで、スーパーラジオの失敗でありがちな、局部発振回路が作動していない症状を疑いました。

OSCのピンの配置には、よく知られているように新旧の2種あります(本にもP.147に出ていますし、「子供の科学」でも何度か紹介されています)。これ自体は知っていたので事前に確かめていました。先ほどの基板の差し込みの際に新品のOSCを壊してしまったため、別の古い部品を調べて使っていましたが、どうもヘンなのです。新型でも旧型でもないようで、OSCと合わせてIFTの結線も変更しているうちに鳴り出しました。普通の1−2ピン間、2−3ピン間の抵抗を測るやり方では、新型と同じでしたので、区別がつきませんでした。

しかし、その後の調整中になぜかOSCを断線させてしまい、またも別な部品を使うことに…そして、コイルの配線もまたまた違っていまして一苦労しました。

ようやく成功

こうして成功しました。なお、「ピー」「ギャー」の異常発振は起きませんでした。私としてはそちらばかり警戒していたので意外でした。

感度は良いです。音質も暖かくてまあまあです。以前に組んだ、CHERRY社のキットCK-606の回路をもとにした「#17 6石スーパーラジオ ポケットラジオ版」と比べますと、#17よりも音量は小さめです。しかし#17はボリュームをちょっと上げただけで大音量になってしまうので、今回のラジオのほうがむしろ使いやすい感じです。鉄筋の建物の中でも十分です。

というわけでこの回路はちゃんと鳴ります。興味のある方、ぜひ試してみてください。


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