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まずは上廻りからです。
「ボディーつや消し仕上げ」とあるように、未塗装で組み立てることが想定されているので、そのようにします。 |
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ボディーは一体成型なので、バリさえ取れば基本は終わりです。 |
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最初の工程は、スカートをボディーに接着することです。 |
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スカートの接着位置ははっきりしないので、床板と一緒に組み合わせて位置を検討し、接着しました。 |
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パンタグラフはメッキされています。部品数は3点で、あっさりしています。 |
パンタグラフとライトを接着したら、これで上廻りは完成です。 |
ライトはただの大根切りですが、窓にはワイパーが付いているなど細かいところもあります。 |
動く鉄道プラ模型は、とにかく動力伝達関係に泣かされます。このキットはどんな感じでしょう。
組み立てはスイッチレバーから始めます。 |
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削り出した結果です。ほとんど素材から自分で削り出しているような感じです。 なお、当時もタミヤ製品などは顕著にバリが少なく、一段品質が上手に見えました。でもタミヤは鉄道プラ模型をほとんど出してくれませんでした。 |
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ここで最初の問題が発生。付属のモーターが、ほとんど回りません。軸が固まってしまっています。 …MADE IN TAIWAN と読めます。当時すでに製造は海外で行っていたのですね。 |
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やはり、コンミテーターとブラシが、古くなった油で固まっていました。綿棒にユニクリーナーを付けて油を取り除き、新しいシリコンオイルをさして、復活しました。 古い話です。約50年前、1964年の鉄道模型趣味誌にて、「コンミに油を差すのは有りか無しか」が話題になっていました。 |
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次の問題は、この干からびた謎の部品。 どうも、モーターとウォーム軸をつなぐゴム管であったようです。劣化してしまい、まったく使えません。 |
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床板にモーターを取り付け配線し、シャフトに買ってきたゴム管を差し込んでおきました。 なお、2本の乾電池の極性に関して説明がありません(電池を入れた図もない)。間違えると走らないのですが、それくらいの知識は常識としていたということでしょうか。 |
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動力台車のギヤフレームです。 なお、そのままではフレームやギヤボックスの折り曲げ精度が非常に低く(だいたい、空き缶を開いたブリキのような素材でぐにゃぐにゃですし)、びくとも回転しませんでした。ヤットコなどで曲げ直し、噛み合わせも調整しておきました。当時の鉄道プラ模型は、こういうところを必ず確認することが肝心です。 |
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車輪はプラ製ですが、駆動輪だけは粘着を増すためゴム製になっています。豪快にフランジも含めて丸ごとゴム製です。 でも、普通にプラ車輪にゴムベルトをはめる構造のほうが簡単確実に思えるのですが、どうなのでしょう。 |
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車輪を取り付けたところです。金属製のシャフトにハンマーで打ち込むことになっていますが、私は万力で圧入しました。 なお付属のレールの軌間は16.0mmでしたが、16.5mmのHO線路を使っても問題ありません。 |
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動力台車を木ネジで床板に止め、ゴム管でシャフトをつないだところです。こんな急角度になるとは思いませんでした。 しかし、発売当時に組み立てた同シリーズのED-70は、ちゃんと走った記憶があります。もしかしたら、もっと細くて柔らかいゴム管だったのかもしれません。 |
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そこで、Nゲージ製品にも使われているシリコンチューブに交換してみました。 |
モーターを直したり、ゴム管を買ったりと色々ありましたが、古い割にはうまくいきました。 |
やった、出来た!走らせて遊ぶプラ模型として、組み立ての分量もちょうどいいです。
付属のレールは少し脆く、何ヶ所か折れてしまったので、現在のアリイの鉄道プラ模型(C62?に付属していたもの)を敷設して走らせました。曲線半径は同じです。
ふらふらと速度変化しまして、とても安定走行とはいえませんが、ちゃんと走ります。脱線もしません。 動輪の粘着が貧弱なので、ほんのわずかな起伏でも空転して止まりそうになります。 しかし万一止まっても、車体がいつも左右にブルブル振動しているものですから、またグリップを取り戻して自動的に?動き出します。 レールさえきちんと水平に敷設できれば、意外にスルスルと周回を続けてくれます。 |
箱絵と比べてみましょう。
箱絵
完成
まあ…こんなものではないでしょうか。よい企画の商品かと思います。
アリイには、コストの制約が激烈な鉄道プラ模型を駆動するノウハウが、相当に蓄積されてきたものと思います。
1970年代までの鉄道プラ模型は、台枠・ギヤボックス等の精度や強度がとにかく貧弱であり、組み立てる側にも相応の経験を要求するものでした。
Nゲージ鉄道模型の中でどんなにチープな作りのものと比べても、鉄道プラ模型というのは圧倒的に貧弱な構造でした。厳しいコストを、それこそ「ユニークなアイデア」でカバーしていたものと思います。
しかし、最終的に当時の電動プラ模型で、走らなかったものはひとつもありません。あれは、走るものだったんですよ…!
当時このプラ模型を製造していた方々は、まさか何十年も経ってから、これで遊ぶ者がいるとは思わなかったかもしれません。でも、組み立てている私は楽しくて仕方ありませんでした。ありがとうございました。
本当はマイクロエースと改名せず、ずっとアリイのままであってほしかったのです。
さて、鉄道プラ模型はまだあります。いつかまた。
10年経って見てみたところ、いつの間にかシリコンチューブが裂けていました。
無茶な接続に耐えられませんでしたか…。
また、モーターも再びダメになっていました。
普段このプラ模型を動かすわけではありませんけども、とりあえずモーターを同型の安い新品に交換しました。
新しいシリコンチューブに交換する前に、試しに手持ちのユニバーサルジョイントを付けてみました。
→この急角度ではもちろん全然ダメ(笑)。まったく回転しません。
新しいシリコンチューブを買って付け替えました。
これで元通りといえば元通りですが、また裂けるかもしれないので、接続角度は少しでも緩和したいです。
モーターの後部を少し持ち上げ、角度をやや浅くしてみました。これ以上持ち上げるとモーターが天井につっかえるので、このへんで限界です。
オリジナルの機構を尊重して大きな改造は避けました。これは本当です。
走行動画です。ダウンロード:MP4形式(672KB)
たった3秒間なので見ていただくまでもありませんが、体を揺すりながら通り過ぎます。
これでも初回(10年前)に比べずいぶんスムーズになりました。大体一定速度でエンドレスを周回できます。
ジョイントの長さの調整が結構重要で、短すぎると駆動輪が浮き気味になって空転傾向が強まります。
台車が首を振るにもかかわらずモーターが固定されており、ジョイントの長さも固定ですから、カーブで台車が回転すると少し台車の端が引っ張り上げられて粘着が弱くなります。
微妙にジョイントを長めにしておくのがよいようで、長すぎると粘着は良くなるもののシリコンチューブに負荷がかかってねじれることがあります。
まさか、まだいじって遊ぶとは思いませんでした。ちょっとお金かけていますし(笑)。
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