Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>Nゲージのドックサイダーを拡大
2025.3.16
バックマン/トミーナインスケールのNゲージ模型を何となく3Dモデリングしたところ、電池モーターで走らせたくなってHO相当に拡大しました。
バックマンNゲージの初期からある、0-4-0Switcher 'Docksider'(Dockside)が原作です。
トミーからも「Bタイプ小型蒸気機関車」として発売されていたおなじみの模型です。私は実機をあまり知らず、バックマンの模型のデフォルメスタイルが頭にこびりついているため、この工作は実物の縮小ではなくバックマンの模型の拡大です。
最初はサイドロッドと合併テコが省略されたロットを採寸して3Dモデリングしました。
私の採寸能力と手持ちの道具では限界があり、目分量で寸法を決めたり、メートル法で切りのよい寸法で決めたところが多数あります。
ですので、大まかには合っていると思いますが、細部はかなり違います。古いので製品ごとにばらつきやゆがみもありますし、正直設計上の正しい寸法はわかりません。
最初期製品はフルワーキングのバルブギアでしたので、別途モデリングしておきました。あとで作る拡大版はこちらを使いました。
駆動方式は最初期もその次も同じで、ウォームから中ギヤに落とし、動輪の小ギヤに伝えています。
ギヤはモジュール0.4のようです。ウォームの採寸はよくわからないので、いつものギヤ作成サイト「Gear Model For 3D Printer」に数値を適当に打ち込んで、合いそうなものにしました。ただ実物のウォームはもっとエッジが鋭いです。
平ギヤは私のFusionの「作成」メニューにあった「FM Gears」を使いました。ほか、ユーティリティーのアドオンに「Spur Gear」というよく似た機能もありますよね。両者の関係がよくわかっていませんが…。
ちょっと余談です: この模型は実機に比べてキャブが前後に長いデザインが特徴的ですが、後部にはさらに小さな箱が出っ張っています。
これは初期の大きかったモーターの、後部のボスを逃がすための、模型的な増設ではないかなと思いますがどうでしょう。
なお写真の下はロッドの省略が始まってからのもので、モーターは一回り小さくなっています。が、後部ボスはやはりこの空間がないとギリギリな感じですかね。モーターが異なるため床板の形も違います。左が初期の大型モーター、右が一回り小型になったものです。小型版は底の左右に四角い穴が開いていますので外側からもわかります。
鉄道プラモデル的にFA-130モーターで動くものを作ろうと思い、とりあえずHOサイズで検討しました。
バックマンのNゲージのスタイルを活かしたいので、原作を1/160とみなして1.84倍し、「バックマンのドックサイダーのHO版」ということにしました。
単純にNゲージ版のモーターをFA-130モーターに置き換えてみたところです。ギヤ類も単純に拡大しているので、見慣れない半端なモジュールになっています。
電池は単5でも収まりそうにありません。この図は電池を直接置いていますが、実際には電池ボックスに入れるので、入らないと思います。単4も上の隙間にぎりぎり入りそうですが電池ボックスに入れると無理そうです。
モーターを斜めにして前方に置き、電池を後ろに置いたほうが収まりがよさそうです。これなら電池ボックスに入れてもぎりぎり行けそうです。よし、これにしよう。
その方法で部品を再構成しました。集電ブラシなど不要なパーツは外し、カプラーもベーカー型にしましたが、他は極力バックマンのオリジナルのスタイルを維持しました。
車輪の踏面はNゲージ版でもずいぶんと広く(線路際の構造物に乗り上げることも)、それを拡大したので幅3.6ミリほどもあります。ウエイトを積まなくても空転しないように、ゴムタイヤ装着を前提としました。フランジも超高く、ゴムタイヤを付けない状態では、KATOの線路で枕木に当たります。
3日かけて部品を光造形し、組み立てました。
機材は引き続きPhrozen Sonic Mini 4Kです。樹脂もいつものxUltrat Blackで、もう2年以上も入れっぱなしです。途中1度、FEPフィルム交換のため一時的に出した程度で、すぐ元に戻していますので代々引き継がれています。紫外線が少しでも当たるとアウトなので遮光は重要ですヨ。
一体造形の主台枠に中ギヤを組み込み、動輪に小ギヤとシャフトを圧入してはめ込みました。
軽く回っているようですが、3Dプリンターで作ったギヤは、表面が細かいガタガタになっていますから、目の細かい紙やすりが張られているようなものなんですよね…。なので、あとで問題になってくることがあります。
モーターに台とウォームを付け、電池ボックスとスイッチ接点に配線しました。FA-130モーターと赤・青のリード線が出てくるだけで、昭和の模型工作っぽい感じを覚えます。
電池ボックスは市販品を使いました。スイッチ接点は、2mmのハトメラグを曲げて使いました。手元にあって使えそうな部品を使っただけです。
ハトメラグの1つは床板の穴に上から差し込み、もう1つはスイッチレバーに下から差し込みました。スイッチレバーの支点はねじ止めしました。
なお写真のスイッチレバーは細すぎてこのあとハトメ部分から折れたので、もっとマッチョに形状変更して作り直しました。
シリンダーブロックを付けてからモーターを固定し、電池ボックスをはめ込みました。
回転テストしたところ、摩擦による伝達ロスで力が弱かったので、ウォームを磨いてグリスの力を借り、十分な力が出るようになりました。とはいえ1.5Vで減速も不十分ですからパワフルな模型というわけではありません。
バルブギヤはいったんフルワーキング版にしてみました。組み立ててみると色々と怪しかったのですが、動かすと特に問題はなさそうだったので、そのまま行きました。
ライトレンズは一回り大きいものしか手元になかったのですが、原作のレンズも出っ張って大きく見えるので、まあいいやということで。
(最初の写真を見ると、何となくわかっていただけるかも)
色々怪しいですけども、元のNゲージ模型の雰囲気は結構出たような気がします。一応のつじつまが合う程度には採寸できたということでしょうか。
10秒程度の走行動画です。ダウンロード:WEBM形式(1.82MB)
異様な高速になってしまい驚きました(笑)。しかし、案外よく走るのでけっこう楽しいです。
使っているレールはメルクリンです。後半で引いているのはメルクリンの基本セットに付属している貨車です。
左が今回のにせ拡大版、右がメルクリンのCタンクです。
ちょっと難点がありまして、電池交換の際にボディーが外しにくいんです。バルブギヤを付けると、安全に手をかけられるところがなく…。
これでも結構考えたのですが、今一つ考慮が足りなかったですね。まあ、今のところは面倒がらずにバルブギヤを外したほうがよさそうです。