2017年にリニューアルされていたB20 10号機が、2020年に再生産されたので、組み立ててみました。
梅小路保存機となると、何かと装飾が多くて仕上げが難しい印象があり、これまで気後れしていました。
B20のキットは、下廻りが洋白製になってから構造は変わっていないと思いますが、2015年以降はコアレスモーターに変更され、それまでよりスムーズになっています。
2020.6.27
この記事は、筆者自身による組み立て結果をただ晒したメモであり、組み立て方法ではありません。
実際の組み立て方法は製品付属の説明書にてご検討ください。
基本的には従来のB20と同じため、大雑把になぞっています。
途中の写真を使い回していますので、それぞれ余計なもの(あとで取り付けたパーツ)も写っています。
0. 車体の折り曲げ
前後の妻板や床板を付けるまで弱いので、取り扱い注意です。
最初にブリスターケースから取り出すときが一番怖いです。
1. 後部妻板(窓が付いているところ)
2. タンク後板
3. 前部妻板
似た形の部品がありますが、「梅Z」という名前の板を使います。
何だか強そうな名前です。
4. キャブ天窓
5. タンク前側を閉じました。
6〜9. 順にタンク上部の部品を固定しました。反対側も同様にしました。
10〜13. 車体外側の小部品を順に付けました。反対側も同様にしました。
14. 発電機
本来ボイラー脇に取り付ける形のパーツなので、下側を少し削って付けました。
15. 発電機排気管
適当に曲げたら下側が微妙に届かなくなり、色々ごまかしました。
これらはボイラーの固定後に付けるのが正解だと思いますが、そうすると発電機と配管の接合の際にコテを当てにくくなると思い、配管の破損リスクは考慮したうえで先に付けました。
0. ボイラー本体
多少の歪みを直しましたが、このあとさんざん曲げてしまいました。
1. ドーム
不幸にも側面後方に少しダレのような鋳造の乱れがありましたが、私の腕では修正するとかえって傷口を広げそうだったのでそのままにしました。鋳造品もエッチングも生き物ですワ(私の落としどころ)。
2. 煙室パーツをボイラーに固定。
下側の取り付け脚は、板厚程度を残して短くしておきました。
3. 安全弁
4. バックプレート
これに形を合わせてボイラーの後部をただ広げたため、何だかイビツな形になっています。このあと曲げ直し。
5. 通風管
これが砂撒管の下になります。
6〜7. 砂撒管
下側は適当なところで切って、ボイラー下部にハンダ付けしました。反対側も同様です。
1. 床板(下フレーム)
各部を折り曲げて固定しました。後部端梁やハシゴの一部は180度の折り重ねです。
2. 仮ブリッジはあとでキャブ・水槽に取り付けてから切り取りました。
1. 組み立てた床板を、キャブ・水槽の下部に固定。
2. 先端フレームを固定。
写真には、4の板(A-10)がすでに付いていますが、これを先に付けるとボイラーが付けられなくなります(少なくとも大変面倒になります)。
わかっていたはずで、取り付けずにいたのですが、なぜか写真を撮る段になって「あっ、忘れてた」などと思って付けてしまいました。→アホだ…。
なお、この部品には取り付け前にM1.2タップを立てておきます。
後部の2箇所の穴には下廻りをネジ留めするため、M1.4タップを立てました。
3. ボイラーを先端フレームとキャブ妻板に固定。
4. 先ほど間違えた板を(本来は)ここで固定。
5. 砂撒器ロッド
6〜7. シリンダーブロック
蒸気管の先端が煙室脇の穴に入るように曲げ直しました。
シリンダーブロックを先端フレームに差し込む取り付け足は、板の厚さ程度まで、ギリギリまで短くしておきました。これは説明書に記載があります。
シリンダーブロック内部はピストン棒が往復するので、内部に成型時の石膏やバリが出ていないか見て、必要ならヤスリで仕上げます。…が、すっかり忘れました。
1. ベースプレートを折り曲げて貼り合わせ。
2. カプラー台
M1.2タップを立ててから折り曲げ、ベースプレートに固定しました。
3. 車輪座(左右)
上部は直角に折り曲げました。軸受け部分の板は2枚重ねにして、ハンダ流し穴と下部断面からハンダを流して貼り合わせました。
要所のネジ穴にM1.4タップを立てました。
4. エキセントリックロッドの通る穴を直角に曲げました。
5. リターンクランクを貼り重ねました。
逆転軸部分には0.3mm真鍮線が付属しているので一応付けましたが、付けなくても外観に大差はないと思います。
6. ギヤ座(E-1)
ギヤの取り付け時に重ねればよいのですが、小さくて洗浄時になくしそうだったので、ここでハンダ付けしておきました。
7. スライドバー取り付け座
似た形の部品がありますが、Z1-4・Z1-5を使います。
上部は直角に折り曲げ、M1.4タップを立てました。
8. スライドバー
よく磨いてしっかりハンダ付けしました。
9. 装飾用解放テコ
薄いステンレス製のものが付属しています。
一応使ってみることにし、2つ折りにして貼り合わせておきました。
ただ、表現が大変薄いため、これを使うと立体感に乏しくなったような気もしました。
塗装するパーツを全部並べ、漏れがないように点検しています。
下廻りのベースプレートは普段は塗りませんが、説明書を見ると塗るようなことも書かれているので、通電部分だけマスキングして塗ってみました。
一番右の金属板は白線パーツです。保存機の時期に応じて複数のパーツがあります。
基本塗装は、アクリジョンのブラック:つや消しブラック=6:4ぐらいに調合して塗りました。といっても気持ちだけで正確な計量はしていません。
通電部分などは塗装前にマスキングしておきました。忘れていたところは磨き出しました。
1. 加減リンク(左右)
2. スライドバー(左右)
3. ベースプレートの端子…あとで真上に折り曲げます。
4. 右車輪座の端子
5. ギヤ座(E-1)表面
一応、ギヤを取り付ける面の塗装を剥がして磨いておきました。
あとで塗膜がさらに収縮したりして、ギヤのネジが緩むと嫌だったからです。
左の車輪座にギヤを取り付けました。
6. ギヤ座(E-1)
私は塗装前にハンダ付けしていました。
7. 小ギヤ
小ギヤ軸の平らな面にバリがあると、大ギヤがひっかかるので、ヤスっておきました。
小ギヤに小ギヤ軸を通し、M1.4×2ネジで取り付けました。
8. 大ギヤ
大ギヤに大ギヤ軸を通し、M1.4×3ネジで取り付けました。
ギヤは軽く回るはずなので、そうなっていなければ、ネジを外してどこかに変な出っ張りやバリがないか、ギヤの裏表やギヤ軸を間違えていないか点検のうえ、やり直しです。
9. ギヤを取り付けた左の車輪座をベースプレートの下から当て、M1.4×2でネジ留め。
10(次の写真). 右の車輪座は、間に絶縁ワッシャーを挟んでベースプレートに重ねます。
11. 絶縁ブッシュ
12. M1.4×2ネジで右の車輪座を留めました。
右の車輪座は、絶縁ワッシャーと絶縁ブッシュによって、ベースプレートから完全に絶縁されていなくてはなりません。
(10. 絶縁ワッシャー)
13. 軸穴
Φ2.5mmリーマーで軸穴をさらって塗料をはがしました。
この模型はあとで動輪を外せないので、なるべく丁寧に整えました。
軸穴を整える道具は、Φ2.5mmヤスリだったりリーマーだったりと、いつも適当ですが、私の工作の範疇では両者で走行性能に違いは出ないとの認識です。
動輪を取り付ける前に、軸穴を綿棒とクリーナーで入念に清掃しておきました。
1. ギヤ軸を軸受けに置きました。
2. 左右車輪座の外側から、ワッシャー(E-2)を入れました。
3. ギヤが変な噛み込みを起こさないよう注意しながら、万力で動輪を圧入しました。
以後、動輪を外すことはできません。
とはいえ失敗したら何とか外すしかありませんが、動輪が大変小さく取り付け場所も狭いので、ギヤプーラーなどで動輪を外すことも難しいです。よく考えて工夫しませんと…。
4. モーター配線
黒リードは左の、白リードは右の端子にハンダ付けしました。
すぐそばに熱に弱いギヤがあるので、結構怖いです。
5. モーター取り付け
取り付け金具にも似たパーツがありますが、Z3を使用します。
6. ウォーム接着
少量のエポキシで接着しました。
ギヤの噛み合わせの調整のため、モーターの下に敷く薄板が付属していますが、今回は使わなくても大丈夫でした。
このへんで、一度上廻りを取り付けて試運転しています。ロッドを付ける前の、その状態が最上の走りのハズ…です。
ここで輪心を付けました。
7. 輪心の整形
ピン穴はバリのあった箇所のみ、0.5mmドリルで軽くさらいました。
中心の穴は1.4mmドリルで軽く広げました。
輪心周囲もヤスリでごく軽く削り、動輪に輪心がゆるく入るようにしました。
(あまり強くヤスると輪心が壊れてしまうのであった)
8. 輪心の接着
数か所にゴム系接着剤を付けて接着しました。
写真は左側ですが、右側は90度先行させて接着しました。
サイドロッドが省略されているため、前後の動輪の向きは多少ずれても走行には影響ないので、そこは簡単です。
9. 加減リンクを直角に折り曲げ。
10. スライドバーを改めて磨いておきました。
11. スライドバーをM1.4×1.5ネジで固定。
このネジと、カプラーを止めるM1.2ネジは、他のネジとは別の袋に入っています。
反対側も同様にしました。
12. メインロッド
説明書に従い軽く曲げましたが、その程度はごくわずかです。
13. クロスヘッド
ピストン棒も磨いておきました。
14. リターンクランク
動輪ごとピンセットで挟み込むようにして、にゅっと差し込みました。
片側のピンは若干長めだったので、わずかに切り詰めました。
走行をチェックしてから反対側も取り付けました。
調整らしい調整は特に必要ありませんでしたが、ピストン棒の先端が外側に寄ると、シリンダーの内壁に接触して動きが悪くなるので、角度に注意です。
ボイラーバンドの塗装をはがして地色を出すため、彫刻刀を研いでおきました。
調子に乗って4本も研いでしまいました(笑)。
幅1.5mmの平刀で、普段ははみ出したハンダを削り取るキサゲとして使っています。
模型店には他に現代的で頼もしそうな平刀ツールが色々ありますが、すぐフラックスで錆びたりして意外とヤワなものが多く、これらの平刀が一番長く役に立ってくれています。
金色部分です(一部省略)。
安全弁と汽笛は塗装、ボイラーバンドや札差し、シリンダーブロックは彫刻刀やデザインナイフで塗料をはがしました。
煙突の金帯は私の腕ではどうにもならず、マスキングテープを金色に塗って細く切り、ぐるっと巻きました。そのあと半光沢クリアーを筆塗りして保護しました。
今見ても、いかにも努力不足な感じですが、煙突の直径は2mm程度なので、細かいんですヨほんと…。
白線は、付属パーツを白っぽいグレーに塗って貼りました。
厚みを隠すため、白線の断面は黒に塗りました。
プレート類は赤く塗ってフチを磨き出し、貼りました。
No.2001マグネ・マティックカプラー(短)を組み立て、前後に取り付けました。
このあと、水槽内へのウエイトの取り付けと、後部の装飾用解放テコの接着を行っています。
あっちこっち曲がっていますけど何とかできまして、走らせて遊べるものになりました。全長は端梁間で4センチ程度です。
B20の組み立ては5年ぶりです。のべ組み立て時間は約24時間と、前回の3倍ほどかかっていました。
時間をかけても大して仕上がりが良くならなかった点は要チェックです。
B20はもともと本線を走る機関車ではなく(例外はアリ)、自分のレイアウトでもほとんど動くことはありませんが、動けないのと動かないのは気持ちのうえで結構違います。
ちゃんと走れる構造でキット化されているのは嬉しいです。
ちなみに手前はやえもんデザインのD52、向こうはKATOのC59です。