Nゲージ蒸気機関車2015年のメモ>2015.11.8

B20 火の粉止付(ワールド工芸 Rev.2)

ワールド工芸が継続的に発売しているB20シリーズです。「火の粉止付」のリニューアル品です。
構造は前回リニューアルされた1号機と同じですが、モーターがコアレスモーターに変更されました。価格は2,000円アップした程度なので、コアレスモーターも安くなったのだなぁと思います。

2015.11.8


上廻りの構造は初代からほとんど変わっていないと思います。
キャブ〜サイドタンクを構成する車体が曲げ済みであり、前後の妻板との合いもよく助かります。
もちろん鉛筆より細いボイラーも曲げ済みです。

水性塗料による塗装

今回もアクリジョン(ブラック+つや消しブラック)に、7月発売のエアブラシ用うすめ液を使って塗ってみました。
使いやすくなった部分もあるのだと思いますが、難しくなったところ(というか、練習し直し)もあり、うすめ液を代えただけで簡単にきれいに塗れるものではないようです。
垂れない程度の濃度にすると、表面が平滑になりにくいのは同じのように感じました。

塗装後

塗装数時間後
表面が荒れ放題です。真面目にやれと言われそうですが(笑)。これはラッカー塗装なら大失敗で、すぐシンナーに漬けてやり直したくなるレベルかと。
水性のため塗料の粒滴の表面張力が強いこともあり、どうしてもラッカーのように平滑に表面が濡れてくれません。薄めると弾かれるか流れ出すかです。それで細かい粒を薄く噴射して粒状感を抑えたいのですが、そうするとすぐエアブラシが詰まってしまいます。

塗装2日目

塗装の2日後
ただ、この惨状に耐えて乾燥が進むと、デコボコが抑えられて結構マシになります。 これぐらいなら、ラッカーでいえばイマイチレベルなので何とか実用になるかと思います。ラッカーに比べ結果が見えるまでに相当日数がかかるので、失敗したと思っても何日かは様子を見たほうがよいかと思います。どうせ、最終的にだめならやり直しが必要ですし。

また、この塗料・この色の場合、最後まで自然乾燥するより、早いうちにドライヤーなどで強制乾燥して平滑にしてしまったほうが、最終的な結果がよいように感じました。このへんは色の種類や光沢の種類によって違いがあるかと思います。

長年使い慣れた溶剤系塗料から、水性塗料に切り替えて3年になります。シンナーの臭いがしないという絶大なメリットがありますが(必要だったのはまさにそこ)、塗りやすさや仕上がりの面では特にメリットはないように思います。シンナーを使うことに問題がない環境ならば、そのまま溶剤系塗料を使ったでしょう。
ただ、水性塗料は湿度が高いときに塗ってもかぶりにくいような気がします。雨が降っていても平気で室内塗りできたりするので、時間が十分作れない場合は、それも大きいメリットかも。

塗装終了

乾燥したところです。車体は基本色の黒以外、安全弁に面相筆で金を塗ったのみです。
ナンバープレートは銀色の洋白製なので、黒塗装のあとフチと文字を磨き出してから、クレオスのプライマー(「改」の付かない旧製品)を筆塗りしてクリアーイエローを軽く塗りました。

下廻りの組み立て

下廻りは前回の改良品(2012年のB20 1号機III)とほとんど同じです。前回書かなかったのでちょっと書いてみました。

ギヤの取り付け

ギヤをネジ留めした車輪座を、ベースプレートにネジ留めしたところです。

左右の車輪座は、なるべく車体の内側に寄せて固定したほうがよいようです。外側に寄っていると、車輪のスペーサーに当たって回転しなくなることがあるようです(塗膜の厚さにもよる)。

軸受けの穴はヤスリやリーマーで整え、塗料を落としておきます。

左右に張り出している加減リンク部は、車輪圧入後に折り曲げることになっている箇所です。誤って先に曲げていても何とかなるので、無理に曲げ戻さないほうがよいと思います。圧入の際、万力の端のほうを使ったり、車輪と万力の間に何かブロックを挟んだりという手間はいります。

車輪の圧入

駆動軸を軸受けに置き、車輪座の外側からスペーサー(ワッシャー)と車輪をはめ込み、万力で圧入しました。
軸の一方は、指だけですっと入ってしまったので、あとで表から瞬間接着剤を付けて固定しました。→でも接着すると、失敗してこじあけるはめになったときに困るんですよね…。

ベースプレートの側面断面は、一部がサイドタンク下部から見えるので、そこだけあとで黒に塗りました。

また説明書に従い、車輪座と車軸が接触するところに、微量のオイルをさしました。真鍮線の先にわずかにオイルを付けて、それを軸受けに接触させただけです。

モーターの取り付け

モーターとウォームギヤを取り付け、ギヤの噛み合わせを見ているところです。
幸いちょうど良い感じでしたが、深すぎる場合は付属の薄板をモーターの下に敷きます。

配線したら走らせてみます。このままでは軽すぎて集電がよくないので、ウェイトを入れた車体を仮置きしたりして様子をみます。

輪心の取り付け

輪心をはめ込み、位相を合わせてから中心部を少量の瞬間接着剤で留めました。

前後の車輪はギア連動のみで、サイドロッドは省略されているため、多少位置がずれても大丈夫です。
公式側は非公式側に比べて90度先行させます。

スライドバー、モーションプレートの取り付け

加減リンク部を折り曲げ、スライドバーをネジ留めしました。
スライドバーは塗装後に磨き出しました。クロスヘッドが引っかからないように上下や裏側も磨いておきます。

ロッドの取り付け

メインロッドを説明書のとおり内側にわずかに曲げてから、クロスヘッドをスライドバーに差し込みました。

エキセントリックロッドを加減リンクの穴に通し、リターンクランクのピンでメインロッドを第二動輪に取り付けました。ピン穴がゆるかったので、先端に少々ゴム系接着剤を付けて差し込みました。

うまく動かないときは、クロスヘッド廻りのほか、エキセントリックロッドと加減リンクの穴が強く当たっていることもあるので、加減リンクの位置を慎重に外側や内側に動かしたりして調整してみます。
反対側も取り付けて走行調整ができたら完成です。

前回品との違い

左が前回品(2012年のB20 1号機III)、右が今回のコアレスモーター機です。

モーター以外は同じですから、走りに大きな影響はないだろうと思っていたところ、走りの「感じ」には結構な違いがありました。従来のモーターでは、走行中どこからともなく「ショリショリ」「ジリジリ」という軽い振動系の音を感じることがありましたが、それがなくなりスルスル走る感じです。

もしかしたら従来は微妙な軸のフレや振動があり、横置きのモーターを通じて床や車輪に上下動として伝わっていたのかもしれませんね。まるでピントはずれの見解かもしれませんけど。
もともと横置きのモーターは縦置きに比べ、回転に伴う振動が車輪やレールに伝わりやすく、騒音の原因になりやすいとの投稿記事を、はるか昔のTMS?(自信ナシ)で読んでことがあります。でも40年以上前の記事のような…。

なおパルス式のKC-1+KM-1に比べ、パワーパック・スタンダードのほうが、低速時には滑らかに加減速するように感じました。これも主観です。

完成

B20 8

それほど難しくないキットで、製作時間はのべ7〜8時間くらいでした。

B20 8

今は小型機の模型がたくさんあるので、大きさにはあまり驚かなくなりましたが、それでも炭水車ほどの大きさしかないマメタンクは小さいです。
ただ…レイアウトでいざ使おうとすると、それほど活躍する場面もなく(もともと構内用ですし)、いつも走行用というよりは飾り用になってしまいます。この大きさで自走する機関車の組み立てが体験できる、というところが面白いのだと思います。


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る