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B20タイプ(3Dプリンター)

3Dプリンターで出力したB20

2022.8.19

市販のBタンク用動力ユニットに車体をかぶせ、B20風のスタイルにしました。構造さえ決めてしまえばとてもあっさりできました。


構造を考える

雨宮タイプBタンク用

今年春にトーマモデルワークスより、楽しみにしていた雨宮タイプBタンク用動力ユニットが発売されました。

これを利用してすでにB20を製作された方もきっといらっしゃると思います。私も前からやりたかったのですけども、自分の頭では細いボイラーに動力を収める方法がすぐ考え付かなかったため、現実逃避して楽なC53などを先に作っていました。

動力との組み合わせ

青い部分がトーマモデルワークスの動力ユニット、赤い部分が製作するB20のボディーです。
モーターがはみ出すのなら、無理にカバーせずはみ出させておこうということにしました。マイクロエースの蒸機の車高下げと考えが同じです。

B20のボイラーは細いものの、幸いボイラー中心がモーターの中心軸より少し高いため、上半分だけ作ればごまかせそうに思えました。それにしてもギリギリです。

作図したB20

サイドタンクを消した図です。こんなふうに、ボイラー下半分にモーター受けをはみ出させます。

初めボイラーの高さのみスケールとし、幅をうんと太くデフォルメしてモーターに被せることも考えましたが、相当広げないと無理のためあきらめました。
何も考えずに1/150で作るほうがデザインが楽ですからね。

作図したB20の側面図

サイドタンクがあるために、真横から見るとモーターの大部分が隠れ、それほど見苦しさはなさそうです。

動輪のホイールベースやバルブギヤーは実際のB20とは異なりますし、極力動力部をそのまま使う方針のためにB20と完全同一ではありませんが、それを除けばシルエット上はB20にすることができます。

ランボード前側

図で赤く塗った、動力部の床板の前側をカットすればもう少しB20に近づきますが、ここはそのまま残しました。切りたくなったらいつでもできますし。ただ、蒸気管を通す丸穴は開けます。

シリンダーの幅が広いので蒸気管が蒸気室の真上に来ないため、そこがよく見えないようごまかす意味もあります。

造形と組み立て

パーツ構成

パーツ構成は、トーマモデルワークスの製品にならい、図のようにしました。
一体のボイラー、前端梁、キャブ内のギヤカバー、ナンバープレートの4パーツです。

後部カプラーはNo.2001です。いつもの短ではなく長を使いました。雨宮タイプBタンクよりも少し車体が後方に長くなるためです。

作図にいいかげんなところが多々ありますが(組み立て時に露呈しましたが)、それは私の力が足りなかったためです。

車体下側

車体裏側はこのようにしました。

前後の取り付けネジ穴3箇所にはあらかじめネジをモデリングしておいたので、組み立て時はタップ不要です。微妙にセルフ・タッピング気味にはなりましたが。

造形したパーツ

Phrozen Sonic Mini 4Kで造形しました。樹脂はxUltrat Blackです。私はたいていパーツを1個ずつ造形するのですが半日で終わりました。樹脂の使用量もほんの少しなので、何となくタダでできたような気分になります。

2次硬化時に歪みにくいよう構造を考えたうえで、造形時間も少し長めに取りました(ふだん4sのところ5s)。造形後、アルコール洗浄のあとざっとサポートを取り、車体内側にも紫外線がよく当たるようにして2次硬化させました。

写真で動力ユニットの前にある板は、床板に蒸気管を通す穴を開けるための治具です。丸穴が蒸気管の間隔に合わせて2個開けられています。

穴開け

治具を床板に合わせて穴を開けているところです。

最終的には上下を組み合わせやすくするため、少し前後に広げて長孔にしました。

完成

造形後は後加工が少ないのですぐできました。

にせB20

どうしても資料としては保存機のある1号機や10号機の情報量が多く、今回は1号機をおもに参考にしました。

前から

造形後の表面加工は何もしていません。

ナンバープレートも光造形です。方法はもう確立されているので(ただ光造形して塗るだけ)、さほど面倒ではなくなりました。

後ろから

乗降口下のステップは動力ユニット側にも付いていたため、そちらは最終的に削り取りました。よって動力部の加工は先ほどの穴あけと、ステップの削り取りの2つになりました。

シンプルに見える動力ユニットでも、私が微妙に採寸を間違えたりして、ネジ穴の位置など若干削り合わせたところもあります。ただ一番大切なボイラーとモーターの接触部が思ったよりぴったり合ったたため、大きな苦労はありませんでした。

B20タイプとC12

小さいC12が大きく見えます。

B20には空制がないので、列車を牽いてレイアウトの本線を走らせるにはあまり向かないかもしれませんね。そこは都合よく無視しています。


●作図にあたってのおもな参考書籍(書籍名のみ・一部)
・蒸気機関車スタイルブック(旧版・新版) 機芸出版社
・蒸気機関車形式写真集I タクト・ワン
・ほか(行き当たりばったりに色んな本を開いて、目に留まったら参照していまして、すぐ出て来ずすみません)

車体基本部分の外形はスタイルブックのトレースですが、各部の装備はおもに自分で撮った1号機・10号機の写真を参考に目分量で作図しました。

紙のB20と動力ユニット

車体をペーパーで作るのも面白いかと思います。

写真は以前ご紹介した、「切り抜く本 紙で作る日本の蒸気機関車」の型紙を1/150サイズに縮小したものです。ボイラーを切り取ってうまく被せられるかはわかりません。
B20はこの有名な本のトップバッターのため、日本で一番多く作られた紙の蒸気機関車のような気がします。


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