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1形(バグナル)・3Dプリンター

1形のボディとタクシー

2020.5.10

津川洋行から発売されている、超小型模型「有田鉄道コッペル1号機(簡易ロッド)」の上廻りを載せ換えて、1形風にしたものです。
あまり造形はうまくいきませんでしたが、予想以上に出力サイズが小さく、体験としては新しいものでした。
この写真のタクシーは、Nゲージ用です。


載せ換えを考える

コッペル1号機の動力

コッペルの上廻りを外したところです。この動力に新しい上廻りを作って載せ換えます。

実物の三面図がどこかに行ってしまったので(最後の出力を始めてから出てきた)、側面の外形は「1号機関車からC63まで」のイラストをトレースして使いました。
元の組み立て図とは細かい差異が出ているはずですが、何しろ小さいので違いも微小だろうと決めて先に進みました。

というのはデジタル製作なので、もしあとで気になれば、寸法を調整して再出力することなど簡単だからです。とても気楽にできます。

車幅を広げた上廻りを合わせてみる

3Dプリンターの肉厚や、私のデザイン力の不足から、縮尺は1/150ではなく1/140に決めました。以前190形を作ったときは1/120にしましたが、この機関車の小ささも表現したかったので、そこまでは大きくしませんでした。

動力ユニットの幅(おもにシリンダー部)が広いため、当初上廻りの幅をうんと広げて差を小さくするつもりでしたが、さすがに印象が違いすぎてやめました。
これでは、ちょーっとひどいです。

外観作成

下廻りに無理に合わせるのはやめ、実物写真を参考に、画面上で見た目を調整していきました。
幅の広い状態から微妙に狭めつつ、写真に印象を近づけていきましたが、最後の最後に出てきた図面と比べると、幅方向もほぼ1/140になっていてホッとしました。偶然ですがよかったです。

少々解釈の違いがあったのは砂箱の位置です。写真判定?で、水槽の内側に寄せて付けたのですが、実物はさらに内側にはみ出していました。その程度でしたので、やり直しはしていません。

キャブの内側形状

樹脂の肉厚のため、縮尺1/140でもキャブ内が小さく、モーター(モーター受けの部分)が収まりません。
3Dデータ上で試したうえ、前後の妻板をモーター受けの形に丸くえぐり、モーター受け側の切削は最小限にして入れ込むことにしました。

動力部の加工箇所

動力ユニットは、前のカプラーポケットとモーター受けの一部、そしてシリンダーブロックの上部のみ削りました。いずれもプラ部分です。
無加工ポン付けにしたかったのですが残念です。

3Dプリンターによる造形

そろそろ2年になるAnycubic Photonで造形しました。今年になってからFEPフィルムは一度も交換しておらず、レベリング調整も年初の1回行っただけです。毎回行うという方もいらっしゃいますが、私はその程度です…。
液晶パネルも半年に1度交換のはずが、まだ一度も交換したことがありません。

サポートの追加

いつもは斜めにして造形しますが、上廻りが一体でキャブ後部にも板があり、そこにサポートを付けたくなかったので、仕方なく水平造形しました。
この場合、サポート材はただ垂直に付ければいいので楽ですが、サポートが付く側の平面造形が特に雑になり、入り組んだ形状では積層の乱れが出やすいなど問題もたくさん起きます。

ただ、小さいので、それらもあまり大きく効いてこないのではと楽観視しました。甘かった(笑)。

プラットフォームが低い

造形中に、想像以上にモデルが小さいことがわかって焦りました。
というのは、造形終盤になっても、プラットフォームが樹脂バットのフチよりも上まで上がってきません。何か設定を間違えたかと思いました。
サポートを付けたモデルの高さが、この樹脂バットのフチよりも低く、2センチぐらいしかないんです。

初回の造形結果

造形終了しました。

これは ひどい

多少は心配しましたが、予想以上に床板がぐにゃぐにゃです。動輪が触れないように設けた逃げの凹みも、外側まで影響しています。

サポートの修正

床板ぐにゃぐにゃ現象は、斜め造形すれば起きにくくなりますが、今回はやりたくないので…。
小さいから大丈夫だろうと省略していた、サポート間のヒレを付け加えて、歪みを軽減することにしました。
動輪凹みもやめて床板フチの強度を確保しました。 ついでに、細すぎて強度的に問題があった部分を、多少太くしました。

1回目・2回目の結果比較

多少は良くなったかな…という程度でしょうね。変わっていないところもありますし。
まあ、いいでしょう(笑)。

感染症の流行中のご時世、色々なものが不足していますので、洗浄用アルコールはすべて廃アルコールで代用、ペーパータオルは新聞紙で代用しました。結構何とかなるものです。

メモ:Anycubic Black、t0.02、ボトム70s、通常層13s、室温24度C


完成

アクリジョンでつや消し黒に塗り、完成としました。

私が参考にした写真は、形式1が与えられる前の名無しの権兵衛だった時代のもので、そのつもりで作っていましたが、呼びにくいので「1形」と書いています。

完成

上下の収まりはあんまりよくありませんが、あまり追及せずにおきました。
キャブの手すりや屋根の支えは、銀色の0.3mm洋白線を差し込んでいます。

シリンダーブロックは裏の取り付けピンを1本だけ残してカットし、少し斜めにして接着しました。

完成(赤色バージョン)

1回目の失敗造形のほうも、多少別な塗りにして、着せ替え用にとっておきました。
こちらは端梁を赤にして、後部の手すりは金色の真鍮線にしました。

その後、動力ユニットのみ買い足して、こちらも完成させておきました。

完成(非公式側)
完成(後方)

後部のカプラーポケットは残してありますが、残念ながら落ち着いて何かを牽けるような走りではないので、今のところカプラーは付けていません。

縮尺1/140で作りましたがとても小さい機関車です。1/150で作ればもう2mmほど小さくなります。

K.S.KタイプCタンクとチビロコ

左がK.S.KタイプCタンク(トミー)、右がチビロコ(KATO)です。チビロコが大きく見えます。

1号機関車と

実物写真を見ても感じることですけども、乗務員が天井に頭をぶつけそうです。
手前はワールド工芸の1号機関車です。

走りのほうは、ただでさえ厳しかったものが、軽くなってより厳しくなるわけで、楽しく遊べるかというとそうではありません。
ただ、予想外に小さいものができたというのが面白く、それは最後の瞬間に味わうことになりました。もちろん、作ってよかったです。
(おわり)

●形を決めるまでの雑談が、下記のメモにあります。
津川洋行 有田鉄道コッペル1号機の載せ換え


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