Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>ボールドウィン9号・1240形
2023.11.23
2014年に金属キットとして発売された、ボールドウィン9号機のリニューアル品です。今回は「ボールドウィン9号」「国鉄1240形」の2商品が発売されました。
動力部は超スロー駆動の組み立て済み、上廻りは光造形と一新され、初心者には圧倒的に取り組みやすくなりました。
ちなみにNゲージの機関車のキットを初めて手にした方が一番驚かれるのは、おそらくパッケージの小ささではないかと思います。
#1331 ボールドウィン9号
組み立て済みの動力ユニット、一体造形の車体・フロント、カプラー類・ギヤカバーを含む小部品に、ネジ類が含まれます。
ボディーは細かい手すりや配管まで浮き出し状態で一体造形されています。これならできそうだから頑張ろう、と思わせますね。
#1361 国鉄1240形
同じ構成ですが、つかみ棒やバッファーを任意取り付けとするため、取り付け穴が小さくなっています。
この2つのキットの車体は一見区別がつかないかもしれませんが、1240形はキャブが木製のためキャブ側面にリベットがなく、側面に枠の表現が見えます。 また1240形は煙室扉の周囲にクリート(ツメ)が並んでおり、煙突キャップの形も異なります。ボイラー上にはベルの取り付け穴がありません。
左が今回のボールドウィン9号の動力ユニット、右が先に発売された日車35tCタンクの動力ユニットです。
ユニット全長は同じだと思いますが、ボールドウィン9号は動輪が小さくて軸距離が短く、床板やモーターの位置も少し低くなっています。
前から見たところです(左がボールドウィン9号)。結構違って見えますね。
キットには簡易カプラーも付属していますので、ほかに塗料と接着剤、必要に応じて両面テープを用意すれば完成はできます。
工具は切り離し用のナイフやニッパー、必要に応じてヤスリ、1.0mmドリル、1.4mmタップ等ですが、タップがないときはネジ切りをせずに全部両面テープや接着剤留めにする方法もあるかと思います。
組み立て説明書はPDFファイルです。スマホの場合は箱に印刷されている2次元バーコードを読み取りますが、PCの場合はURLを入力することになるかと思います。その際、URLはすべて小文字なので注意です。
1箇所、印刷の加減で小文字のiが大文字のIに見えたところがあり、そのように入力したらエラーになってしばらく悩みました。一度成功すると何かが記憶するのかリダイレクトするのか、適当に大文字を入力してもつながるようになりました。このへんは使用しているブラウザなどによっても異なるのかもしれません。
どう組み立てるかは自由かと思いますが、最初に説明書を読むのは省略しないほうがよいです。思わぬことが書かれていることもありますので。
車体は吊り下げ式光造形プリンターにて、おそらく斜め45度傾斜で造形されているものと思います。
従ってプラットホームからサポート材で接続されるのは、この写真で言えば上側に見える箇所が主になりますから、そのあたりをよく見てサポートを除去したり、ヤスリで整えたりします。
大変ありがたいことにほとんどのサポートは除去済です。これは今後も続いてほしいと願っているところ。屋根の後方などは細い柱状のサポートが、キャブやサイドタンクの下部は板状のサポートが接続されていたように見えます。
屋根の後部には点々とサポートの跡があるので、目立つようなら削り落としておきます。
私はナイフで軽く削る程度にしました。今回ヤスリはまったく使わず、すべてデザインナイフだけで処理しました。ヤスリと違って細かい粉が飛ぶことが少なく、それを洗い落とす手間も少ないので快適だったりです。
ナイフだけで済むようなものなら、ですが。
後部端梁の下部のサポート痕をナイフで削りました。
キャブ下やサイドタンク下は、基本はそのまま(メーカーで除去済のまま)で、ちょっと目立った部分のみ削りました。
一番怖いのが細い配管を支えていたサポートの残りでしたが、デザインナイフで軽く何度も擦っているうちに取ることができました。
反対側は試しにニッパーでパチンとやってみましたが、それでもOKでした。残った少々の跡はナイフでそっと削り落としました。
今回、ギヤケース側面はサポート増し増しになっていて驚きました。私も自分で光造形する際はサポートを非常にたくさん立てるのですが、ここまで密集させたことはなかったので…。
これはナイフで一直線にズバッと切り離しました。細いサポートなので簡単です。
ほか、シリンダー部にも後方を中心に細かいサポートの残りがあるので削り落とし、主要な部品のサポート除去はできました。
これらが一般のプラ模型でいえば、ランナーからの切り離しやゲート処理、バリ取りなどに相当するのでしょうか。
各部の取り付け穴に一応1.0mmドリルを通して塞がっていないか確認し(全部スカスカでした)、1.4mmタップを立ててネジを切りました。
割らないように慎重に…です。
ちなみに使ったナイフは普通のデザインナイフ(アートナイフ)、ネジ切りは1.4mmタップとピンバイスです。
シリンダー部は塗装後に固定するのが順当かと思いますが、ブレースを付け加えたかったため、先にネジ留めして一体化しました。
取り付けネジやネジ穴が近接していて、結構設計は微妙だったのかもしれませんね。
説明書では「お好みで」とされている煙室ブレースの取り付けです。好みなので付けました(笑)。
煙室側面に0.5mmドリルで穴を開け、手持ちの0.4mm真鍮線を曲げて差し込み接着しました。この時点では、あとでシリンダー部を外す必要が出てくるか不明だったため、上下ともゴム系接着剤で留めています→最後まで分離せずにすみました。
これで一応塗装前の準備は終えました。
全体をつや消し黒で塗装しました。とはいえディテールが引き立つように少しのツヤを入れました。
ボールドウィン9号(写真右)は明治村の保存機を意識し、端梁に赤、窓枠の一部に茶を入れました。
1240形(写真左)は、黒一色でアクセントでこげ茶を入れる程度にしました。何か国鉄1240形になってからは使われたことがなかったそうなので、それより前の4号機関車という感じにシフトしました。
このほか、安全弁やベル、ナンバープレートは別途塗装しています。
ボールドウィン9号
ボイラー上に安全弁とベル、前部にナンバープレートとつかみ棒・バッファー、後部にバッファーを接着しました。
そのほか付属はしていませんが、キャブ側面のナンバーや煙室横の丸い銘板(もちろん偽物)をアクセントとして接着しました。
ライトレンズは1.5mmのH-EYES3ミニを入れ、キャブ側面のみ窓ガラスを貼りました。
1240形
同様ですがベルはなく、つかみ棒は付けませんでした。バッファーは当初付けない予定でしたが気持ちが変わって結局付けました(穴の拡大が必要)。
ほか、あらかじめ作っておいたニセのネジ式連結器を前部に接着しました。最後に側面ガラスを貼っています。
カプラーは付属していますが、別途用意したNo.2001(s)の穴を1.5mmドリルで拡大し、キット付属の1.4mm×L4ネジで固定しました。
1240形は前部カプラーをダミーとしたため、後部にのみ付けました。
ギアカバーをモーターブラケットに付けました。説明書では両面テープで留めていますが、両面テープより接着剤のほうが近くにあったので(笑)、ゴム系接着剤で点付けしてしまいました。
説明書にもあるとおり前後位置がちょっとシビアでした。
上下合体して試走したところスムーズに走りましたが、車体が軽いため、アンカプラーを通過する際に後部マグネ・マティックカプラーのトリップピンが吸引され、一瞬前方が浮くことがありました。
重心を調整するため、サイドタンク前方に少々のウェイトを貼り付けました。
ほか、今回の製品はキャブ下にハシゴがないので、とりあえず余っていたC62のハシゴを車体裏側から貼り付けておきました。形はちょっと違いますが、ないよりいいかと思いまして…。
すぐ完成して走らせられるので、週末の工作などにはぴったりです。
初代製品も一部並べてみました。
#1331 ボールドウィン9号
(拡大写真)
今回の光造形キットです。超スロー動力でスムーズに走行し、樹脂製とはいえ結構な精密感があります。
下の初代製品よりも微妙に大きいですが、模型がそもそも小さいので見た目にそれほど違いはありません。
#0501 ボールドウィン9号機(初代製品)
(拡大写真)
金属キットだった初代製品です。この小ささで安定して自走するのが驚異的でした。スライドバーはちゃんと上下2本式でした。
ずいぶん前に売り切れてしまったため、ずっと探していた人もいらっしゃったのでは。
#1361 国鉄1240形
(拡大写真)
今回一緒に発売されたキットです。輸入当時を想定して塗装などで色々飾ってみると、また違った趣になるのではと思います。
…難しいので私は逃げました(笑)。
#1331 ボールドウィン9号
#1361 国鉄1240形
(まあ、特に国鉄1240形としては組み立てていないのですが)
#1331 ボールドウィン9号
#1361 国鉄1240形
#0501 ボールドウィン9号機(初代キット)
初代金属キットには後方のライトも付属しており、任意に取り付けができました。
今回のキットにも「前後ライトレンズは〜」のような表記があるので一瞬探しましたが、今回のキットに後部ライトは付属しないのが正解です。また1240形にはライトは付属しません。
今回のボールドウィン9号の車体ディテール。何も手を加えていないのですが立体感があり楽しい表現です。
この写真の幅が実物では3センチ程度ですから、そのままで十分な精密感があります。
手持ちの客車・貨車を適当に…。トーマモデルワークスの2軸客車と、津川洋行の2軸貨車です。
トーマモデルワークスの光造形シリーズがかなり充実してきましたね。材料が何であれ、「こんなに小さい機関車が安定して自走する」という点が同社製品の大きな魅力だと思います。
同じ光造形の構造は、B6のようにもっと大きい機関車にも適用できるのでしょうか。個人的にはちょっと楽しみでもありまして。