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C10(3Dプリンター)

3Dプリンターで出力したC10

2018.3.14

トミックスのC11 325の動力ユニットがあったので、上廻りをコンピューターで作って給水温め器付きのC10風にしました。
C10を作ったのは初めてです(童友社のプラ模型でしたら…)。あまり上手に形がつかめていませんが、構造についてご紹介します。

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データ作成と出力

C10はC11に比べるとキャブの裾が低く、後ろ半分がやや重たく見えますが、前方はデフがなく煙室が長いので、すらりとした軽快さも併せ持った機関車かと思います。
C11 325の動力ユニットを極力そのまま使うことにし、上廻りをそれに合わせてアレンジしました。しかし、結局はダイキャストの一部も削っています。

出力するデータ

出力は Projet 3500HDMax の Xtreme High Definition モードで行います。インクジェット式の光造形(アクリル最高精細)です。

なるべくサポート材に埋没しないよう、思い切ってボイラーを左右2分割にしました。基本的にはリベットの多い面を上向きにしています。

出力した部品

出力されたものです。積層方向は期待したとおりになっていました。ありがとうございました。
表側に見える部分にはほとんどサポート材の跡がありません。ただしこの3Dプリンター独特の、軽い木目か波目のような模様は付きます。

積層方法とサポート材の付き方

図の左(一体)が今までのボイラーの造形方法でした。今回は右のように90度変えてみたというものです。そのため左右に分割しました。一体のまま横倒しにすると片側が全部埋まります。

組み立て

動力部の分解

動力ユニットの後部は、C10の後部に収まらないので、ここはどうしても切削が必要です。
ふたを取って内部の基板を外しました。モーターのコネクターも外しました。

この基板には、モーターの始動をライト点灯よりも遅らせるための半固定抵抗がついていますが、私は使いませんので基板ごと撤去します。

モーターの配線

ダイキャスト部分の上部と周囲を少し削って、ボディに収まるようにしました。

ライトは使わないため、モーターの配線のみ行いました。ダイキャストの素材には直接ハンダ付けができません。ダイキャストに穴を開けて真鍮線を押し込み、その真鍮線にモーターのリード線をハンダ付けしました。

動力部の仮合わせ

車体が半分なので、動力部との合わせ具合の確認もしやすいです。

それでも、車体を一体化したあとに色々と不具合が見つかり、内側を無意味に削ったりして結構乱れてしまいました。この段階でもっとよく確認しておけばよかったです。また、フロントも合わせてみるべきでした。

この動力ユニットは不調機から外したもので、動きにむらがあり、先輪と第1動輪からはほとんど集電されていませんでした。ほぼ従台車だけの2軸集電です。

しかし、好調な動力を別に調達するほどの工作ではないので、迷わず余っていたこれを使いました。
幸い形状がシンプルなストレートなので、上廻りを合わせやすく簡単に作れます。

全体の組み立て(組み立て後)

全体の仮組みです。

一部は真鍮線や製品のパーツを使っています。細いパーツを3Dプリントで丈夫に作ることは難しいです。

つかみ棒は細いトミックスの付属パーツが便利です。C57には予備パーツが付いていたので、今までそれを使っていましたが、だんだん枯渇してきました。

平面部の後処理

最後に平面部の後処理を行いました。
リベットがたくさんあるので、幅2mm程度のマイナスドライバーの先に、細く切った耐水ペーパー(400番程度)を両面テープで貼り付け、図の赤い部分を1区画ずつ水研ぎしていきました。

1区画ごとの面積が小さいこともあり、全部終えるのにそれほど時間はかかりませんでした。30分程度だったでしょうか。あとは普段よりもツヤを消して塗装すれば、全体的に目立たなくなるだろうと考えました。

組み立てた様子

思った形にならなかったところが色々あり、見るのが辛い箇所もあるのですが、そこは受け止めまして晒します。
しかし1回目で一応全体はでき、組み立ても大体うまくいきました。

にせC10

ナンバーは8号機になっていますが、給水温め器が付いていた頃の数機の混合です。
写真をクリックすると拡大します(2枚だけ…)。多少、出力面の様子がわかりやすくなるかと思います。

にせC10

にせC10
ボイラー上部

給水温め器とボイラーは別パーツに分け、前方のシリンダー排気管は真鍮線にしました。
ハシゴは給水温め器に1/3ぐらい食い込んでいます。

ボイラー上部出力後

ボイラーは真横への積層のため、下半分がサポート材に埋もれることはなくなりました。左右に分割しておくのは手間がかかりましたが、メリットは大きかったと思います。

側タンクの斜めの部分に、細かい筋がたくさん入っているのが見えます。1層ごとの水平解像度に関係しているようです。解像度の低いコンピューターの画面に斜めの線を引くと、ドットのギザギザが見えるようなものかと思います。

ボイラー、ランボード、前面の表面処理は何も行っていません。3Dプリンターの出力のままです。

後部

リベット列はパターン機能で簡単に作りました。指定した直線上に、間隔または個数を指定して並べられます。

キャブ側面の下半分は比較的広い平面で、もともとリベットもほとんどないので、サンドベラで平滑にしやすいよう、細かいリベットや札差しは省略しました。札差しは、あとでエッチングパーツを接着することもできます。

後部出力後

ドライバーと耐水ペーパーで平滑化する際、リベット自体も少し削り込んでしまったところがありますが、平面部は概ね平らになりました。
つや消しなので目立ちにくいのもあります。つやを出したい場合は、もっと細かい番手で丁寧に処理しないとダメそうです。

前面

前面は煙室扉とフロントデッキ・端梁を一体にし、正面に向かって積層されるようにしました。

試しに排障器を付けました。うんと太くしました(厚さ0.8mm)。

前面出力後

左右の排障器をつないでいる仮ブリッジは最後に切り取る予定だったのですが、今のところ付けたままです。強度的な安心感のほうが勝りました。

まとめ

・平面部の後処理は、簡単なものであっても無駄ではない。
・ボイラーの左右2分割は効果がある。

…でした。

さて、気になるところを色々手直しして、次の出力を…と行くところですが、
特に優先度が高いわけではありませんので(不調の動力でもよしとしたぐらいですから)、いったんここで終わります。

今回のデータ入力の概略を次ページに書いてみました。


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