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C11 171(KATO)

C11 171とSL冬の湿原号

スケールを見直し完全リニューアルしてから7年目、特定機として初のバリエーション品となりました。
第一印象として大変よく似ており、走りも引き続き調子よく、丁寧に作られた模型だと思います。

2024.12.2


外観

前回の通常品などと並べてみます。
WEBの画面では、単独で置いても実感がなかなか伝わりにくいので…。

全体

KATO C11(#2021) KATO C11

KATO C11(#2021)
(拡大写真)

2017年4月に発売された、フルリニューアル製品(以下、通常品)です。同年には直前にトミックスからもC11 325(真岡)の発売がありました。

KATO C11 171(#2021-1) KATO C11 171

KATO C11 171(#2021-1)
(拡大写真)

KATO初の、C11の特定機となった今回の新製品です。その雰囲気の良さは見た瞬間に伝わりました。
「SL冬の湿原号」セットも同時発売されました。

マイクロエース C11 171(A7312) マイクロエース C11 171

マイクロエース C11 171(A7312)
(拡大写真)

マイクロエースは2000年と2011年にC11 171を発売しています。これは2011年の「SL函館大沼号」です。
マイクロエースはホントに何でも出しているんですって(笑)。

KATO C11 171(#2021-1) KATO C11 171

KATO C11 171(#2021-1)
(拡大写真)

KATO C11 171の非公式側です。これはヘッドマークを付けてみました。

KATOがC11より前に出したC12では、品番にいかにもバリエーション展開されそうな枝番が最初から付いていましたが、枝番のなかったC11のほうが先にバリエーション展開されましたね。
初回品が枝番付きでも長くバリエーション品が出てこないものには、他にC59があります(再生産すらされていないのであった)。

写真のマイクロエース製のC11 171は同社の171号機では二代目で、初代に比べればだいぶ特徴が追加されていますが、ベースは2次形のように見えます。

前面

この先はKATO製品です。今回の171号機も基本は通常品と同じですから、第一印象で「いいな」と感じた箇所を中心に拾います。

前面

前面全体の印象、Goodじゃないですかね。もともと通常品の完成度が高かったこともありますが。デフも薄型で前方裏側に斜めの削ぎ取りが見えません。

ナンバープレートを中心とした煙室扉の様子もよく似ていると感じました。実機は号機によってナンバープレートの大きさや位置が変わり、表情に個性が生まれるんですよね。
ナンバープレートは規格により、数字の「1」の数に応じて横幅が定められていますから(注:いくつかルールがある)、1が4つもあるC11 171は全体的に狭くなります。

実物に応じた表情まで再現できるのは、特定機の模型ならではです。

トレインマークはユーザーによる後付けで、「SL冬の湿原号」「すずらん」の2種・各前後が付属していますが、前面の取り付けは複数のパーツを取り外す必要があり、結構神経を使います。

大型手すり

KATOの最近の機関車は、前部解放テコとステップ・手すり(つかみ棒)が巧妙な1体パーツになっているものがあり、それがぐらついてつかみ棒が傾いてしまうことがあります。しかしC11 171の場合、大型手すりは独立パーツであり、デッキに上から差し込まれています。ぐらつきがなくきちんとした外観です。

トレインマーク取り付けの際には、この手すりも一時的に外すよう書かれています。誤って破損したり、飛ばして紛失したりしないように注意が要ります。分売パーツはないので修理対応になりますヨ。

前方から全体

全高3センチに満たない模型ですが、拡大しても破綻せず実物らしさを感じさせるのはすごいと思います。

ナンバープレートや手すり・解放テコなどディテールパーツのすべては取り付け済みですから、トレインマークが不要な場合は完全なレディ・トゥ・ランとなっています。ケースから取り出して線路に乗せ、客車を連結するだけですぐ出発できます。
バック運転の場合は、別途付属のカプラーを取り付ける必要はあります。

後方

後部・公式側

立体感あふれる炭庫周辺で、見ていても楽しい箇所です。
増炭枠でかさ上げされた炭庫、向こう側には無線アンテナ。左右で違う水槽上部の手すりなど表情豊かです。

たとえ現物を十分取材できたとしても、それを量産品の模型で的確に再現するのは難しいところではないかと思います。

D51 北海道形もそうでしたが、キャブの窓にバタフライスクリーンが付いているのがいいですね。KATOは人が働いているキャブ周辺の雰囲気づくりに力を入れてくれるのがよいです。

後部・非公式側

ライトは後退時に点灯します。導光プリズムは炭庫内部を貫通して後部妻板のあたりで途切れており、その端部をキャブ内前方からLEDが照らすことによって発光します。基本的な仕組みは通常品と同じです。

前部のトレインマークははめ込み式ですが、後部のトレインマークは両面テープ(使用者が用意)による貼り付けです。はめ込みにすると外した時に取付穴が見えますし、磁石吸着式では分厚くなりますし、あまり仕組みを大げさにするところではないのかも。

キャブ下の配管もすべて作り替えられており、一見同じに見える箇所でも異なっています。

C11 非公式側キャブ下

C11(#2021)

C11 171 非公式側キャブ下

C11 171(#2021-1)

(脱線していたのでとりあえず下側を切ってごまかしています ごめんなさい)

ボイラー上

C11 ボイラー上

C11(#2021)

通常品です。非特定機とはいえ、設計の参考にしたプロトタイプはあると思いますが、もともと非常に見ごたえのあるボイラー上ディテール。

C11 171 ボイラー上

C11 171(#2021-1)

空気作用管の取り回しが異なり、サンドドーム後部の踏み板に大型手すりが付いています。

発電機の排気管が屋根まで伸びていないのは北海道形に多い特徴です。

砂箱のふたの方向が違うとか、ライトの形状が微妙に違うとか、両者の作り分けが面白いですね。

C11 171 火の粉止め

火の粉止めです。微妙に煙突全体として長く見えましたので、火の粉止めを外してヤスリでサッとひとなめしようかと思いましたが、一体化されていますね。

煙突自体は割と取れやすいので、紛失注意です。私は最近、自分ならあとでやらかすなと思ったところは、すぐ接着してしまいます。

再び前方

KATO デフ点検口

縁取りなどの飾っけのない、北海道に多いデフ点検口の加工。
右上の角だけRが付けられているようです。こういうのは、単に実物の加工の具合かなと思っていたのですが、どうなんでしょう。意図的な構造なんですかね。

マイクロエース デフ点検口

マイクロエースのC11 171(SL函館大沼号)の点検口は、点検口のなかった旧製品のパーツをもとに、工場で手作業により開けたに違いないと私は信じるものです。
いかにもナイフか何かで切り抜いたようなカエリも付いていますものね。手作業なのは結構なんですが、もうちょっと下に開ける方法はなかったのかな、とは思います。

クロスヘッドの違い

写真左が通常品、右が今回のC11 171です。D51北海道形に続き、クロスヘッドの仕上げが変更され、ロッド金属部との差が目立たなくなっています。今後はこれが標準になるのでしょうか。
従来品も何かで塗ってやるとよい感じになるかもしれませんね。いい塗料がありましたら教えてください。

その他

動力ユニット

動力ユニットは上から見た範囲では通常品と変わらないようです。もし何か調整レベルで違いがあってもわかりません。

私の手持ちの品ですと、通常品はカーブでごく微妙に車体が揺れるものがあったのですが(実物通りともいえますが)、今回はそれがなく非常に安定していました。数両ずつでの比較ですから単に当たり外れの問題かもしれません。

なおC11のボイラーを外すには、まずキャブを外す必要がありますが(通常品はその前に発電機の排気管を外す)、私はとても苦手です。キャブは内部のツメ片側2箇所ずつを緩めて、上側に外すだけだと思いますが、何に引っかかっているのか全然いうことを聞いてくれないことがありまして。今回も通常品のほうは関係ない部品まで外れたうえ、気が付いたら汽笛をへし折っていて交換しました。

逆に組み立てはとても簡単です。まっすぐ上からキャブをかぶせ、パチンと留めるだけですから。

マイクロエース C11 171分解

余談ですけど: ついでにマイクロエースのC11 171のボディを外してみたら、動力ユニット上部に貼られていた粘着テープが糸を引いてきました(写真はほぼ糸引き終わり)。ライトの配線を留めているものですが、劣化でベトベトになっていましたね。まだちゃんと走りはします。

煙室パーツが分離

もっとどうでもいいことで: KATOのC11 171をケースから取り出す際に、ウレタンの開き方が不十分だったのか、煙室部分のパーツがポロッと取れてしまい焦りました。
直すのは簡単でしたが、取れた瞬間、子供の頃飼っていたカブトムシの頭が世話の最中にポロっと取れてしまい、大ショックを受けたことを思い出しました。合掌


以上、買って間もなくの印象はとてもよかったです。基本がよくできていたことは幸いですけども、これだけ新たな製作箇所があっても、本体価格が13,000円にとどまったこともありがたいです。7年前の通常品は本体価格11,000円ですから、この間の状況変化にも関わらず2,000円の違いに収まっています。

C11はほかにも活躍している保存機がありますから、もしこれがよく売れたら次のバリエーション展開もあるかもしれませんね。C11の特定機としては、今月にはトミックスからC11 325(東武鉄道)も改良発売されるので、そちらも注目されます。

それにしても、何度か同じことを書いていますが、ここまでプラ量産品の特定機再現度合いが高いと、もう自分で手を加えようなどと考える人はほとんどいなくなっているのではと思います。

SL冬の湿原号

以上、感想などは今後変わっていくことはあるかもしれません。
同時発売の14系「SL冬の湿原号」も、車内にストーブを模したと思しき赤ランプが点灯していたりして、遊び心も楽しい模型になっています。


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