Nゲージ蒸気機関車2007年のメモ>2007.3.11(C11 2007年再生産)

C11(KATO) 2007年再生産

9mmゲージの初期からある模型で、今では昔の模型を味わいたい方の、コレクションアイテムという感じの模型です。当時の技術的な問題か、車体が約1/135と大きいのも有名で、昔からのファンにはそんなことは百も承知で「KATOのC11」として親しまれています。
最近の模型ファンの方にも、1971年の市販の模型がどんなものであったか、手にとって見ることができるというものです。

前回の生産は2003年で、このときに動輪がスポーク抜きになりました。しかし、外観は登場時から36年間も変わらず保たれています。


ほとんど何も変わっていないので、部分のみ載せます。

2008年にも同一の仕様で再生産されました。2007年版との仕様の違いはなく、ケース内の保護シートがバブルラップに戻った以外は区別がつきません。

フロント周辺

前回品と、アリイ製品とを比べています。

C11 再生産
2002 C11(今回の再生産)
前回よりほんのわずかに塗装のつやが増していますが、言われてみればという程度なので、前回品と一緒に使っても何ら違和感はありません。
C11 前回品
2002 C11(2003年の生産品)
2003年に発売された前回品です。C11の特徴を結構よく捉えている前面です。ランボード傾斜部の段違いがC54のようになっていて、ここはアリイのほうが正解です。
C11 すずらん号(アリイ)
A7301 C11 171 すずらん号(アリイ)
参考までにアリイ製品です。今はこちらの愛用者も多いです。せっかくKATOと比べて寸法的に有利なのに、なぜ前面をもう少し似せて作らなかったのかが実に不思議です。大先輩のKATOに対する気兼ねがあったのでしょうか(笑)。

側面

C11 再生産 今回の再生産
車輪が黒色になり、先輪フランジが低くなっています(ただし、2006年発売のC58よりは少し高くなっています)。先輪スポークの形もさらによくなっています。
C11 前回品 前回の生産

前回品も、その前に比べれば先輪スポークが改良されており、動輪もこのときからスポーク抜きにになりました。まだ銀色車輪ですが、このほうが模型らしくて好きという方もいらっしゃるでしょう。

先輪スポークは機械的にはっきり表現されていて、彫りも深いものです。実は私はこちらの表現のほうが好きです。

今回の製品では、新しい先輪に苦しめられました。
今まで買ったローフランジ車では問題なかったのですが、KATOの固定式ポイントの一部で必ず脱線してしまうのです。以前にヒントのコーナーに書きましたが、固定式ポイントには一部、ゲージが9mmより広い箇所があり、そこでタイヤの薄い新型の先輪が内側に落ち込んでしまうのです(フランジの高さよりもタイヤの厚さの問題)。

正常なローフランジ先輪と比べてみたところ、車輪の間隔がわずかに狭くなっていました。少し広げることにより正常に走るようになりました。組立の際の誤差か個体差だったものと思われます。

アリイとの表現の違い

KATO KATO
キャブを左右から成型しているようで、側面から見た前方屋根のひさしの出っ張りが、そのまま妻板に段差を作っています。それ以外はとても立体的な表現で、キャブのドアの手すりの出っ張りや、各種配管の太さ・重なり具合の寸法がよく検討されています。サイドタンクとキャブのわずかな隙間もよく観察されています。

タービン発電機の排気管や、火室上のリベットもありますが、やや表現がごついところがあります。台車の表現は細かくて立体的です。

スチームドームの上が平らなのは、かつてここに上下を止めるネジがあった名残です。

アリイ アリイ
小ぶりにまとめてありますが、ボイラーは結構太いので、キャブ屋根との段差が小さく、やや首周りが「もっさり」した感じがあります(KATOは全体が「のっそり」)。KATOの弱点である妻面や前方窓のヒサシなどはきちんと表現されています。

サイドタンク・リヤタンクともに給水口がありません。リベットは省略されていますが、ハンドレールはかなり強調されています。台車はやや薄っぺらな感じで簡素な表現です。

KATOのC11は巨大なため、アリイのC11は比較的人気のある模型です。

客車を牽かせて

KATO
KATO

アリイ
アリイ

それぞれ違いがありますが、難しいことを考えずに小編成を牽かせて、テーブルの上で気軽に楽しめる機関車です。

C11は現在も走っている人気者ですから、KATOのC11自体のリニューアルも熱望されているものと思います。アリイのC11も、各部のバランス調整などの改良を行うことができれば、もっと実物に似た製品になるかもしれません。


●比較した模型について


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