2015.4.12
ワールド工芸から発売された、片上鉄道C13形(初期仕様)です。
一見C11に似たスタイルで、ワールド工芸のNゲージのタンク機としては最大の部類です。
それほどバリエーション展開がありそうな形式ではありませんが、一応組み立てメモを残してみました。
何か組み立てに詰まったときに、それまでの他形式の組み立てがヒントになることがありました。
初めて組み立てる形式の場合(特にタンク機)、何を先にするかいつも悩むところです。うっかり先に固定したために、あとで取り返しがつかなくなる部分はないか…。
組み立て手順に関する大ヒントが説明書の2ページ目にありました。
「★ランボードには組立てたA2-6関係(注:サイドタンク)を一番先に取り付け、そのあと他の部品を取付けて下さい。」
→というわけで、先にランボードを組み立て、サイドタンクの固定から始めました。
ランボードは真鍮製です。要所は曲げ済みになっており、前デッキ部の曲面も曲げられています。助かります。
最終的な形の調整は組み立てる人の仕事です。
前デッキ上部の網目板なども、ここで重ねて貼り合わせました。
左右の水タンク(A2-6)は前面でつながっています。折り曲げて形を作り、上部に天井板と給水口を取り付けました。
組み立てたサイドタンクをランボードにぴったりはめ込んで固定しました。
このほかは手順の指定は特にないので、どれかの部品を先に付けたら、他の部品が付けられなくなることはないか、などを考えつつ適当に組み立てていきました。
自信のないところは1つずつ固定せず、周辺の部品も一緒に仮組みしながら、その段階で固定しても問題ないかどうかを考えます。
前方に空気溜めのカバーやバネ箱などを組み立てて取り付けました。
ランボード上に空気溜めがむき出しで置かれていると、ボイラーの脇を歩きにくいため、カバーで覆ったのかもしれませんね。空気溜めの上に歩み板が設置されている機関車は結構ありますが、すっぽり覆ったのは珍しいかもしれません。
カバーの側面前方にはあとでデフが密着します。
キャブの裾をぴったり合わせて内張りを貼り合わせます。
が、若干ずれてしまい(固定時にクリップがずれたらしい…)、ランボードとの密着がベストではなくなってしまいました。
妻板も屋根のカーブのほうを合わせるのではなく、裾側を合わせるほうがよいようです。
後部妻板とタンクの天井を固定し、後ろからタンク/炭庫の外装をかぶせました。ここも基本的な曲げが終わっているのがありがたいです。
裾をぴったり合わせて固定しました。
前後の窓の上のひさし、天窓レール、扉の手すりなどを固定しました。
前後のひさしはエッチングにより薄く加工されているので、丸棒などに押し付けると簡単に丸みを付けられます。
側面窓の上のひさしは説明書から記載が抜けています。H2-11を使いました。
後部にはライト、ハシゴ等を付けました。
ハシゴの下部は、あとでランボードに固定するときに、後部端梁に差し込みます。
後部のひさしは説明書ではA4-2とされていますが、A1-1の誤りかと思います。
炭庫脇の手すり(H2-17)には部品番号の重複があります。もっとも、一方は煙室扉ハンドルなので間違えはしません。
組み上がったキャブをランボードに差し込んで、仮合わせしているところです。まだ固定はしていません。
最終的にはボイラーと一緒に仮組みし、うまく付くことを確認してから固定しました。
ランボードにコンプレッサーと繰り出し管を固定し、前端梁、カウキャッチャー、エアホースを固定しました。
下廻りを組み立てていないため、この段階ではカウキャッチャーの適切な高さがわかりませんが、説明書の写真などを参考に柱の下端に合わせました。
後部を裏返したところです。後部端梁、カウキャッチャー、エアホースを固定し、従台車の枕を固定しました。
後ろのカウキャッチャーは、カプラーに当たらぬようにということで、若干下げました。
マグネ・マティックカプラーを使う場合、前部は#905(Zゲージ用)、後部は#1025が指定されています。私は#1025を持っていなかったので、持っていた#1015を猛烈に削って使いました。#2001ではカプラーの位置が高すぎるかもしれません。
ボイラーに主な部品を取り付けました。
写真はボイラーをランボードに仮に合わせ、砂撒管の位置を決めているところです。サイドタンクの一部に砂撒管を逃がす凹みがあるので、その位置に真鍮線を合わせてボイラーに固定しました。
ここでいよいよボイラーとキャブを仮組みし、決心のうえでハンダ付けしました。
非公式側の配管は番号順に付けました。写真では1と3が重なって見えますが、1はH2-12、3はH2-7です。
2, 3はそれぞれ何かに引っかかって付けにくかったので、ボイラーを車体に取り付ける時点で仮に差し込んでおけば楽だったのかもしれません。
ホワイトメタルのドームも景気づけのため?固定しましたが、他のハンダ付け作業が終わってからのほうが良さそうです。あやうくコテが触れて溶かしそうになる場面がありました。
煙室扉を組み立て、ボイラーに固定してから、デフを固定しました。
デフの下部には取り付けピンなどがなく、昔のキットのようにベタ付けになります。側面はランボード上の空気溜めカバーに密着します。私の場合カバーが少し傾いていたため、軽くハンダを盛って(ほんの少しです)厚みを調整しました。
デフの折り曲げに「A4-4の折り曲げガイド使用」とあるのは、A1-14の誤り。
キャブ下の連通管はエッチングパーツが付属していますが、少し見た目の効果を上げるため0.8mm真鍮線にしてみました。エッチングパーツに形を合わせて真鍮線を曲げ、取り付け穴を少し広げて固定しました。
固定の際、床下との間には、真鍮板1枚が入るぐらいの隙間を空けておきます。あとで下廻りの取り付け部が入り込むためです。また、なるべく外側に寄せて取り付けないと、下廻りの取り付けネジが当たってしまいます。
これで上廻りはおしまいです。
先台車・従台車と車輪押さえを、それぞれ折り曲げて組み立てました。
特に難しいところはありません。
左右のフレーム(車輪座)、車輪押さえ、モーターベース等を折り曲げて組み立てました。
モーターベースA4-2の左右の張り出しは、説明書に従って少々カットしておきます。先ほどの連通管に干渉しないようにするためです。
説明書の部品番号A5-1・A5-2は、それぞれA4-1・A4-2の誤りです。何かお疲れの様子…?
ギヤが付くほうの車輪座を裏側から見たところです。
上部の3箇所を箱状に折り曲げますが、特に前後の2箇所はなるべく直角にしないと機関車が傾きます。
前方の裏側には、先台車をネジ止めするためのH1-3が付きます。最後のほうまでうっかり忘れていました。
ワールド工芸のタンク機の場合、シリンダーブロックは真鍮ロスト等の鋳造になっていることが多いですが、これはテンダードライブ機と同様のエッチング板となっています。
左に写っている上面の裏板は、先に重ねてから前後左右の側面を曲げるのがよいようです。順序が逆だとうまく入りません。
スライドバーとドレインコックを固定しました。スライドバーはよく磨いておきます。
上部には、あとでラジアスロッドを取り付ける台座(F1-3)をネジ留めしますが、部品の形がおかしいようです(説明書の図とも異なります)。
写真の赤い部分をヤスリで削り取りました。そうしないとフレームの溝に収まりません。
なおこの部品にねじ切りをするためには、M1.0タップが必要です。ほか上廻りのカプラー取り付け穴はM1.2タップ、他のネジ穴はすべてM1.4タップを使います。
塗装の前に全体を仮に組み立て、傾きの調整などを行いました。
部品を洗浄して塗装しました。またアクリジョンによるプライマー省略塗装です。
半光沢よりもつや消し寄りにしようと思い、ブラック:つや消しブラック=1:1(いつもは2:1ぐらい)とし、それを水と専用薄め液で2倍程度に希釈し塗りました。
次の工程に移るまで3日程度乾燥させましたが、まだいつもより粒状感が残っています。1週間もすればもっときめ細かくなると思います。
あとは細部に好きな色で色挿ししてアクセントとしました。
駆動軸に動輪を圧入し、輪心用リングを圧入しました。
共用のプラ輪心よりも動輪内径が少し大きいため、隙間を埋めるために輪心用リングが付属しています。あらかじめ、表に見えるリングの断面を狙って黒塗装しておきました。
左右のフレームと関連部品はネジ留めした状態で塗装したので、一度ネジを外して左右を分離してからギヤを取り付けました。
通常のワールド工芸の動力ユニットと同じ要領です。小ギヤ軸の頭にバリが残っていると大ギヤが引っかかるので、きれいにヤスリ落としておきます。
ギヤが軽く回るのを確かめてから、もう一度非公式側のフレームを固定しました。
間に絶縁ワッシャと絶縁ブッシュを挟み、M1.4×2ナベネジで固定します。「コナベ」ではなく「ナベ」ネジなので、他のネジより少し頭が大きいネジです。
左右の軸受けの高さがバラバラにならないよう、実際に動輪をはめて、レールの上で平らに保持しながらネジを締め直しました。
軸受けが若干渋かったので、車輪押さえを取り付けてから2.5mmリーマー/2.5mm丸ヤスリで軸受けを整えました。
プラ輪心をはめ込みました。あらかじめ外周をヤスリで少し落とし、中央の穴を2.5mmヤスリで広げておきました。
クランクピンの穴の位置を3つとも揃えてから、中心付近を少量の瞬間接着剤で固定しました。反対側は90度先行するように合わせます。
モーターを取り付けて試運転しました。
通電用の突起はモーター端子の穴に差し込むだけにする予定でしたが、矢印の部分がもう少しのところで穴に届かず、仕方なく突き合わせてハンダ付けしました。
最初はサイドロッドをつけずにギヤ連動だけで試運転し、動きがぎこちないときは軸受けをリーマーやヤスリで再調整しました。2回ぐらいでスムーズになったので、次にはサイドロッドを付けて調整しました。
軸受けの具合が良ければ微振動が起きにくいので、ウェイトを載せなくても集電が途切れにくく、案外とスムーズに走ります。
試運転中、非公式側の第一動輪がランボードに接触する可能性を感じたので(コンプレッサーがあるため左右でランボードの形が違う)、矢印のあたりを少し削りました。しかし、そのままでも問題ないかもしれません。
サイドロッドの次はエキセントリックロッドとリターンクランクを付けてテストしました。リターンクランクの形やカシメの具合により、動きが悪くなることがあるためです。
通常通りの修正をしてから取り付けたところ、特に問題は起きませんでした。
あとは一度エキセントリックロッドとリターンクランクを外し、テンダードライブ蒸機と同じようにクロスヘッド・メインロッド等を取り付けました。
初め公式側を取り付け、一発でうまく動いたので、非公式側も取り付けました。
うまく動いたあと、念のためモーターを外してレールの上で転がし、変な引っ掛かりがないかを確かめているところです。
完成しました。国鉄C11に一見似ていますが、よく見ていくとずいぶん違いがあります。
走りはワールド工芸のタンク機として普通のものかと思います。公式サイトの動画で見られるとおりです。モーターは大きめ(といってもいわゆるBトレモーターサイズ)のため、携帯モーター的な超小型モーターに比べトルク的に安心感はあります。
2軸従台車が付いてテンダー機的な軸配置なので、曲線も同様にR320以上のほうが適しているかもしれません。あまり小カーブは得意でないような気がします。
こんな形式まで発売されるというのが今の金属キットの面白さですね。プラ量産品ではマイクロエースを含めて考えても、まず絶対に出ないでしょうから。
ディテールの密度もほどほどで、振り返ってみれば組み立てやすかったです。