2024.10.17
トミックスのC55のボディーを取り替えた、にせC54です。
今まで作った蒸機のデータからそれっぽいのが作れるのでは、と軽い気持ちで始めました。
C55のボイラーにC53のキャブをくっつけ、D50から給水温め器を持ってきて…という感じで作っているところです。
楽にできたら楽だなぁ〜(←)
一応図面と合わせてトレースしていきました。ボイラー部はほとんどC55のままです。図面によってちょっと異なる箇所があり、悩んだあげく結局C55のままにしました。
なおC54のキャブはC53と同タイプといっても完全同一ではなく、前面窓の位置などが違うので、あとで修正しました。
というわけで、極端に楽でもないことは徐々にわかってきました。
形状がよくわからないところも結構ありました。構造を考えて精いっぱい想像はしましたが、そこは浅学の現状、大抵当たりません。
私の場合、一番面倒なのは毎度ですが配管です。配管は使い回しできる箇所が限られますからね。全体のモデリング時間のうち、配管が8割、そのうちキャブ下配管と空気作用管の細部で大半を占めるような気がします。そして、苦労した箇所は大して目に留まりません。
造形方法はいつもと同じですが、表面未加工でも我慢できるよう、なるべく縞模様が目立たないように注意しました。
またプラットフォームの下降速度(リトラクト速度)をいつもの半分の60にしました。いつも上昇はゆっくりにしていたのですが今回は下降もゆっくりにしました。室温も高めの30度キープにしました。
縞模様は必ずできますけども、だいぶ軽減されました。
造形が終わって塗装したところです。
形になってみると、ちょーっとうまく似なかった箇所がありますが、造形に大失敗はありませんでした。
2次硬化時間は樹脂の推奨時間を無視して極端に長く取っています。靭性が完全に失われるのではと懸念されるぐらい長いです(この樹脂の場合それでも平気)。これまでのテストで、事後に変形をきたした場合、原因の大半は結局2次硬化不足でした。
これから硬化できる力が内部に潜んでいるうちはマズいのですね。
実際には、後日同じパラメータで再試行しても同じ結果にならず、頭を抱えることがあるんですよね…。
今年の夏も、前年作った9700形のボディーを同一条件で再出力したら何度も失敗し、データを取り直したことがありました。
たぶん私の場合、一番怪しいのは温度管理かと思います。次に造影フィルムの劣化具合かしら。樹脂の硬化力も少しずつ低下するのかも。
ナンバープレートは3Dプリンター製にしました。
何とか使えそうな、手前中央4個を使いました。歩留まりは悪かったです。
ちなみにワールド工芸のC54キットを買うと、ナンバープレートは1号機〜17号機のすべてが、形式入りと形式なしの2組ずつ入っています。もし現在変わっていたらごめんなさい。
ボイラー、テンダーとも、全体を30秒程度サッと2次硬化させてから内側のサポートを取り去り、裏側にも紫外線がよく当たるようにしました。その後改めて2次硬化させました。
表と裏で照射量に差があると、硬化中にボディーが外側に開いていってしまうことがあるので、頻繁に向きを変えながら少しずつ硬化させていきました。
テンダー裏側には硬化中の開き止めのため、控えを4本付けておきました。カットした瞬間に側板が開いてしまうと怖いので、いつ切り取るか踏ん切りがつかず、5日ぐらい放置していました。でもいずれはカットしないとどうしようもありませんね。
切断の圧力で側板が外側に押し出されるとイヤですから、斜めに超音波カッターを入れて力が逃げるようにしました。
最初の2本はうまくいきました。顕著な側板の膨れ・すぼまりは見られなかったので、残りの2本も同様にカットしました。今回はちょーっと慎重でした。
テンダーの中身を未加工で入れたかったので、いつもより側板を薄くしていたのです。
組み立ての際にトミックスのドローバーが入らないことがわかって、あとで前の開口部を切り開きました。
ドローバーは0.5mm程度切り詰めたかったのですが、微妙に加工が面倒な長さだったのでC55のままとしました。
なおトミックスからは分売パーツJC6315「蒸気機関車ドローバーA(3種・各2個入)」が販売されています。種車のC55(密閉キャブ)のドローバーはこのうち「中」になります。
短: C57 1、C57 180用(開放キャブのC57用)
中: C57 135、C55用(密閉キャブのC57、C55用)
長: C61用 …長いほか、これだけ2軸従台車なので、1軸従台車保持用のフックがありません。
このあとは、トミックスのC55の動力にただはめ込むだけなので、すぐ終わります。この過程ではほとんど模型を組み立てている感じがしません。
デジタル製作で模型作りの手ごたえを一番感じるのは3Dモデリングの過程で(私の場合は、です)、通常の工作とはちょっと違うところもあります。
にせC54
にせC54
(拡大写真)
上廻りを3Dプリンターで作ったもの。下廻りはC55のまんまです。手を抜きすぎてホントにそれなりです。
種車のC55
種車のC55
(拡大写真)
元になったトミックスのC55 3次形(北海道仕様)です。
※ちょっと加工されています。残っていた未加工の個体はC54に献上してしまいました。
基本は図面をトレスして、写真を元に整えたのですが、出来上がってみたら感じが変わったところは色々ありました。
次の機会があればもう少しがんばりたいです。ドームもデフも目指した印象とは微妙に違うんですよね。
でも動力との収まりはよく、全体的にはまずまずうまくいったかと思います。
シリンダーも一応造形しましたが、結局は元のC55のシリンダーブロックを上から1.3mm(実物20センチ)カットして使いました。
白線をあまり考えず入れたところ、何か上下バランスが変わって見えたので、入れなくてもよかったかな…。
C54 15のドロダメはこちら側に付いているのですね。
こちら側のキャブ下配管は十分な資料を持っておらず、他の機と混じっています。
15号機の発電機の排気管は、1年程度でキャブの屋根に伸びていたりいなかったり、消音機が付いていたりなかったりと変化していた時期があったようで、興味深いです。色々試していたんですかね。
●おもな参考書籍(書籍名のみ・一部)
・C54 悲劇のパシフィック RMライブラリ54 ネコ・パブリッシング
・蒸気機関車スタイルブック(旧版・新版) 機芸出版社
・蒸気機関車の角度 機芸出版社
・国鉄蒸機の装備とその表情(上) ネコ・パブリッシング
C54は不幸キャラ扱いされがちですけども、数で見ればD61やE10の3倍も多く、C57 4次形よりも多いんですよね。