Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>2009.10.19(にせC55)

にせC55

2009.10.19

C57+C11

KATOのC11のスポーク動輪を奪って、トミックスのC57に移植したにせものです。


C57とにせC55

C57はC55の3次型と基本寸法が等しく、多くの部分が共通ですが、前面はかなり違っています。煙室扉の直径も違いますし、その角に丸みがついているかどうかの違いもあります。 また、デッキ傾斜部の長さが違い、ランボードの水平部から一度がくんと垂直に下がり、そこから斜め前方につながります。

これを全部きちんとやることは私には難しいので、ある程度はそれらしく見えるようにしながら適当にアレンジしました。

動輪

C11の輪心移植

最初からにせC55を作ろうとしたわけではなく、もし有意義なC57の動力がスポーク動輪ならば、C51などの下廻りに汎用的に使えそうだと考えただけでした。
調べるとKATOのC11の輪心が、C57よりもわずかに小さい程度の大きさでした。実際に交換するとどんな感じに見えるのかということで、早速やってみました。

C57の輪心は、KATOのC62と同様のつくりで、ポコンと簡単に外せます。C11は、輪心のプラ自体に車軸がはめ込まれているので、車軸から引き抜かないと外すことはできません。車軸のついていたボスを削り取り、2mmドリルで穴を広げると、C57の動輪にはまります(周囲には0.1〜0.2mmの隙間があります)。

フチを削って水かきを付ける

ひとつやってしまうと、もうC11を元に戻せなくなるので、このまま進めるしかありません。急遽にせC55を作ることにしました。

スポークを外側にナイフで切り込んで削り、水かき風にしました。この素材はヤスリがけが不可能に近いので(削れはします)、ナイフできれいな面を作れないとデコボコになってしまいます。 ちょっと雑な感じですが、なかなかうまく整いませんでした。
この加工はC11の動輪につけたまま行なったほうが簡単です。C57に取り付けると、タイヤとの若干の隙間のせいで、削る際に回りがちです。

もとがC11なので、C55にしては少し間隔が開いたスポークのはずですが、Nゲージの場合は見た目にそれほど大きい違いはありません。まずは片側だけ施工してテストしましたが、幸いスムーズな走りは損なわれませんでした。

動輪のスポーク化は、動きを確かめながら1つずつ順番に行ないました。輪心を外した動輪には、元の輪心の位置を合わせる小さい丸穴があるので、これを基準に少量のゴム系接着剤を併用してはめ込みました。

何か1両潰すのなら、思い切ってKATOのC55の動輪を使う方法もあるかもしれません。スポークの数が正しいですし、水かきもきれいです。
ただし直径が一回り大きいので、輪心のふちがなくなるくらいまで外側を削らなければ入りません。第1・第3動輪のカウンターウエイトはほとんどなくなるので、プラ板等で付け足しが必要です。
もう少しのところでやりかけましたが、すでにC11を1両潰しています。先に施工した部分と比べても、貴重なC55をさらに潰すほどではないので、C11のまま進めました。

KATOのC55 KATOのC55(本物)
C11を使ったにせC55 C11を使ったにせC55

なお、C11の代わりにC50の動輪でも同じです。ただいずれも古い製品ではスポークが裏側まで抜けていません。少なくとも黒色車輪になってからの製品は確実にスポークが抜けています。

テンダー台車

テンダー台車も形が違うので(どちらかといえばC57 135の最終的な姿が違うのですが)、少し大きいのですが余っていたKATOの台車を使いました。

集電板の加工

KATOの集電板は車輪の内側にあるのに対し、トミックスのC57はピボット軸の外側にあるため、上部に出っ張った端子の間隔が違います。台車枠の外側に穴を開けなおし、元の集電板は外側に銅板(他の何かの集電板をカットしたもの)を継ぎ足して、外側から端子が出るようにしました。

組みあがった台車 組み立てたところです。最初は元のKATOの集電板を、無加工で外側に取り付け、ピボット軸の上から載せるだけにしたのですが(注:その方法の場合、両絶縁の中空軸車輪に交換する必要あり)、上部の端子が低くなって床板の集電シューに十分接触せず、うまくいきませんでした。

車体

車体も3次型のC55(密閉キャブ)に少し近づけるため、少々加工しました。

煙室前端

C55の煙室前端は、周囲に丸みがないので、0.3mmプラ板を上からかぶせてお面にしました。大きさはC57の煙室扉に合わせ、最初は少し小さめにして様子を見ました。お面の裏側は元のC57のままです。 一度でまとまらないと思えるので、交換して試行錯誤できるよう、上部の手すりをピン代わりに留めてあるだけです。

デッキ下側

デフは余っていたワールド工芸のC55用を使いました。 傾斜部の形状がC57と違うので、裏側に0.5mmプラ板を張り重ね、斜めに削ってごまかしました。シリンダーもデッキの角度に合わせて削ります。

前部仮組み

デフは元のデフに単に貼り重ねてあります。理由は手早く確実にできるからということになります。内側に段差が見えているので、補強用リブに見せるなどもう一工夫すればよかったと思います。C55のシリンダーはC57とは違う古い形ですが、そのまま使いました。

ドーム後部

ドームは難しいので、C57 135のドーム後端の切り落としの角を落として、軽く丸みをつけるだけにしました。汽笛が加工中に折れてしまい、泣く泣く銀河のパーツをつけています。

完成

これで終わりなので、デフ・煙室前面・ドーム後端のみ、本体と同じツヤと粒状感になるようにエアブラシで部分塗装しました。
ナンバープレートは手持ちの適当なものがなく、KATOのC55から拝借し、薄く削って付けています。少し大きいです。

前面

実際にお面を付けてみると、角度によっては後ろの丸みが見えてしまったので、直径を0.2mm大きくして作り直しました。こちらのほうがアゴのラインがはっきりして少し良いようです。しかし0.1〜0.2mmの差で顔つきが変わるのですから、小さいNゲージは恐怖です。

側面

もともとは煙室扉の後ろのツメで、前面ブロックをボイラーに固定する作りになっていますが、煙室扉のツメを切り取ったためそれができなくなりました。ゴム系を少量使って前から差し込んであるだけです。

C55保存機 手抜き工作の割にはまあ、そこそこ似たと思います。
C55の実物にも色々な顔がありますが、C57に比べると概して大人の顔で渋い感じです。
うまく作れないので省略しましたが、C55はデッキ上部(ランボード前端)の垂直な部分が、C57より大きく壁のように見えるのも特徴です(傾斜部の角度が違うため)。 KATOのC55ではこの違いがちゃんと作られています。

完成

一応形は収まりました。 ただ加工の度合いが少ないので、少し離れてみるとC57と区別がつきません(まあ、C57ですから)。走っていると、スポーク動輪であることもよくわかりません。
トミックスからちゃんとC55が出たら、ケースから出すこともなくなってしまうでしょうが、いつものことですし、こんな改造などそんなものです。

●その後 スポーク輪心をコンピューターで作りなおしてみました。→にせC55 2号


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る