Nゲージ蒸気機関車2008年のメモ>2008.6.7(天賞堂C62リニューアル品)

天賞堂 C62リニューアル品

天賞堂C62

2008.6.7

2008年に発売された天賞堂の新製品です。2001年発売の旧製品とはまったく違うものです。2号機・3号機の北海道時代と、3号機のJR時代が発売されました。


天賞堂の製品は、Nゲージとしてはかなり高いものです。プラ製の量産品なら「この値段だしこんなものだろう」とガマンするような部分でも、事前に多大な期待を膨らまされてしまうという危険もありますし、普及品なら要求されないことも当然のように要求したくなります。しかし、Nゲージ初参入の7年前から見れば、さすがにあちこちの向上ぶりは目に付きます。

以後、「こんなに高いものなら…」などと、お金の価値を考え出すとめちゃくちゃになってしまうので、いつもの通り形の比較だけでお知らせします。

全体

C62 旧製品 C62 2号機(旧製品) (拡大写真)
コアレスモーターを使用したエンジンドライブの金属製品で、手作りによるスーパーディテールが売りでした。新しい製品に比べ、全体に少し車体が高くなっていました。
C62 新製品 C62 2号機(新製品) (拡大写真)
前回と同じく製造は韓国です。全体のプロポーションが見直されて車高が下がり、ディテールの配分も見直されてバランスがよくなりました。

前面

今回の製品では前面のデザインが変更されています。

C62旧
2号機(旧)
C62新
2号機(新)

比較の問題になりますが、見直しの効果があって印象は良くなりました。逆に、新たに目に付くようになった部分もあるのはご覧のとおりです。
正面から見た感じでは、もう一回り煙室扉が大きければよかったかもしれません。ナンバープレートの数字は前回のほうがシャープでした。

ちょっと角度を変えてみます。同じ金属製品のワールド工芸(旧製品)も加えてみました。すべて2号機の比較です。

C62旧
天賞堂(旧)
C62新
天賞堂(新)
ワールド工芸
ワールド工芸(旧)

天賞堂の新製品では、上部の折り曲げ角度は少し修正されました。ちょっとデフの形が変わり、点検口周辺の寸法も変わっています。つばめマークは質感もデザインも旧製品のほうが優れているように思います。

先台車のホイールベースは少し長くなり、前年のC59と同じになっています。ピストン尻棒もついていますが、シリンダーの側面は垂直です。バルブギヤがフルワーキングのしっかりしたもので、全体の厚みがあるため、ここは機能的に仕方ないことだと思います。

3号機と

3号機は国鉄(北海道時代)、JRの両方が発売されています。JRタイプを実物写真と比べてみました。ホームと蒸気は実物写真からのコピーです。

3号機 実物 天賞堂
実物 天賞堂 3号機(新)

反対側からの表情です。大して変わりませんが3号機も並べました。

2号機旧 2号機新 3号機 ワールド工芸
天賞堂 2号機(旧) 天賞堂 2号機(新) 天賞堂 3号機(新) ワールド工芸(旧)
2号機旧 2号機新
天賞堂 2号機(旧) 天賞堂 2号機(新)
3号機 ワールド工芸
天賞堂 3号機(新) ワールド工芸(旧)
煙室扉

前面デザインに何か物足りなさを感じる場合、それは煙室扉の中央のふくらみが足りないことや、その周囲の平面が目立つためではないかと思います。でもC62を作り慣れている天賞堂にはそんなことは百も承知のはずなので、何か製造上の事情があるのかもしれません。

2号機の煙室扉

そのほか

細い部品がたくさんありますが、極端に細いものは避けられているようです。作りはしっかりしており、取り扱いには不安を感じません。

ランボード上

ランボード上

各部の精密度には統一が図られ、全体に曲がりや歪みが少なくスッキリした印象です。ランボード屈曲部の傾斜は旧製品よりもきつくなったのですが、白線入りだとカドが丸くてちょっと「たるい」感じにも見えます。

ランボード側面に、きちんと幅(厚み)が表現されているのは、単純張り合わせのワールド工芸より良いところです。空気作用管は最近の製品にならって1本1本が分離したものになりました。

キャブ前方

キャブ

発電機周りの配管は2本ほど整理され、布巻管の表現も減らされています。

キャブ下の配管は逆に以前より手の込んだものになりました。全体のディテール配分のバランスはうまく取れているように思います。

キャブとテンダー

キャブとテンダー

窓ガラスは旧製品では透明プラ板のはめ込み表現でしたが、今回は単純に裏から貼る方法となりました。

テンダーからキャブ下に伸びる給水管か暖房管に見えるホースは、テンダー後部の標識灯を点灯させるためのプラグコードで、いかにもホースのように見えるよう場所がよく検討されています。カーブ通過に備えて少々長く、下がっているのは仕方ないでしょう。

キャブ連結面

バックプレートは旧製品よりも奥に引っ込みました。キャブ下からプラグコードが出ているので、これをテンダーのストーカーのあたりに差し込むと、走行時にテンダーの後部標識灯が赤く点灯します。

ただ、着脱にピンセットがいるうえ根本が切れやすいので、普段は使わずに先端を絶縁し、キャブ下あたりに押し込んでおくのがよいと思います。テンダー標識灯の点灯がほしい場面は、普通の使い方ではあまりないと思います。それなりに赤い光が印象的できれいなのですが。

走行性能など

走り装置は昨年出たC59を基本としているようで、ひっくり返してみるとうりふたつです。走行性能も似ており、旧製品と比べても同程度だと思います。

外観重視のためか動輪にゴムタイヤがなく、4%勾配ではプラ客車3両くらいが限界です。C62らしい旅客列車を仕立てるには、平坦線にとどめれば問題はありませんが、どうしてもという方は、十分ゆるやかな勾配にする必要があります。パワーでは安価なプラ製品や、荷重分配装置のついたワールド工芸製品にはかなわないのですが、元来こうした使い方を想定した製品ではないのでしょう。
(おわり)


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る