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8800形(3Dプリンター)

3Dプリンターで出力した8800形

2020.2.8

終戦前後までの大阪周辺の鉄道シーンには欠かせない…とまでは申しませんが、あると嬉しい機関車です。
以前の8620と同様、C50記念品の動力を利用して作りました。


また楽なデジタル製作にしました。要領は今までと同じです。3D CADの画面で好きなだけ拡大して作業できるのが一番ありがたいです。
当初はまずシャーシから完成させようと思ったのですが、ダイキャストの動力に3Dプリンターの延長部を正確に接合するすべを思いつかず、気持ちを変えて先にボイラーから作りました。

データ作成

以前作った8620の3Dデータからの改造です。もっとも、8620の形状が残ったのは後部ランボードと第一動輪スプラッシャーぐらいしかありません。

3Dデータ

形のシンプルな機関車ですから、データの作成自体は難しくありませんでした。
わからないところは好きなように作っています。当時の他の機関車を参考に多少の推定をした程度です。また造形上の厚みが必要なので、1/150サイズにするにあたり各部をアレンジしています。

8800は種車のC50に比べてボイラーが低いため、ボイラーの厚みによってはC50の動力が入りません。 基本的なボイラーの厚みは何とか0.8mm確保しましたが(本当は1mm欲しい)、モーター押さえの当たる部分だけは泣く泣く0.5mmまで薄くしました。それでも怪しいです。

全体の構成

C50に比べボイラーが前方に長いため、動力に被せると前方が張り出します。Nゲージは小さくて樹脂製のボディーは軽いので、この程度の張り出しで不安定になることはないようです。
シリンダーもボイラー側に一体化させて、先台車はそこからぶら下げました。

先台車はC57などに比べて軸距離が短く、縮尺1/150にするとシリンダー廻りのクリアランスがギリギリです。まともに曲線通過できるのか疑問でしたが、ダメなら直線専用機にしようと(ひでェ)、まずはそのままの縮尺で作りました。

先台車取り付け

先台車はシリンダーの内側にはめて、脱着可能としています。また、事後変形による車体の開き止めも兼ねています。

…が、造形後何日かするとそれぞれが微妙に収縮して緩くなり、結局はゴム系接着剤を併用することになってしまいました。最終的にはみんな大雑把になってしまうんですワ(笑)。

当初スプリングを入れていませんでしたが、入れなければ何でもないところでもポンと脱線したりしてダメでした。

スライドバーとクロスヘッド

2本のスライドバーは、ラジアスロッドやガイドヨーク部も一体化し、強度を確保するようにしました。
形状の試行錯誤や破損時の交換がしやすいよう、シリンダーやランボードとは一体化せず、別パーツにしておきました。

メインロッドの取り付け

メインロッドはKATOのパーツの余りを利用し、KATOの蒸機と同じように、クロスヘッドの隙間に差し込んで留める方法にしました。

クロスヘッドはスライドバーの外側から当てているだけなので、外側にはすぐ落っこちそうですが、組み立てると落ちません。前方はピストン棒がシリンダーブロックに差し込まれていますし、後方はメインロッドがガイドヨーク部に引っかかって取れないためです。

部品の造形に必要な厚みなどの関係で、クロスヘッドの往復範囲などを少々実物と変えてあります。しかし、なるべく実物の感じが出るようには努力しました。

フロント

先を急ぎがちな性格のため、データ入力の後半はかなりテキトーになってきました。前半はテキトーではなかったのかと問われると、一言もないです。

巨大なライトは先台車連動機構の撤去後ということにしました。付いているほうが好きですが、主な参考写真が撤去後だったことと、変な理由(調べた図がどこかに行っちゃた等)で今はパスしました。機会があれば作り足してみたいです。

オイルポンプは以前作った箱入りを使いまわしました。昔の写真を見ると8800にも箱入りのオイルポンプはあったようで、ズボラな私はこれ幸いと楽をしました。

キャブ周辺

キャブ側板は、以前は平滑にするため別パーツ化していたこともありましたが、最近は一体で作っています。

キャブ下配管も別パーツをやめて一体にしました。動力ユニットにかぶせる都合上、ちょっと表現が薄っぺらくなります。

テンダー

テンダーはC50の上物と無加工で交換できるように作りました。エンジン側よりわずかに横幅が広いです。
妻面は斜め下に向けて配置する関係で、あまりきれいに造形されません。この形なら水平に置いて造形しても問題は少なかったなと、今になって思います。

テンダー下廻りの形も本当はC50と少し違うのですが、未加工で使っています。

造形と組み立て

造形上の失敗がなければ、この先は早いです。すでに1年半が経過した中国製プリンター(Anycubic Photon)が持ってくれるか、それは気がかりでしたが、まだ大丈夫でした。

造形用の配置

造形用に各コンポーネントを配置し、サポート材を立てました。
モデルの修正や再出力を繰り返すことも考慮して、サポート材も3D CAD側で作りましたが、その作業に5日ぐらいかかりました。モデル本体と違い、単なる作業で面白みがないため、進みが悪いんです(笑)。
でもサポートの付け方で造形結果が直接左右されるので、CAD側でやるにせよスライサー側でやるにせよ、大事な作業です。

ここまで作ってからスライサーに読み込み、スライサー側でラフト(最低面の平たい構造)を付け加え、所定の積層ピッチでスライスしました。

造形終了

ボイラーは0.03mmピッチ、その他は0.05mmピッチで造形しました。
特に問題なく造形されました。左手前に6本立っているトゲのようなものは、フロントのつかみ棒です。こういうものも安物の3Dプリンターで十分作れます(もちろん出来も強度もそれなりです)。

二次硬化後に超音波カッターとニッパーでサポートを取りました。細かく割れるような、砕けるような感じで取れるので、細かいところを破損しないよう神経を使います。

動力部の組み付け

動力ユニットはシリンダー部の出っ張りと、その前方を削り取りました。後部も座席の背もたれより後ろ側をカットし、左右を削ってキャブ内に入るようにしました。

モーターの上部はやはりボイラーにつっかえてしまったので、思い切ってモーター押さえを取り去り、テープで留めてしまいました。この上からボイラーがぴったり重なるため、見た目ほど不安定ではありません。

ロッドの組み立て

ロッド廻りは廃材や余ったパーツを利用しました。

メインロッドはKATOの旧C57の余りを使ったため、やたらとガッシリしています。

8800の長〜いエキセントリックロッドはリン青銅板で作り、端に加減リンク(旧C57)と返りクランク(C50記念品)をハンダ付けしました。
8800の返りクランクは後ろ側に傾くので、動輪への差し込み形状も多少削って調整しました。

合併テコはワールド工芸のキットの余りの加工です。クロスヘッド下部に設けておいた のりしろに、結びリンクを重ねて接着しています。

試運転

試運転でR315は普通に通過したので(写真は脱線していますが…)少し欲を出し、非公式側シリンダーをやや削り込んで、右回りのみR249まで通過可能にしました。左回りは未加工なのでR315のままです。何で両方やらないんですかね(笑)。

ただ、安易に使った旧C57由来の加減リンクが上下に長いため、エキセンロッド先端が下を向く場面が多く、どうにも格好が悪いのが気になりました。ここを作り直し、改めて下廻りを調整してから塗装しました。

完成

8800形 完成

相変わらずピンボケな感じの出来なのは恥ずかしい限りですが、製作全体を通して大きな問題は起きず、ちゃんと遊べるものになって嬉しいです。
(拡大写真)

C50記念品

種車のC50記念品です。もちろん私のボロ工作とは出来に雲泥の差があります。
8800と動輪の位置を大体揃えて撮影しました。実物同士も、それぞれの車輪径と、動輪軸距離・テンダー軸距離がほぼ同一です。

8800形前方


ナンバープレートはインクジェット用の金紙に黒で印刷して作りました。

デッキ上の標識灯のレンズは初め銀色に塗りましたが、この小さな模型ではかえって雑味になったように感じられ、黒で塗りつぶしました。

8800形後方

エンジンに比べてかなり低いテンダーは、増炭枠を付けずに作ってみました。
ドローバーは2mm程度切り詰めています。

ダブルルーフの客車の先頭に立たせると、ひときわ小さい感じです。

8800とオハ31系

この模型は終戦前後の姿を想定しましたが、その頃8800の主たる用途は入れ替えや貨物列車だったそうです。模型なら客車もOKですよね、きっと。

8800

これが私が作ってみたかった最後の機関車でした(今のところの話です)。
たとえへんてこりんな出来でも、自分で作ったものが市販の車両と一緒に走るのは楽しいです。こんな作りでいつまで持つかはわかりませんけども。


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