Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>貨車の積荷カバー(3Dプリンター)
2024.11.15
KATOのトラ45000やトキ25000(積荷カバー付き)は、カバーに隠された積み荷を表現しており、具体的な姿が見えないため量産品として上手な表現だと思います。
見よう見まねで別な形のものを作ってみました。
とはいえ楽なほうに逃げ、Blenderの物理演算(Cloth)をそのまま使いました。
オブジェクトは2つ用意しました。カバーの布と、被せる積み荷付きの車体です。
どちらもBlender上で用意できますが、私は寸法通りに作る作業についてはFusionのほうが慣れているので、ダミー車体はFusionで作ってからSTLファイル経由でBlenderにインポートしました。 |
クロス演算を行うため、カバーの布を編集モードで細分化しました。右クリック→「細分化」で4分割したら、Shift+Rを何度か押して繰り返し分割しました。
私の例では、ちょっと過剰かなと思うぐらい分割しないとスムーズな布表現になりませんでした。ただ小さいNゲージなので、それほど細かくしなくてもよいかもしれません。
細分化したらオブジェクトモードに戻り、物理演算プロパティの「クロス」を選んでクロスシミュレーションを設定しました。
一応、布が自分自身と衝突するのを避ける意味で「セルフコリジョン」のチェックをONにしました。が、その後思いがけず解除したようで、それに気づかず最後まで作ってしまいました。結果的にあまり影響がなかったか、無効だったようです。
ダミー車体のほうには物理演算の「コリジョン」を設定しました。コリジョンがないと落ちてくる布が通り抜けてしまいます。
準備はこれだけです。ほぼデフォルトのまんまだこりゃ(笑)。
スペースキーを押すと、布が落下してダミー車体を覆います。あっけにとられるほど簡単。
タイムラインを調節して、好みのシワやたるみができるあたりで止めます。
紐で引っ張って縛るなど、もっと表現を追加したいときは、モディファイアーを適用して形状を確定すれば通常のメッシュ編集もできます。私は相変わらず何もしませんでしたが…。なので、走り出したらこのカバーは風に飛ばされて吹っ飛んでいくのでしょうね。
このままでは厚みが0ですから3Dプリントができません。
「ソリッド化」モディファイアーを追加し、外側に0.3mm(Blenderの標準シーン単位では-0.03m)の厚みを付けました。使う樹脂によって厚みは増したほうがよいと思います。
ここでは面を滑らかにするため「サブディビジョンサーフェス」のモディファイアーも設定しましたが、もともと面の分割が細かいので蛇足かもしれません。
これらのモディファイアーは先に設定・表示してからシミュレーションすることもできます。本当はそちらのほうがいいのかもしれません。計算は少し遅くなります。
出来上がったので、カバーだけをSTL形式でエクスポートしました。後作業はないためFusionには戻さず、Blenderからの出力をそのままスライスします。
選択したカバーだけを出力するため「選択物のみ」をチェックしました。またモデル側のモディファイアーは適用していないため、ここで「モディファイアー」にチェックを入れ、適用された状態で出力されるようにしました。
スケールを10倍にしているのは、そのままスライサーのChituboxで読み込むとサイズが1/10になるためです。Chitubox側で拡大してもよいと思います。
Blenderで書き出したSTLをChituboxで読み込み、自動でサポートを付けました。傾けなくても造形できそうな形だったので、造形時間が短い水平置きにしました。
画面と変わらぬイメージで造形できました。
使ったのは黒色樹脂ですが、厚みが0.3mmのため透けています。2次硬化の紫外線がよく通りそうです。
グレーで内外を塗装し、貨車にかぶせました。ちょっと大きかったのですが、まずまずです。
KATOの標準の積み荷と混ぜると少し変化が出せます。
Blenderは3D CADであるFusionとは得意分野が異なるところがありますけども、使っている人は相当いますので、わからないことも調べればたいてい答えがあって助かります。