Nゲージ蒸気機関車2007年のメモ>2007.8.18(ドックサイダー蒸気機関車セット)

ドックサイダー蒸気機関車セット

ドックサイダー蒸気機関車セット

2007.8.18

1970年頃になると童友社、トミーなどから9mmゲージのトータルセットがいくつか発売されていました。今の基本セットと比べると、模型の知識が十分ないとつらい部分もありますが、線路を敷設して列車を走らせる楽しさは、現代のセットと変わりません。

[1] 2


昔のセットで遊ぶ

これはトミーが「トミーN(ナイン)スケール」のブランドで発売していた、「ドックサイダー蒸気機関車セット」です。中身はバックマン製品で、日本型としてアレンジされた車両はありません。しかし、約630mm×410mmというコンパクトなトラック一式と、車両5両、パワーパック、リレーラーなどがすべて含まれ、Nゲージとはどういうものかを知るには適したセットでした。値段はわずか6,800円(初期は単品詰め合わせで6,300円)で、これは当時としてもかなり安いものでした。

パッケージ 製品は一見さえないダンボールに入っています。外見からは、これが鉄道模型のセットであることはまずわかりません。よく見ると両側の黒いシールに、"DOCKSIDER" 0-4-0 SWITCHER 4 CARS SET との文字が見えます。
スリーブ 外側を巻いてあるダンボールを取り、内側のダンボールを開くと、「BACHMANN N SCALE」と書かれた格好いい機関車のスリーブが現れます。
セット内容 スリーブを取ると、透明カバーのついたプラスチックのケースに、車両とレール、パワーパックがきちんと収められています。彩りもカラフルで、これを見て値段を聞いたとたんに欲しくなってしまいます。
このケースのサイズは、横30センチ×縦19センチ程度のコンパクトなもので、現在の立派なトータルセットとはだいぶ違います。
機関車 ケースはF9など他の機関車セットと共用なので、長さの短いBタンクは、紙製のスペーサの中に収められています。
セット内容 すべての車両とレールを取り出したところです。
貨車はボックス車、ゴンドラ車、スリードームタンク車、カブースのボギー車4両です。カプラーは台車マウントのアーノルド型ですが、カブースはボディーマウントです。レールは半径約200mmのエンドレスです。下のほうに見える菱形の部品は、枕木の間にはめ込んで使うスナップリレーラーです。
ケース裏側 ケース裏側の台紙を外すと、パワーパックのリードワイヤー(フィーダー線)と、黄色いポータブルリレーラー、そして英語の取り扱い説明書が入っています。セットによってはぎこちない日本語版の説明書もありました。
この説明書の中では3ページをさいて、機関車の分解方法が詳細に述べられています。昔は時々動力車をバラバラにして掃除してやる必要がありました。
パワーパックを外す パワーパックはケースにネジ止めされているので、ドライバーを使って外します。このほか、フィーダー線(リードワイヤー)をパワーパックに着脱するのにも、いちいちドライバーが必要でした。
レールジョイントの修理 あとはレールをつなぐだけ…のはずですが、今のファイントラックやユニトラックのように、パチンパチンとはめ込んで完成というわけにはいきません。この頃のレールは道床のない固定式線路で、ジョイントもゆるかったりきつかったりで不安定なものでした。新品でも、ほとんどのジョイントをヤットコで締め直さなくてはいけないこともありました。また、曲線レールは8本つないで円にすると、外周・内周どちらかの長さが足りずに隙間があいたり、完全な円にならずにでこぼこしていることもありました。
レールをつなぐ もともとベニヤ板などに釘で固定することが前提の線路なので、机の上や平らな床の上にセットしないと、表面がデコボコになってうまく走りません。しかし、理想的な場所がないことも多かったので、ここでもあえて畳の上にセットしてみました。
敷設サイズは、新聞の1ページより少し大きい程度ですから、本当に狭い場所でも遊べます。当時のNゲージの売りは、とにかく「狭い場所でも楽しめる」に集約されており、カタログなどを見ても必ずHOゲージとの大きさの対比が出ていました。今はもう、どのカタログを見てもそんなものはありせん。
リードワイヤーのネジ留め パワーパックにリードワイヤーをネジ止めし、反対側のプラグをターミナルレール(フィーダー)に差し込みます。
このパワーパックにはセットによって青いもの、黄色いものなどもあり、特にトミーNスケールの後半のセットに組み込まれていた黄色いパワーパックは有名でした。単品の値段は2,000円でした。
機関車を載せる いよいよ機関車をレールに載せます。付属のポータブルリレーラーを使いますが、この機関車は動輪2軸しかなく、タイヤも非常に厚いものなので、本当はそのままポンとレールに載せられます。
他の車両も載せる

貨車4両を続けて載せます。直線部が20センチ程度しかなく、リレーラーを載せるとほとんど余りませんから、押し出された車両は曲線上で連結しなくてはなりません。一応カプラーは台車マウントなのですが、カプラーポケットの作りが貧弱で、高さやねじれが一定せず、うまく連結できないこともありました。

なお、当時のNゲージのカプラーがみな具合悪かったわけではなく、KATO製品は今と変わらず確実に連結できました。当時はトミー製品(ホンコン製)と、KATO製品の品質には相当に大きい違いがありましたが、とにかくトミーは価格を下げてNゲージの普及に努めていたので、品質の違いはある程度理解されていたように思います。

これで準備ができました。いよいよ走らせます。


[次ページへ→]

[1] 2

「Nゲージ蒸気機関車」トップページへ