Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>D51なめくじ北海道形(3Dプリンター)
2023.9.23
KATOのD51一次形東北仕様の下廻りに、以前作ったD51なめくじ基本形の3Dデータを改造して取り付けました。
昔読んだ、伊藤久巳氏の「蒸気機関車 形式D51」(イカロス出版 1996)という本に、D51 60号機の見事なサイドビューの流し撮りがありまして、とても印象に残っていたため60号機にしました。お持ちの方、P20〜21です。
ちなみに伊藤氏は蒸気機関車EX Vol43でもD5160について触れられています。短い文ですが情景がありありと描写されており、思い入れのあるカマとなっていたようです。
もともとD51なめくじのデータはあったので、それをもとに修正しました。
晩年の60号機は、密閉キャブ・切り詰められた除煙板とテンダー・砂撒き器のカバーが外されたドームなどが主な特徴です。北海道形の装備を3Dデータで用意したことがなかったので、想定よりも手間がかかりました。
とはいえデジタル製作ですからやり直しはできますし、形の似た部品は他のデータからコピーしてくればよいので、そうひどい目には遭いません。
画面上で形が少しずつできていくのは、金属キットを組み立てていく過程の楽しさと何ら変わりはないです(→私の場合)。
形状がわからなかった部分は想像でごまかしました。わかった部分でも、資料によって時代や路線が混在しています。
ちなみに流山に保存されているD51 14号機は60号機に似ている箇所が多くありますので、ずいぶん作図の参考にしました。
光造形式3DプリンターはPhrozen Sonic Mini 4K、UV樹脂はxUltrat Black、造形フィルムはpeopoly製です。ここしばらく同じです。
(積層ピッチ0.035mm、室温28度、露光は部品により4s〜5s、引き上げ速度50)
表面の仕上げは何もしておらず、アクリジョンのつや消し黒を調合して塗っただけです。光の加減によって除煙板やテンダー側面に縞模様が見えます。
ナンバープレートはやや色入れに失敗気味です。
点灯式ライトはKATOの部品ですが、ダミーの副灯は新たに作りました。
増炭枠は後ろいっぱいまであります。
枠とテンダー本体の合わせ目のラインは、あまりきれいにできませんでした。
いつも動力ユニットとの組み合わせがしっくりこなかったので、今回は事前にテスト造形を徹底的に繰り返して修正しました。
そこはうまくいったものの、出来上がってみると他の課題が色々見つかり、いつもながら見るのが辛い部分もあります。あと直し忘れとか作り忘れの類は悔しいですね。
●作図にあたってのおもな参考書籍(書籍名のみ・一部)
・蒸気機関車設計図面集 原書房
・蒸気機関車スタイルブック(旧版・新版) 機芸出版社
・蒸気機関車の角度 機芸出版社
・旅 1975年8月臨時増刊 日本交通公社
・国鉄時代アーカイブズvol.2 D51形蒸気機関車 ネコ・パブリッシング
・RM LIBRARY 65〜67 国鉄蒸機の装備とその表情(上・中・下) ネコ・パブリッシング
・蒸気機関車 形式D51 イカロス出版
・蒸気機関車EX Vol.43 2021 Winter イカロス出版
その他集めてきた写真多数です。市販書籍の図面や写真をそのまま3D CADに取り込んでトレスしている箇所もあります。
D51一次形の原形キャブに、ドアを追加して密閉キャブに改造しているところです。
一次形はキャブの前後長が短いので、ドアを付けると後部のひさしの張り出しがほとんどなくなります。
恐らく60号機の前面丸窓(旋回窓とは別です)は埋められていると思いますが、写真によっては丸枠だけ残っているように見えるものもあり、どうすべきか迷いました。
ただよく見ても有無がわからないのなら、なくていいと思い直して付けませんでした。手持ちの写真からしか判断できませんし、他にもいいかげんなところは相当ありまして。
造形後です。画面で見ると表現が強すぎると思ったところが弱かったり、逆もあったりで、未だに見込みが外れます。
ドア前後の手すりは最初0.3mmでサポートなしで造形してしまい、ぐにゃぐにゃになってしまってやり直しました。
→(自分用メモ) サポート付けないなら0.4mm程度でガマンが無難
いつもは除煙板の手すりを浮かせずに結合するのですけども、実験の意味もあり少しオーバーに浮かせてみました。
北海道形のデッキ前方の大型手すりは、破損に備えて別パーツにしたかったのですが、構造を考えているうち面倒になり一体化してしまいました。
折れたら真鍮線などで作り直すか、丸ごと再造形しても数時間で終わるのでいいや、などと。
造形後です。特に問題なく全部出ました。手すりの太さが0.4mmですから、実物換算で太さ6センチの極太です。
こちら側のステップはハシゴ形に作り変えられているようですね。
石炭がキャブの屋根より高く盛り付けられている写真が多かったので、ずっと同じパーツの使い回しだった石炭をようやく盛り直しました。
とはいえ、相変わらず粒を1個ずつ移動して地道に並べていくしか方法を知りません。
1つずつxy平面で、次いでzx平面で動かし、さらに前後の粒とうまく重なるように微調整し…をひたすら数日繰り返しました。
コンピューターを使っているのに、それとは真逆の非効率な作業をしているように感じるんですよね。Fusion360で何かいい方法がありましたら教えてください。
一方こちらは26年ほど前に、当時のKATO製品を使って北海道形なめくじを作ったときのものです。たまたま60号機を名乗っていました。
ドームの切り取りも副灯もありません。密閉キャブはGMの客車キットの余ったドアを付けたものと思います。
ライトやキャブのクレーンフック、タブレットキャッチャーなどは、銀河モデルのC62用パーツセットの余り物。
合併テコはプラ板を真鍮線でつないで接着。増炭枠はプラ板、テンダー前面は無改造。除煙板は前方を切り取って断面に縁取りのプラ板を張っただけ。
ナンバープレートは既存の模型の切り継ぎ。車体色は元のまま。
私の場合、こういうのでもいいなという気がします。半日ぐらいの工作でして、あまり難しいことを考えなくても楽しかった覚えがあります。