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FA-130モーターで走るD51(縮尺1/80) その2

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下廻りの製作(3)

次の大山は先台車と従台車です。これらを付けて、曲線が通過できるかどうか。
当初、もっと単純なデザインの模型(というよりオモチャ)を作ろうかと思っていたため、実はこれらを付けたときの曲線通過性について、何も考えていませんでした。

後台枠の構造

とりあえず従台車以前に後台枠もないので、以前作ったNゲージのD51の部品を拡大して利用しました。製作済みの台枠やモーターベースに取り付けられるように作り変えました。
横幅が相当に広いですが、この内部で従台車が左右に動くので、実はこれでもスペース的に余裕はありません。

後台枠の造形

この部品も左右に分け、間をつなぐ梁と一緒に造形しました。接着して一体化します。

従台車の取り付け方

従台車は、先端を動輪押さえの後部の突起にはめ込んで留めることにしました。
先台車も同じ要領です。

組み立てた先台車・従台車

先台車・従台車を造形して組み立てたところです。
車輪も左右2分割になっていて、一方に車軸が一体化されています。

完成した下廻り

できました。先台車・従台車は特に走行上大きな抵抗にはならないようです。しかし、KATOのR550カーブでは時計回りに周回させるとき、先台車がシリンダーブロックに接触して脱線することがあり、シリンダーブロック側を削って調整しました。反時計廻りだとまったく脱線しません。組み立ての誤差か何かが表れているのでしょう。

一応、ここまでできれば当初の目的クリアなのですが、下廻りだけ走らせても物足りなくなりまして、やはりちゃんと上廻りを作ろうということになりました。
この下廻りから作りやすいのは、D51・D52・D50あたりです。D50は動輪から作る必要がありますし、D52も手軽に作るにはちょっといくつか課題があって、素直にD51にしました。

上廻りの製作

上廻りは特に面倒な部分はなく、今までの3Dプリンターによる模型の製作と同様です。ただ1/80なので大きいです。

D51ボディ

元データは、以前作ったNゲージサイズ(縮尺1/150)のデータを1.875倍して1/80相当としました。

単純拡大のため、Nゲージ用に作ったリベット類の直径や溝の幅などはオーバーになりました。この3Dプリンターの性能的にはちょうどいい程度なので、そのままにしました。

一方、小さいNゲージサイズでは細くても強度が確保できていた部分もあり、1/80ではより太くした箇所もあります。逆にデフはやや薄くするなど、若干の調整はしました。

煙室とキャブの造形

ボディが一体ではサイズが大きすぎて造形できないため、3分割しました。

デフやキャブの側面は造形の積層痕が出やすいので、どういう出力方向にするか悩みました。過去一番実績のある方法にしました。
形が入り組んでいるため、層ごとの面積変化がなるべく少なくなるように角度を調整し、FEPフィルムからの剥がれ方に大きな差が出ないよう、外側に補助的な造形物を加えて出力しました。

煙室とキャブの取り付け

下廻りに仮組みして動きをテストしました。特に下廻りに干渉する部分はなく、重さのバランスが変わる程度なので、問題はないようです。

ボイラーの造形

ボイラー部は大きいので造形に14時間ぐらいかかりました。
私はサポート材を非常にたくさん立てるので、その作業にも時間がかかっています。

ボイラーのサポート除去

付けたサポート材は取り外さなければならず、乱暴にニッパーでカットしたりすると思わぬ部分が割れたりするので、これまた時間がかかります。

プラ模型ですと、ここを無理に切るとここが割れやすいなどと、大体予想がつくものですが、このアクリル樹脂は予想とはまったく異なる箇所が広範囲に割れたりします。モデル本体に接する部分は超音波カッターで慎重に切り取りました。私にはこの作業に超音波カッターは必需品です。3Dプリンターが安くなったので、いまや3Dプリンターより超音波カッターのほうが高くなってしまいました。

ボイラーの接合

3つのパーツを接着して一体化しました。

写真の上が今回作ったボディ、写真の下が元データのNゲージ模型です。私にとっては下のほうが普通の大きさですが、こうして比べると小さく見えます。

上下の組み合わせ

上下の組み合わせ構造です。
下廻り後部の突起をキャブの後板に差し込み、前側は下側からシリンダーブロックごと2mmネジでボディに共締めします。

ここだけ安易にネジを使ったのは失敗でした。電池を交換するたびにネジを外す必要があるので、樹脂のネジ山が傷みやすいのです。ネジにしても金属ナットを何とか使うとか、工夫すべきでした。

全体を最初からきちんと設計したわけではなく、動輪周辺から玉ねぎ式に付け足していったため、配慮を欠く構造になってしまいました。

テンダーの製作

テンダー車輪と台車

D51のテンダー台車のデータはNゲージでも作っていなかったため、新たに作りました。
車輪は従輪と同じピボット車輪を4軸造形しました。

台車上面

台車の枕梁はツルツルにしたかったので、水平造形しました。ちょっと見た程度では市販のプラ模型よりもきれいに出力されています。しかし、裏側はデコボコでめちゃくちゃです。

テンダー本体

テンダー本体は層ごとの形状変化がそれほど大きくないのと、UV樹脂の残りが少なくなってきたため、積層ブレを緩和する囲い構造は作らずに造形しました。
その代わり層を安定させるために、プラットフォームの上昇速度と、再着地の速度は大変ゆっくりにし、変な姿勢のまま前の層に結着しないようにしました。
結果はまずまずで、この程度ならつや消し塗装すれば、表面を何も処理しなくても使えます。

ただ、露光時間はちょっと少なかったかもしれません。側面をよく見ると、積層ブレ以外に、「ささくれ」のような剥離痕が少しずつ出ているからです。つまりFEPフィルムから引き剥がす際に、造形層の一部がめくれたようになり、それが再着地して次の層が造形された箇所があるようです。

変形の下準備(ボツ)

この大きさでこの造形方法を取ると、FEPフィルムからの剥がれ方の関係で、後部の上辺が上側に膨らみやすいのです。
それを補正するため、当初はモデル側を歪めて、図のように下側に湾曲させていました。

でも、この解決方法は何か違うよな…、と思い始めて、結局はまっすぐなデータのまま造形しました。

変形した上辺

結果、やっぱり上側に湾曲しました(笑)。まあ、いいです…。

なるべくこの面に縞模様が出ないよう、段々のピッチを一定にするため、造形角度は46.62度としています。今回の積層ピッチは0.05mm、一方水平ピッチは0.04725mmなので、θ=arctan(0.05/0.04725)です。

テンダー組み立て

テンダー台車は樹脂製のセンターピンで床板に留める構造です。

前方のドローバーは、破損時の交換がしやすいようにはめ込み式にしました(実際、あとで折れました)。首を振らない固定式なのでちょっと無理はあります。前側はキャブ下に用意してあるスロットに差し込みます。
カーブ通過の検証も兼ねて、ドローバーは長短2種類を用意しましたが、実物の縮尺どおりの機炭間隔で大丈夫でした。カーブ通過に関しては、機炭間隔よりも先輪とシリンダーブロックの干渉のほうが問題になりました。

組み立て

全体の仮組

全体を組み立ててみました。
ご覧のようにボロボロの外観ですが、結構D51に見えるようになってきました。

上廻りはこれからつや消し黒でサッと塗装します。車輪やロッド類など破損しやすい部品は、再造形することもあり得るので塗らずに使います。

塗装したボイラー

塗装したボイラーの拡大写真です。下地処理を何もしていませんが、つや消し塗装すれば色々なものがごまかせます。

3Dプリントの表面には水平造形面を除き、細かいギザギザや積層の縞が無数にあるので、少しでもツヤが出るとそれらが目立ちます。相当実力のある方が下地処理をしないと、光沢塗装するのは難しいと思います(私は無理なので3Dプリントでお召し列車は作れません)。

Nゲージ版ではうまく出なかったディテールも、一通り出力されていました。逆転棒の下の四角い穴は、電源スイッチを操作する穴です。

塗装したボイラー後部

加減弁ロッドを除き、配管類は一体造形のままです。
線が太く、ちゃんとした1/80スケールの機関車模型と比べれば野暮ったいです。ただ全体がこの粒度なので、比べなければ許せる感じです。

油断してサポートが不十分で、キャブ窓のひさしなどが歪んで造形されていました。細かい歪みは他にもたくさんあります。

塗装完了

安全弁・汽笛・ライトに色入れをし、ライトにはガンプラ用のレンズ(WAVEのH-EYES1の3.5mm)を少し削ってはめ込みました。

ナンバープレートはKATOのD51から余っていたものを拝借しました。そのまま取り付けられるようにモデルを作っておきました。

完成

完成しました。なんか1か月ぐらいかかりました。途中はもう、毎日毎日ひたすら3Dプリンターが動いていました。その間、UV樹脂は入れっぱなしです。

KATOの鉄道模型、ナガノのプラ模型と並べたところです。

3DプリンターのD51

FA-130モーターのD51(拡大写真)

模型としては実にアレですが現実を晒します。

KATOのD51(1/80)

KATO D51標準形(縮尺1/80)(拡大写真)

これは本物のプラ製鉄道模型です。なかなか再生産されません。

ナガノのD51(1/75)

ナガノ D51(縮尺1/75 プラ模型)(拡大写真)

もともとFA-130モーターで走ったナガノのプラ模型です。写真は末期のディスプレイモデル版です(ちょっと破損しています…)。

以下、今回の電池モーター版です。

FA-130モーターのD51 前から

拡大したNゲージといった感じのものです。

FA-130モーターのD51 後ろから
キャブ内のモーター

キャブ内にFA-130モーターが見えます。これを使いたかったんです…。

動くのか…?

すごい音ですよ(笑)。

走行動画

走行動画:MP4形式(6.97MB)

再生できないことがあるかもしれません、すみません(大した動画ではありません)。

ベーカーカプラーが付いたトレーラーがあれしかなかったのですが、ただ引っ掛けただけならKATOのワム90000×4両とヨ5000は牽けました。それ以上はプラ貨車を持っていないので不明です。
プラ客車のスハ43は1両が限界でした。2両・3両では動きが目に見えて遅く、苦しそうで無理でした。スリップはしませんでした。3Vかけて力を与えてみるといいかもしれませんが、どこかが壊れそうでまだやっていません。

ともかく、FA-130モーターで動かす念願は叶ったので、そこそこに嬉しいです。

FA-130モーターで動くD51

いかにも、造形物があれば簡単に組み立てて動くように見えるかもしれませんが、今のところ各部の作りが非常にずさんではめ合わせも悪く、それこそ昔の鉄道プラ模型並みにガリガリ工作しないと動くようになりません。強度的にも問題で取り扱いにも神経を使います。 特にロッド類には気を付けないと、絡んで出発できなくなります。この模型の構造をよく知っている自分でも、扱いには十分注意が必要です。
また3Dプリンターの機種や使用する樹脂、造形条件による違いも相当に大きく、製作にはサポート材の除去など神経を使う作業も必須で、誰もが同じデータから簡単に造形して楽しめるという理想には現状とても達しません。 そのへんが解決できると楽しいんですけども、課題がとても多いです。
(終わり)


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