Nゲージ蒸気機関車2008年のメモ>2008.7.6(EF210)

EF210

EF210

2008.7.6

実物の登場から数年で、KATOとトミックスの双方から発売されました。それぞれ0番台・100番台(前期・後期)が発売されています。模型にはそれぞれのメーカーの作りの特徴がはっきり出ています。


全体

トミックス EF210 トミックス EF210(拡大写真)
1999年の製品です。青とグレーがきれいに塗り分けられていますが、よく見ると境目に補助的な印刷パターンのような帯があります。これはトミックスだけではなく、KATO製品の一部にも見られます。塗り分けをくっきりさせるための工夫なのでしょうか。
トミックス EF210 100

トミックス EF210 100形(拡大写真)
2001年の製品です。100番台もKATOより早く発売されました。

0番台のような境目の帯は目立たなくなりましたが、とてもきれいに塗り分けられています。グレー部分の塗装は滑らかですが、やや厚めで一部ディテールが埋まっています。

KATO EF210

KATO EF210(拡大写真)
トミックスの発売から約半年後、2000年の製品です。心配された全長オーバーはありませんでした。

塗り分けはきれいにできていて、塗幕の厚みも適切でディテールがくっきり出ています。
KATO EF210 100

KATO EF210 100番台(拡大写真)
2003年になり、KATOからも100番台が追加されました。

塗り分けの品質は悪くなったように感じます。1両のなかでもぼけている部分とそうでない部分があります。私は老眼なので通常は気になりませんが、若い方はたぶん気になると思います。

KATO EF210 100 シングルアームパンタ

KATO EF210 100番台シングルアームパンタグラフ(拡大写真)
2008年の発売です。なお、トミックスからは2004年にセット品でシングルアームパンタグラフタイプがすでに発売されていました。

前面手すりなどが最近の仕様に変わり、ライトケースの表現も変わりました。塗り分けの品質は相変わらずで、特によい個体もないので、そこだけで品定めをしても仕方ないと思います。

模型化の方針の違いから、色合いがそれぞれ若干異なります。EF65などでもそうですが、青部分の色はトミックスのほうが濃くて近くで見たイメージ、KATOのほうは若干明るくて晴天時に遠くから見たイメージです。実物を見ても状況によってどちらにも見えるので、あとはお好みでしょう。実物の写真集などでも写真によってどちらかの色合いだったりします。

正面から

トミックス
トミックス
KATO
KATO

真正面から見ると、傾斜のついた独特の形がわからないので、ちょっと妙な感じがしますね。
トミックスのカトーカプラーは、製品付属のカプラーを分解して、Aタイプを削って組み込んだものです。KATOのナックルカプラーのトリップピンは、自分で穴を開けて取り付けたものです。

前方から

トミックス 0番台
トミックス(0番台)
正面のナンバーは黒い帯の台座と一体のプラパーツになっています。側面はさすがに側板丸ごとを差し替えるわけにはいかないので、ナンバー部分だけのブロックタイプになっています。
KATO 0番台
KATO(0番台)
ナンバーは正面・側面ともブロックはめ込みです。トミックス同様に前面手すりはありませんが、そのモールド表現はあります。このへんは付けるか付けないか悩みどころだったでしょう。窓ガラス下部には実物同様の黒マスクが入っていて引き締まった表情です。
トミックス 100番台
トミックス(100番台)
0番台と同様の表現です。トミックスのライトは表面までツライチのガラス表現になっていて、その奥にライトレンズがあります。
手すりはモールド表現もありませんが、自分で別付けの手すりを工作してみようという方には好都合かと思います。
KATO 100番台
KATO(100番台)
こちらも0番台と同様の表現です。ライトは表面のガラスがなく、少し引っ込んでヘッドライト・テールライトのレンズが直接見えます。
なおJRマークはトミックスと違い、厚みのない印刷表現です。
KATO シングルアームパンタ
KATO(シングルアームパンタ)
ナンバープレートが正面・側面とも文字の厚みのある転写シールに変わりました。ライトはトミックスと同様、表面にツライチのガラスが付きました。運転台など内装はグレーから薄い茶色に変更されており、斜め上から見るとなかなか楽しいものがあります。

パンタ周辺

トミックス 100番台
トミックス 100番台
これといってトミックスとKATOに表現の違いはありません。トミックスは斜めの塗り分けがシャープで見事ですね。
KATO 100番台
KATO 100番台
パンタ周辺はトミックスとよく似ています。斜めの塗り分けがぼけていますが、中には水平部分もぼけているのがあるので、これはまだいいほうです。
KATO シングルアームパンタ
KATO シングルアームパンタ
パンタが変わった以外は、従来の100番代と同じです。

桃太郎 ロゴ

100番台の桃太郎ロゴです。超拡大なので色々違いが出ていますが、通常の使用ではどれもよく印刷されていることを最初に申し上げます。

トミックス

トミックス
ロゴはくっきり印刷されています。

KATO 100

KATO 100番台
薄く、白く最高によく印刷されています。肉眼でほとんど見えない「ECO POWER」の小さな文字もかすれることなく印刷されています。グレー部分の塗装もよいので、これでブルーの塗り分けがよければ言うことなしでした。

KATO シングルアームパンタ

KATO シングルアームパンタ
前回よりは若干印刷が薄く、エッジも少々甘くなっているようです。といってもこの拡大率での話です。

台車・スカート

トミックス
トミックス
台車枠表面のディテールが細かく表現されていて、モールドもシャープです。EF510と違い、台車以外の床下機器もほぼ同等のシャープさです。
KATO
KATO
トミックスもシャープですが、KATOは拡大してもさらにシャープです(Nゲージに求められる細かさとしてはオーバースペック気味なほど)。スカート横にはヒンジ表現があります。もう次回生産への課題は塗装の塗り分け、これしかないでしょう。

ライト点灯

ライトを点灯させた様子です。ちょうど製品の発売時期が、白色LEDが利用され始めた頃から、さらにそれに味付けされた時期にまたがるため、いくつかの表現があります。

トミックス
トミックス
0・100番台とも黄色LEDです。セット品のシングルアームパンタタイプはどうなのでしょうか。
KATO 100番台
KATO(100番台)
0・100番台は白色LEDそのままで、冷たいど白に光ります。これはこれで好きだという方もいらっしゃるのでは。
KATO シングルアームパンタ
KATO(シングルアームパンタ)
薄い黄色になり、少し人間味が出ました(一般のパーツ店で売っている「電球色LED」と同色)。最近は各社製品にこうした余裕が出てきました。


トミックスの走り:「ジジジジジ…」と「ウィーーーン」の2重奏。
KATOの走り:「ヒュルルルルル…」と「イイイイーーーン」の2重奏。
わけがわかりませんね…すみません(素直に録音したほうがずっと早いわこりゃ)。

最近のNゲージの電気機関車の競作は、いつものことながらレベルが高いです。今と違って1980年代までは、KATOとトミックスの力の差が今より大きかったので、好きな車両がトミックスから発売されても、KATOから同じものが発売されるまで買わずに待つという人も、結構いたように思います。


●比較した模型について


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