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貝島炭鉱鉄道コッペル31,32号機(ワールド工芸)の組み立て

2017年発売のタンク機キットです。昨年の雨宮タイプ20tCタンクに続く、貝島炭鉱鉄道の機関車です。
雨宮タイプは小型でしたが、こちらは1C1のどっしりした印象で、かなり趣が異なります。
模型は昭和40年前後の姿とされています。

2017.6.18


ワールド工芸の最近のエンジンドライブ機の構成を踏襲しています。
材質は若干違い、下廻りフレームは近年多かった洋白ではなくリン青銅、細かい手すり類もステンレスではなくリン青銅です。このへんの使い分けは昨年の夕張鉄道11号機と似ています。

全体の組み立て方も特に変わったところはないので、かなり大雑把なメモです。写真も逐一撮っていなかったため、メモ書きと時系列が前後している部分があります。

床板

床板貼り合わせ

1. 床板の2枚を貼り合わせ。
2. 前部端梁を折り曲げ、デッキの網目板(曲げ済み)をはめ込んで固定。31号機・32号機でパーツが異なります。
3. カプラー解放てこ、エアホースを取り付け。最後に付けたほうがいいと思いますが、このときは何か考えがあって先に付けました。

前台枠取り付け

4. 前台枠(カプラー台・排障器付き)を折り曲げて固定。

他、各穴にタップを立てました。通常箇所はM1.4、前後のカプラー部はM1.2です。
今回は下廻りのラジアスロッド取り付けの際にM1.0が出てきます。

キャブ・タンク

車体基本

1. 前方裏側にある、床板への取り付けピンを180度折り返し。
2. 車体の内外の板をハンダ固定。先に折り返したピンも固定。
3. ステップを裏から差し込み固定。
4. タンク上板についている、給水蓋を折り重ねて貼り合わせ。
5. タンク上板の妻板部分に、模様の付いた表の妻板を貼り重ね、本体に固定。
6. 両サイドのタンク上部に手すりを固定。
7. 天窓レールと天窓を固定。

キャブ妻板と屋根との間には若干の隙間ができましたが、左右側板とぴったり合わせることを優先しました。

後部上側

1. 入口の上のひさしを固定。入口の形に合わせて、軽く丸みを付けます。
2. 後部タンクの上板を折り曲げ、後部妻板を重ねて固定。こちらも屋根との間に少し隙間ができたので、裏からハンダで埋めました。
3. 左右窓上の手すりを固定。
4. ライトを台座に付けて妻板に固定。
5. 入口前後の手すりを固定。
  入口後ろの縦の手すりは部品番号が書かれていません。D1-3が合ったのでそれを使いました。
  また入口前の水平の手すりはD1-4と書かれていますが、長さが合わないので、こちらもD1-3を使いました。
  (D1-4はあとでドレンコックに使うことがわかりました)

後部妻板やライト台座は、31号機と32号機でパーツを使い分けます。

後部下側

6. タンク側面の上部のステップを固定。
7. 後部板(曲げ済み)と、ステップ付きの端梁裏板を貼り合わせ、本体に固定。
8. 後部の手すり2箇所を固定。
9. カプラー解放てこを固定。
10. タンク側面の下部のステップを固定。
11. 入口の左右の手すりを固定。

床板固定

1. 床板に上物を固定。
2. 左右のタンクをつないでいた仮ブリッジをカット。

ボイラー

煙室

1. ロストの煙室に煙室扉を固定。
2. ライトを固定。
3. 煙室扉ハンドルを固定。
4. 特に説明書にはありませんが、小穴が2つ開いているので、0.25mm真鍮線を曲げて取っ手を付けました。
5. 消音機を固定。
6. ハンドレールを固定。今回は最初から穴が開いていたので簡単でした。

ボイラー

1. 車体と仮組みして位置を決めてから、煙室とボイラー(曲げ済み)を固定しました。
2. サンドドームを固定。
3. 安全弁、汽笛を固定。
4. 逆止弁を左右に固定。
5. 砂撒管を0.25mm真鍮線で作り固定。
  サイドタンクに砂撒き管を収める凹みがあるので、そこに合わせて位置を決め、下側はボイラー下端にハンダ付けしてカットしました。

公式側配管

1. 組み立てたボイラーと煙室を、キャブと床板に固定。
2. 逆止弁の配管を固定。中間の2箇所は、付属の配管バンドでボイラーに留めました。
  他にリング状の配管留めも付属しています。
3. 単式コンプレッサーの空気排出管を固定。
4. 単式コンプレッサーを固定。
5. 空気チリコシの配管。前側は単式コンプレッサーの裏側下の溝に固定。
  後ろ側の空気チリコシ(ただの板表現)は、ランボードに差し込み固定。
6. 単式コンプレッサーの蒸気管を固定。前側は煙室の手すりの下をくぐらせ、消音機の横に固定しました。
  配管が一番下がっているあたりを少し手前に寄せ、単式コンプレッサーの裏の溝に入れて固定しました。
  ボイラーに沿って後ろに伸びる部分はブラブラしないよう、ボイラーバンドにハンダ付けしました。

非公式側配管

1. 逆止弁の配管を固定。
  後ろ側は、キャブ妻板に2つ並んでいる穴のうち、手前の穴に入れるものと思いましたが、何となく長さが合わず、奥の穴に入れました。
2. オイルポンプ箱を固定。

床下

後部床下

1. 左右をつないでいた仮ブリッジを、そろそろカットしました。
2. 左右の空気タンクの取り付け座(A2-6とありますがA2-5の誤り)を、床板とキャブ裾の凹みに合わせて固定。
3. 空気タンクを取り付け座に差し込んで固定。
4. 空気タンクの後ろの穴から前方にかけて、0.4mm真鍮線で配管を固定。ここの配管も時代によって変化があるように見えますね。
5. 空気タンク前側に短い配管を固定。下廻り取り付けのときに邪魔なので、付けなくてもよいと思います。

後部床下続き

6. ハシゴを固定。細くて曲がりやすいので、裏側に0.3mm洋白線を沿わせて補強し、タンクとの隙間をなくして固定しました。
7. エアホースを固定。
8. 汚くて見えませんが、ここにカプラー台+排障器が付きます(説明書ではA2-[×]と書かれていますがA2-4です)。
  カプラー取り付け穴をM1.2タップでネジ切りしてから付けます。

前部床下

1. ハシゴを固定。
2. つかみ棒を固定。これも31・32号機で異なるパーツが指定されています(32号機用は短いエッチング)。

下廻り

フレーム

1. 公式側の車輪座を折り曲げて貼り合わせ。
  各部、直角に起こす部分があるので、ひとつずつ曲げながら貼り合わせていきました。
2. ギヤのスペーサーをハンダ付けしておきました。あとでギヤと一緒にネジ留めしてもOKです。
3. 非公式側の車輪座を折り曲げて貼り合わせ。
4. 左右の車輪押さえを折り曲げて組み立て。軸受け部分、ブレーキシュー、底の固定穴を折り曲げます。

ネジ切り箇所が多数ありますが、すべてM1.4です。

モーターブラケット、台車等

1. モーターブラケットを組み立て。
2. ラジアスロッドの取り付け座を折り曲げてハンダ補強。このパーツの左右2箇所だけ、M1.0タップを使用します。
3. 先台車と車輪押さえを組み立て。
4. 従台車と車輪押さえを組み立て。説明書では先台車と同じA3-2になっていますが、A3-3の誤り。

シリンダーブロック

1. シリンダー外板を折り曲げて基本形を作り、上板(A2-8)を貼り重ねました。
2. 前側に、前蓋の模様が付いた板(A2-6,A2-7)を貼り重ねました。
3. 付属の0.8mm真鍮線を差し込んで固定。いつもは真鍮挽物のバルブカバーを固定して表現する部分です。
4. シリンダー外板(曲げ済み)を固定。
5. スライドバーを磨いて奥まで差し込み、固定。
6. ドレンコックを固定。

生地完成

1. スチームドームを固定。熱に弱いホワイトメタルが使われているのはここだけです。

これで金属部品が揃ったので塗装します。

組み立て

上廻りの仕上げ

1. 前後のライトを銀色に塗り、レンズを接着しました。
2. 安全弁と汽笛を金色に塗りました。
3. 前後左右にナンバー類を接着。取り付け位置は時代によっていくつかあるようです。
4. 前後のカプラーを取り付け。カプラーは前後とも、マグネ・マティックカプラーNo.2001のショートタイプを使います。

先台車・従台車

先台車・従台車を組み立てました。

完成後、固定式線路のポイント(ゲージが9mmを超えている箇所がある)で先輪が脱線することがあり、先輪の左右間隔を約0.2mm広げて脱線しないようにしました。

ギヤ取り付け

1. 小ギヤ2個を小ギヤ軸で固定。小ギヤ軸の頭のバリは削り取っておきました。
2. 大ギヤを大ギヤ軸で固定。この3つのギヤが噛み合って軽く回ることを確かめます。
3. 真鍮挽物の大ギヤカラーを挟んで、中ギヤを中ギヤ軸で固定。単独で軽く回ることを確かめます。
4. 前後2箇所のメカステーの下に、ワッシャーD2-3を挟んで固定。

左右フレームの組み合わせ

1. メカステーの頭に絶縁ワッシャーを挟んで、手前の車輪座を重ねました。
2. 絶縁ブッシュをはめて、左右の車輪座をネジ留めしました。前後2箇所同様に固定しました。
3. 左右の車輪押さえを一度固定。
4. 3つの軸穴に2.5mmヤスリを通し、塗装をはがしておきました。その後車輪押さえは外します。
5. あとでモーターの配線ラグをネジ留めして集電するので、M1.4タップをもう一度通して塗装をはがしておきました。

動輪とモーター取り付け

ここのハンダ付けは電気配線なので、金属用フラックスを使わず、ヤニ入りハンダを使用しました。

1. 動輪をギヤ軸に圧入して軸受けに入れ、車輪押さえで留めました。
  輪心は中央の穴を2.5mmヤスリで少し広げてから、右側90度先行ではめ込みました。
2. 向きに注意してモーターをネジ留め。
3. モーターブラケットの突起をモーターの端子(+マークのないほう)に重ねてハンダ付け。
4. リード線の被覆をむいて、+側端子にハンダ付け。
5. もう一方のはD2-8ラグにハンダ付けし、車輪座にネジ留め。レールに置いて通電し、モーターが回転することを確認します。
6. ウォームを所定の位置に差し込み、エポキシ系接着剤で固定。大ギヤとの噛み合わせはちょうどよかったです。

ラジアスロッド取り付け

1. シリンダーブロックと、ラジアスロッドの取り付け座をネジ留め。
2. エキセントリックロッドを通す穴を90度折り曲げておきました。これが固くてやりにくいです。
3. ラジアスロッドを後ろから差し通し、先端をシリンダーブロックに差し込みました。
4. ラジアスロッドをM1.0ネジで固定。

各種ロッド取り付け

1.サイドロッドを第1動輪にクランクピンで留めました。ある程度深く留めないと、クロスヘッドとピンが干渉します。
  サイドロッドは、第2動輪ピンがない簡易タイプを使いました。
2. クロスヘッドのピストン棒を磨き、長さを調整。
3. クロスヘッドの裏側の溝を磨き、スライドバーに取り付け。メインロッドはわずかに内側に曲げておきました。
4. エキセントリックロッドの先端を穴に差し込み。
5. リターンクランクのピンを、メインロッドとサイドロッドに通して、第3動輪に固定。

回転が問題ないことを確認し、反対側も行いました。

上下合体

1. 動力部を上廻りに3箇所のネジで固定。
2. 先台車にバネ・カラー・ワッシャーを通して固定。バネは2巻ほどカットしました。
3. 同様に従台車を取り付け。

試運転のうえ、要所に少量のオイルをさして終了しました。

基本的には模型に油をささない主義ですが(私、扱いがヘタで余計なところに油をつけてしまうので…)、この手のキットに効果があるのは実感しています。
きちんと工作できていないために動かない場合は、いくら油をさしても仕方がないと思いますけど。

完成

31号機として組み立てました。手持ちの資料で、この模型に近い時期のものがなかったので、各部については説明書のとおりとしました。
けっこう静かで(キットとしてはかなり静か)、安定して走りました。うまくいったと思います。

貝島炭鉱鉄道31号機(ワールド工芸)

シリンダーブロックと煙突の前後位置のズレが大きい、特徴ある形態です。

貝島炭鉱鉄道31号機(ワールド工芸)

煙室扉がボイラー中心より下にあるのも面白いです。デッキが下がっていてボイラー中心が高いので、このほうが作業性がよいのかもしれませんね。

貝島炭鉱鉄道31号機(ワールド工芸)

後姿は、長円形の窓の上に、斜めに下がった手すりが眉毛のようで、ちょっと困り顔な感じです。

貝島炭鉱鉄道31号機(ワールド工芸)

左が先週組み立てた雨宮20tCタンクの貝島炭鉱タイプです。ずいぶん大きさが違います。

貝島炭鉱鉄道31号機(ワールド工芸)

これで昨年以来の金属キットの積み残しはなくなりました。金属キットでは、プラ完成品にない色々な形の機関車が手に入るので楽しいです。
あまり連続して組み立てると、結構体にきますね。同じ姿勢を続けているからなんでしょう。アリナミンEXをずいぶん飲みました。
趣味なのでいいですが、これが仕事となると相当辛そうです。身の回りの物事は、色んな人の肩こりに支えられているところがあるのかも。


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