Nゲージ蒸気機関車2009年のメモ>2009.10.14(固定式線路のプランを道床付き線路で)

固定式線路のプランを道床付き線路で

2009.10.14/2013.4.3

固定式線路のレイアウトプランを現在の道床付き線路で組んでみた、という一言で済む内容ですが、実は少し工夫をしないと、そのまま組めないことがあります。


初めのころは、畳1枚でも本格的なレイアウトが楽しめるとか、テーブルの上でも楽しめるというのがNゲージの第一特長とされていました。 そんなわけで、関水金属の固定式線路時代のレイアウトプランには、こうしたスペースに収まることを重視したものが多くあります。その中で、テーブルに載る極小スペースながら、待避線があって2列車が運転できるものを選びました。

最小サイズの側線付き環状線

最小サイズの待避線付きレイアウト

このプランは、1972年の関水金属のレイアウト・プラン集からの引用です。「最小サイズの側線付き環状線(N51)」の名で最初に載っています。

当時の固定式線路はアトラス規格のものですが、掲載のプランも元はアトラスのプランであると伺いました(ありがとうございます)。今ならもっと小さい曲線もありますが、ここで使われている曲線R249は当時の同社の最小半径で、すべての車両がこの曲線をクリアできるようになっていました。

実際に組むと、外接サイズで58×67センチ程度ですから、小型のこたつ天板に十分収まります。茶の間でテレビでも見ながら―迷惑がられるでしょうが―運転ができます。

メインのエンドレスは真円ではなく、上下に少しつぶれた長円形になっており、あまり玩具的な感じはしません。 一般的な直線入りのエンドレスにポイントを入れて、側線をぐるっと回す方法では、全体のサイズが大きくなってしまうので、カーブの途中から側線を分岐させてスペースを節約しています。唯一の直線は斜めのポイント部分だけです。

固定式線路で組んだプランN51

実際に74cm四方のこたつの上に組んでみました。指定されている線路そのままなので当然組めます。固定式線路はジョイナー部が非常に頼りないので、常時「なじませつなぎ」のような感じです。

エンドレスの基本セットのような平行な直線部分がなく、走行中に緩和曲線も含めて3種類の曲率を通過するので、意外と変化があります。しかも側線部で2列車を交互に運転できるので、小さい割に楽しめるレイアウトです。 ただし、固定式線路のポイントは非選択式なので、2列車を運転するにはそれぞれのセクションにギャップを切って、フィーダーとスイッチを追加しなくてはいけません。

プラン集の本文には、「この大きさでも、建物や木を配置すると、たいへんにぎやかなレイアウトになります。」とあります。たぶん本当だと思います。

2009年時点では、KATOのカタログから固定式線路の曲線もポイントも消滅しているので、あえて新品でこれを再現することは困難です。

ユニトラック(KATO)にて

ユニトラックに置き換えたプランN51

固定式線路の曲線半径や直線の長さは、現在のユニトラックに引き継がれています。しかし固定式線路とユニトラックでは規格の違う部分もあり、1対1に完全置換することは残念ながらできません。半径は同じでも、曲線レールの規格(中心角)が異なるためです。

昔の固定式線路のR249やR282の中心角は30度(12本で円)でしたが、現在は45度(8本で円)に変更されています。 しかしどちらも15度の倍数ですから、ふだんあまり使わない15度の短い曲線を併用して工夫すれば、全体で同じ長さにすることができます。

4番ポイントに接続できない
ポイントも問題です。固定式線路の標準ポイントに一番近いのは4番ポイントです。しかし、ユニトラックは広い道床が邪魔で、図のA部分の接続ができません(ちなみにこれをPlayTrackで試すと、接続点に×印が付くのでわかります)。ふつう4番ポイントのここには、道床の一部が削られた付属の補助線路を入れるのですが、補助線路は直線なのでここでは使えません。

少しプランを変更し、前の図の▲の部分に直線S62と補助線路を挟んで横に伸ばしてやれば、一応接続はできます。

道床の一部を削る
しかし、ここでは「最小サイズ」であることが大切なので(笑)、一方の曲線レールの道床を補助線路のように削り取って、プランどおりに接続しました。

この写真ではR481のほうを削りましたが、R282を削ったほうがよかったかもしれません。というのはこの位置では、R481のジョイナーを、ポイントの補助線路に付いている幅が半分のものに交換しないと、接続ができないためです。

ユニトラックで組んだプランN51

ともかく組めました。フィーダー線路を取り付ける場所がないので、ターミナルユニジョイナーを挟む必要があります。側線には5〜6両もの編成を置くことができますが、気動車2両とか、蒸機+客車2両という感じが似合うかもしれません。

本線は半径249mmとやや狭めですが、緩和曲線があるので走行はスムーズで、見た目にも違和感は少ないと思います。KATOの在来線型の車両は蒸機を含めてすべて走れますし、先日発売されたトミックスのC57(R280以上)も一応走りはします。

このように必要に応じて道床の一部を削って使えば、そのままではできなかった小スペースのレイアウトも色々と組むことができます。

ファイントラック(トミックス)にて

ファイントラックに置き換えたN51

このサイトはユニトラックの工作記事が多いですが、私の使用経験はトミックスのほうが長いです。まあここではあまり関係ないです…。
ファイントラックは道床が狭いので、接続においてユニトラックのような制約はありません。ユニトラックのR249をC243に、R282をC280に、R481をC541に置き換えてやれば、大体同じになります。

ファイントラックはフィーダーをどこにでも設置できるので、フィーダーの工夫も必要ありません。

ファイントラックで組んだプランN51

ユニトラックの広くて厚い道床が実感的に見える場面は多いですが、小さいレイアウトでは道床の狭いファイントラックも、空間が広く見えるという点ではなかなか良いものです。どちらがお好みですか?

レイアウトの外周サイズは、ユニトラックが59×68cm、ファイントラックが58×69cmと、ほとんど同じになります。 ただファイントラックでは規格の違いから、側線の間隔が狭くなりすぎるので、両方の側線に20m級の客車編成を置くと接触することがあります。2箇所のC280−45とC280−15の間に端数レールのS18.5などを入れて、わずかに間隔をあけると安心です。


レイアウト・プラン集

ところでこのプラン集ですが、「Nゲージファンのみなさまへ」と題した中に次の1文があります(関水金属レイアウト・プラン集1972年より引用)。

「Nゲージの規格レールは、そのまま接続して、すぐにも車両を走らせることができますが、レールが短くて継目も多いので、床面の凸凹の影響を受けやすく、その上、道床が付いていないので、ほこりを拾いやすいこともありますので、なるべく固定式のレイアウトで楽しまれることを、おすすめいたします。」

メーカー著とは思えないほど、固定式線路の短所が淡々と並べられていますが(笑)、書き手の方の模型好きな様子が何となく感じられて味わい深いです。

表紙を飾っているのは保里 康太郎氏の素敵なレイアウトです。今よりもはるかに市販のパーツや素材が少なかったのに、40年以上経った今でも見劣りしないばかりか、Nゲージの特長や魅力を十分に引き出されています。レイアウト作りの多くは、作り手のセンスや表現力によるものなのですね。

現在発売されているユニトラックガイドブックのレイアウトプランは、どちらかといえば基本セットを組み合わせ、広い場所で長編成を走らせることが重視されているようです。現在の鉄道模型事情に合わせたものと思いますが、たまには逆に、ユニトラックではやや苦手な、狭い場所で色々楽しむためのテクニックも見てみたいと思います。


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