幼稚園をやめた話


毎朝仕事や学校に行くのがおっくうだということはありませんか。

ずっと低レベルな話ですが、
幼稚園のとき、まさに通園がゆううつでたまりませんでした。
同じ長屋街に住んでいた子供たち(うじゃうじゃいた)と一緒に、
自分も近くの幼稚園に通うものと思っていたのですが、
なぜか、はるか遠くの幼稚園に越境で通うことになってしまいました。
定員からあふれてしまったのでしょうか。
そんなわけで、普通の路線バスで、サラリーマンや学生に混じって遠路を通い始めました。

別に幼稚園自体がつまらなかったわけではないのですが、
環境の変化で子供なりにストレスがたまっていたのでしょうか。
次第に幼稚園に行くのがいやになりました。
近所の子供と幼稚園が違うと、共通の体験も少なくなります。
しばしば話が合わなくなっていくのも辛いものでした。
そのうち朝になると体調が悪くなることも増え、
親も先生と何度か相談していたようです。

ついにある日の幼稚園の終わり際、先生に
「ぼくは今日限りで幼稚園をやめます」と、口頭で退園届けを出しました。
辞表はその日の最後に出すものだと、長屋の大人たちに聞いていました(笑)。

先生は割と真顔になり、帰ろうとしていたみんなを集めてこう言いました。
「豊沢君が幼稚園を辞めると言っています。
どうして辞めたがっているのか、みんなよく考えてみてください」

…いえ、ただ行きたくなかったからなんですが(笑)。

さてこれで晴れて幼稚園を辞めることができました。やった!
一応、帰ってから親に報告しました。

退園1日目

もう幼稚園に行く必要はありません。
家で汽車の絵を描いたり、汽車の工作をしたりと好きなことをしていました。
(今と同じだこりゃ)
晴れ晴れとした気持ちです。明日は何をしよう。

退園2日目

朝起きたら幼稚園かばんを首にかけられ、母親と隣のおばさんに両腕をつかまれて、
有無を言わさずバス停まで引きずられていきました。
満員の路線バスにぶち込まれたら、そこにはすでに幼稚園の先生が2人乗っていて、
その場で捕獲され、幼稚園に連行されました。

その後、退園届けを出したことはありません。
「行きたくない」ことと「行かない」ことは別だぞッ!っていうことでしたね。


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