Nゲージ蒸気機関車2012年のメモ>2012.4.10

ナスミス・ウィルソンA8(600形)の修理

2007年発売のキットです。下廻りの組み立てに苦労した覚えがあります。
久々に動かしたところ、何だか動きが悪くなっていまして修理しました。物の修理が大好きという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。無事に直ると嬉しいですよね。


修理調整

原因のひとつはすぐわかりました。第2動輪の駆動軸が曲がっていました。
組み立て後に何か力を入れてしまったか、もともと大して調子が良くなかったのを、当時の自分の要求水準が低かったために許容していたのかもしれません。
私は昔組み立てたものがあとで動かなくなっていることがたまにありまして、やはり組み立て技術に何か問題があったと言わざるを得ません。同時期に買ったメーカー完成品は年月が経っても平気だったりするのです。

動輪の組み直し

問題の第2動輪は一度引き離し、新しい駆動軸で組み直しました。ついでに軸穴も再度調えておきました。ロッドのない状態では完全に復調したので、まずはOKです。

この製品は輪心が真鍮ロストです。ショートを防ぐために、ロッドピンを差し込む穴にプラ製の絶縁ブッシュを埋め込む構造になっています。
サイドロッドを取り付け、動きが悪化していないことを確かめました。位相がずれていると合わせにくいので一安心です。

メインロッドの取り付け

キットにはクロスヘッドが2種付属しています。一方は簡易型で、他方は写真のように上下のスライドバーの間にはまりこむものです。 こちらのほうが難しいようですが(説明書には上級者向けという脅し文句?がある)、思い切って使ってみました。

調整が難しかったのは、メインロッドがスライドバー後部の縦棒に擦れてしまうことで、そこを逃げるようにロッドを曲げたり色々苦労しました。ただこの過程は5年前の組み立て時に終えていたので、今回は再び取り付けるだけです。

輪心が金属なので、ロッドピンの差し込みが深すぎるとショートすることがあるそうです。またこの形式は車高が低いので、動輪の上側が床板にめり込んでいます。ピンが浅すぎると回転につれて床板にぶつかるので、床板の一部を削っておくように指示があります。

床板を削る

これでスムーズに走るようになったのですが、従台車を取り付けると動輪が空転したり、たまにショートしたりするようになってしまいました。以前はこんなことはありませんでした(こういうのがとても不思議)。

従台車の上部の空間が微妙なので、わずかな取り付け高さの違いでこういうことが起こるようです。当たりそうな部分の床板を削って調整しました。普通は関係なさそうに思うのですが。
むしろ、中を通っているリン青銅線の調整具合に左右されそうな感じです。

従台車の調整

この従台車は、0.2mmリン青銅線の復元バネが通っているのですが、その長さが短いために柔軟性が十分ではないようです。 私のレイアウトでは復元バネを使わないほうが台車の動きがよく、断然よく走ったので、そのように完成させました(後退時に支障が出ることがあるので要調整です)。

もともと集電シューがついていましたが、なくても集電に問題はなかったので、今回は取り付けませんでした。

先輪の様子

小形の機関車ですが、見かけほどは小さなカーブに適していないようです。というのはこの機関車は先輪〜第2動輪まで台枠に一直線に固定されており、左右に首を振るのが従台車だけだからです。
模型としては先輪も横動すると調子が良さそうですが、少しでも先輪が横動すると、直ちにクロスヘッドやスライドバーに当たるのでたぶん無理です。
でも少なくてもR249あたりまでは普通に走るので、一般の蒸機が走るレイアウトでは大丈夫だと思います。

修理完了

故障前よりもずっと安定して走るようになりました。三井埠頭5号Cタンクの説明書にならい、軸受けに微量の油を付けてみましたが快調です。この理屈はやっぱりわかりません。集電性能を損ないそうなものですが。ただ結果というものは、自分が想像できる1つだけではないのだな、ということはわかりました。
導電性オイルも試しましたが、粘性が高いため私の作例には適合せず、かえって走りが悪くなりました。

走行

プラ貨車1両分ほどの牽引力しかないと説明書にありますが、5〜6両の小編成は問題なく牽けました。引き出しに注意すればもっと行けます。ただし平坦線です。
こういうのが安価な完成品であるといいですね。でもそういうものがよく売れる時代はきっと終わったのでしょうね。河合商会のB6が、このジャンルの精一杯の状況ではなかったかと思います。

完成

完成

岩波書店の「きかんしゃ やえもん」に特徴がそっくりです(文:阿川 弘之氏、絵:岡部冬彦氏)。本をお持ちの方は比べてみてください。
「わしだって シャー、わかいころは シャー、」でしたっけ…仮名遣い不正確。今はウチにないんです。「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」は3冊目がありますが…。

小形で車高も低いので、トミーのK.S.KタイプCタンクと並べるとこんな感じです。

A8+Cタンク

キットには車番のインレタも付属していますが、取り扱いの際に剥がしてしまいそうだったので、付けませんでした。そろそろ乾いて使えなくなっているかもしれません。


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