Nゲージ蒸気機関車2012年のメモ>2012.12.30

9600のモーター撤去

マイクロエースのD51と9600の重連が協調しにくいので、一方のモーターを撤去できないかとのお問い合わせがありました。
確かにこの組み合わせは極端に速度が違うので、スムーズに重連しにくいです(それでもキマロキセットは発売されたのであった…)。ゴムタイヤを傷めそうな気がして、私もあまり長時間は重連させないようにしています。
撤去自体は比較的簡単です。ただし、本来の目的を達しようとすると、色々問題もありました。


モーターを外したり、動力部を分解しているだけですので、通常の動力メンテと同じです。
しかし、分解が原因で車輌を壊したり不調をきたしたりしても、私にはどうすることもできませんのでご了承ください。

個体差によって、噛み合わせが固くて外れにくい場合などもありますので、無理を感じたらおやめください。

モーターを外す

これ自体は簡単です。

ボディーを外したところ

はじめに…
これはすでにボディーを外したところです。動力部の側面後部に短い突起があり、これがボディーの対応部分の裏穴にはまっています。
よって、ボディーを広げながら動力部を引き離せば、上下を分離できます。

ボディーの分離中

ボディーを開くときには、ランボード下側のディテールをへし折らないようにします。また、キャブは別パーツの接着なので、キャブのあたりを開くと接着が外れる恐れがあります。
9600の場合、エアータンクのあたりを両側に開くのが安全なように思います。

ボディーを少し開きながら、モーターの後部を下側にずらすようにすると、動力部がボディーから抜けてきます。

モーター押さえ

ボディーを外すとモーターがむき出しになります。

モーターの後部は、軟質プラのモーター押さえでダイキャストブロックに固定されています。モーター押さえは、下部を両側にぎゅっと開きながら剥き取るようにすれば、後方に引き抜くことができます。

モーター押さえを外したところ

こんな具合です。

モーターを抜き取る

モーターを外す前に、どちらが上になっていたか、モーターに印をつけておくとあとで便利です。

モーターはまっすぐ後ろに抜けば簡単に取れます。9600の場合、ウォームがシャフトに直付けされているので、一緒に外れてきます。これで動輪はフリーとなって、指で回せるようになります。

モーターを外した9600

運がよければ、これで他の機関車に押したり引いたりしてもらえるのですが、私がいくつかテストしたところでは、うまくいかないケースが多々ありました。

  • 動輪の回転がしぶく、あまりよく転がらない
  • 自走できなくなったため抵抗が大きく、相棒の動力車が空転し、走れなくなるケースがある

うまくいけばラッキーですが、もともと、重連すると動きがぎこちないのでモーターを外そうとしたのに、
その結果、別の理由で動きがぎこちないのでは、意味がないですよね。

内部のギヤを外す

この9600の場合、内部に残っているギヤも撤去すると、走行中のスリップはなくなり、動輪がうまく転がるようになりました。
それでも抵抗は大きく、相棒が時々空転してしまうのは変わりませんでした。

以下は単に、普通の分解掃除の手順と同じです。
時期によって内部の構造には少し違いがありますが、方法は概ね同じです。

初めてのときは、1手順ごとに写真を何枚も撮り、部品の向きや取り付け位置がわからなくならないように対策することをお勧めします。

床板のビスを外す

機関車を裏返し、床板の前後2箇所のビスを緩めて外します。

床板を外したところ

床板を外すと、テンダーと先台車も外れます。

この状態でひっくり返すと動輪がこぼれ落ちてきますが、最後に組み立て直すので、特に気にする必要はありません。

シリンダーブロックのビスを外す

シリンダーブロックのビスを緩めます。シリンダーブロックは外さなくても左右の分離はできますが、外したほうが楽かと思いました。

シリンダーブロックを抜き取る

シリンダーブロックを少し持ち上げて浮かせ、前方に引き抜きます。

モーションプレートを外す

モーションプレートの裏側にはパイプ状の突起があり、これがダイキャストブロックのピンに差し込まれています。
ピンセットやマイナスドライバーなどをテコのように使い、モーションプレートのパイプを動力部のピンから外します。

かなり固いことがあるので、勢い余って思い切り外側に飛ばしてしまわないように注意します。あまり固いようだと、ちぎれる恐れがないとはいえないので、外すのはあきらめます。

動輪を外す

これで、4つの動輪はロッドごとダイキャストブロックから外れます。

第二動輪にはクランクピンがないので、単独で外れます。

ダイキャストブロックのビスを外す

内部のギヤを取り外すため、ダイキャストブロックの左右を分離します。
前後2箇所のビスを緩めますが、反対側にある六角ナットが取れてくるので、なくさないようにします。

左右を分離したところ

ネジを外したら、慎重に手前側のダイキャストブロックを持ち上げて分離します。

左右のブロックの間には、ギヤのほか、絶縁スペーサーや絶縁ブッシュが入っています。どちらか一方のブロックにくっついていることがあるので、知らぬ間になくさないよう注意します。

機種によっては、前後のネジに違いがあることもあるので、確かめておきます。

ギヤを外す

内部に残っているギヤを外します。
内部には油が付けられているので周りを汚さないようにご注意。

ダイキャストブロックを閉じる

ダイキャストブロックを元通り閉じ、前後のネジで留めます(写真は使い回しです…)。

内部のスペーサーを忘れないようにします。また、前方のライトユニットがきちんとはまるように気をつけます。

動輪

動輪を取り付ける前に、第三動輪のリターンクランクを外しておいたほうが楽かもしれませんね…。

リターンクランクピンを外す

外すには、メインロッドの下側に細いピンセットなどを差し込み、テコの要領でクランクピンを持ち上げるようにします。慎重に…。

動輪から外れたバルブギヤー

クランクピンを外したら、サイドロッドを残して、ロッドやバルブギヤー部が動輪から外れます。

なお、青い矢印で示した部分は、ただはめ込まれているだけなので、外れることがあるかもしれません。外れたら、元通りはめ込んでおきます。

動輪の取り付け

動輪を元通りはめ込みます。もうギヤがないので面倒な位相合わせは必要ありません。また、第二動輪は完全にフリーになるので、他の動輪と向きは揃わなくなります。

ここでシリンダーブロックも取り付けておきます。

床板の取り付け

テンダー・先台車とともに、床板をかぶせて前後のネジで留めます。
これでひっくり返しても動輪が取れなくなり、一安心です。

クロスヘッドの組み合わせ

バルブギヤーを組み立てます。
まず、スライドバーをクロスヘッドの穴に後ろから通します。
次に合併テコの先をバルブスピンドルガイドの穴に下から通します。

組み合わせたバルブギヤー

こんな感じです。

バルブギヤーをシリンダーに差し込み

組み合わせたバルブギヤーの前方の3本の突起を、シリンダーブロックの後部の穴に差し込みます。
上側の2本が入ると、とりあえず安定します。一番下のピストン棒や、合併テコが抜けても、あとで付け直せます。

モーションプレート台座の固定

モーションプレートの裏側のパイプを、シリンダーブロックのピンに押し込みます。

メインロッドの穴を合わせる

動輪を指で回し、第三動輪の穴にメインロッドの穴を重ね合わせます。

リターンクランクの取り付け

その穴に、リターンクランクのピンを差し込んで固定します。
9600の場合、動輪のピン穴が一番下に来たときに、リターンクランクが少し後方に傾くような角度になります。
(D51など他の形式ではほとんど前方に傾きますが、マイクロエースのD51は大半が後方に傾いているので、あらかじめ確認しておくことが肝心です)

完了

ボディーをはめ込めば完了です。

これでスムーズに転がらなければ、残念ながら運がありませんでした。

D51は

D51の分解方法も、9600とほぼ同じなので省略しますが、ダイキャストブロックを外すと次のようになっています。

D51内部

このように、ウォームとモーターがシリコンチューブでつながっているので、モーターだけ引き抜いても走れません。
旧動力ユニットの場合、動輪を外さなくても、少し左右のダイキャストブロックを緩めてウォームを取り出すことができますが、旧動力ユニットの場合はどうしても分解しないとウォームを外せません。

また、内部のギヤの数には時期によって違いがあります。

D51モーター撤去

さて、D51の場合ですが、9600よりさらに重く、動力車が頻繁に空転してうまくいかないものがほとんどのように思います。
またギヤの連動位置が9600と異なるため、内部のギヤを外すとかえって動輪がうまく転がらないこともありました。

従いまして、D51+9600の重連ならば、9600のモーターを撤去して様子を見るのがよいように思います。
また、多少の無理を感じても、何とかそのままで重連するようであれば、モーターの撤去はせずにガマンするのがよいかもしれません。どちらも不可だと困ってしまいますよね。

私は試していませんが、モーターを外すのではなくゴムタイヤを外して、積極的にスリップさせて吸収しようという方もいらっしゃいます。


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