マイクロエースのD51と9600の重連が協調しにくいので、一方のモーターを撤去できないかとのお問い合わせがありました。
確かにこの組み合わせは極端に速度が違うので、スムーズに重連しにくいです(それでもキマロキセットは発売されたのであった…)。ゴムタイヤを傷めそうな気がして、私もあまり長時間は重連させないようにしています。
撤去自体は比較的簡単です。ただし、本来の目的を達しようとすると、色々問題もありました。
モーターを外したり、動力部を分解しているだけですので、通常の動力メンテと同じです。
しかし、分解が原因で車輌を壊したり不調をきたしたりしても、私にはどうすることもできませんのでご了承ください。
個体差によって、噛み合わせが固くて外れにくい場合などもありますので、無理を感じたらおやめください。
これ自体は簡単です。
はじめに… |
ボディーを開くときには、ランボード下側のディテールをへし折らないようにします。また、キャブは別パーツの接着なので、キャブのあたりを開くと接着が外れる恐れがあります。 ボディーを少し開きながら、モーターの後部を下側にずらすようにすると、動力部がボディーから抜けてきます。 |
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ボディーを外すとモーターがむき出しになります。 モーターの後部は、軟質プラのモーター押さえでダイキャストブロックに固定されています。モーター押さえは、下部を両側にぎゅっと開きながら剥き取るようにすれば、後方に引き抜くことができます。 |
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こんな具合です。 |
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モーターを外す前に、どちらが上になっていたか、モーターに印をつけておくとあとで便利です。 モーターはまっすぐ後ろに抜けば簡単に取れます。9600の場合、ウォームがシャフトに直付けされているので、一緒に外れてきます。これで動輪はフリーとなって、指で回せるようになります。 |
運がよければ、これで他の機関車に押したり引いたりしてもらえるのですが、私がいくつかテストしたところでは、うまくいかないケースが多々ありました。
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うまくいけばラッキーですが、もともと、重連すると動きがぎこちないのでモーターを外そうとしたのに、
その結果、別の理由で動きがぎこちないのでは、意味がないですよね。
この9600の場合、内部に残っているギヤも撤去すると、走行中のスリップはなくなり、動輪がうまく転がるようになりました。
それでも抵抗は大きく、相棒が時々空転してしまうのは変わりませんでした。
以下は単に、普通の分解掃除の手順と同じです。
時期によって内部の構造には少し違いがありますが、方法は概ね同じです。
初めてのときは、1手順ごとに写真を何枚も撮り、部品の向きや取り付け位置がわからなくならないように対策することをお勧めします。
機関車を裏返し、床板の前後2箇所のビスを緩めて外します。 |
床板を外すと、テンダーと先台車も外れます。 この状態でひっくり返すと動輪がこぼれ落ちてきますが、最後に組み立て直すので、特に気にする必要はありません。 |
シリンダーブロックのビスを緩めます。シリンダーブロックは外さなくても左右の分離はできますが、外したほうが楽かと思いました。 |
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シリンダーブロックを少し持ち上げて浮かせ、前方に引き抜きます。 |
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モーションプレートの裏側にはパイプ状の突起があり、これがダイキャストブロックのピンに差し込まれています。 かなり固いことがあるので、勢い余って思い切り外側に飛ばしてしまわないように注意します。あまり固いようだと、ちぎれる恐れがないとはいえないので、外すのはあきらめます。 |
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これで、4つの動輪はロッドごとダイキャストブロックから外れます。 第二動輪にはクランクピンがないので、単独で外れます。 |
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内部のギヤを取り外すため、ダイキャストブロックの左右を分離します。 |
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ネジを外したら、慎重に手前側のダイキャストブロックを持ち上げて分離します。 左右のブロックの間には、ギヤのほか、絶縁スペーサーや絶縁ブッシュが入っています。どちらか一方のブロックにくっついていることがあるので、知らぬ間になくさないよう注意します。 機種によっては、前後のネジに違いがあることもあるので、確かめておきます。 |
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内部に残っているギヤを外します。 |
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ダイキャストブロックを元通り閉じ、前後のネジで留めます(写真は使い回しです…)。 内部のスペーサーを忘れないようにします。また、前方のライトユニットがきちんとはまるように気をつけます。 |
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動輪を取り付ける前に、第三動輪のリターンクランクを外しておいたほうが楽かもしれませんね…。 |
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外すには、メインロッドの下側に細いピンセットなどを差し込み、テコの要領でクランクピンを持ち上げるようにします。慎重に…。 |
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クランクピンを外したら、サイドロッドを残して、ロッドやバルブギヤー部が動輪から外れます。 なお、青い矢印で示した部分は、ただはめ込まれているだけなので、外れることがあるかもしれません。外れたら、元通りはめ込んでおきます。 |
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動輪を元通りはめ込みます。もうギヤがないので面倒な位相合わせは必要ありません。また、第二動輪は完全にフリーになるので、他の動輪と向きは揃わなくなります。 ここでシリンダーブロックも取り付けておきます。 |
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テンダー・先台車とともに、床板をかぶせて前後のネジで留めます。 |
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バルブギヤーを組み立てます。 |
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こんな感じです。 |
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組み合わせたバルブギヤーの前方の3本の突起を、シリンダーブロックの後部の穴に差し込みます。 |
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モーションプレートの裏側のパイプを、シリンダーブロックのピンに押し込みます。 |
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動輪を指で回し、第三動輪の穴にメインロッドの穴を重ね合わせます。 |
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その穴に、リターンクランクのピンを差し込んで固定します。 |
ボディーをはめ込めば完了です。 |
これでスムーズに転がらなければ、残念ながら運がありませんでした。
D51の分解方法も、9600とほぼ同じなので省略しますが、ダイキャストブロックを外すと次のようになっています。
このように、ウォームとモーターがシリコンチューブでつながっているので、モーターだけ引き抜いても走れません。 また、内部のギヤの数には時期によって違いがあります。 |
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さて、D51の場合ですが、9600よりさらに重く、動力車が頻繁に空転してうまくいかないものがほとんどのように思います。 |
従いまして、D51+9600の重連ならば、9600のモーターを撤去して様子を見るのがよいように思います。
また、多少の無理を感じても、何とかそのままで重連するようであれば、モーターの撤去はせずにガマンするのがよいかもしれません。どちらも不可だと困ってしまいますよね。
私は試していませんが、モーターを外すのではなくゴムタイヤを外して、積極的にスリップさせて吸収しようという方もいらっしゃいます。