Nゲージ蒸気機関車2014年のメモ>2014.1.5

ノイズ音源の簡易蒸機サウンド

ホワイトノイズ音声を走行用電流と一緒にレールに流し、車両で拾ってスピーカーを鳴らす方式です。
今までに度々紹介されており、模型誌のご作品の中にも、この仕掛けを組み込んだものがいくつもあります。

過去のTMSを読み返していて、今更ではありますが試してみました。よくわからずやっている部分もありますので、不正確なところがあると思いますがご勘弁ください。


参考記事

  1. 鉄道模型趣味 1989年8月号(No.518)「Nの蒸機をやさしくサウンド化」
     おもにこちらを参考にさせていただきました。
  2. 鉄道模型趣味 1979年9月号(No.378)「パワーパックに接続して使う サウンドシステムの製作」
     こちらは蒸機だけではなく、電気機関車や電車のホイッスル、ホーン、ミュージックホーンのサウンドジェネレーターも紹介されています。
     部品定数など細かい部分の考え方の参考にさせていただきました。
  3. 鉄道模型趣味 1975年3月号(No.321)「FM放送の局間ノイズを利用して 蒸気の音を出す!」

ほか、各号の機関車のご作例なども参考にさせていただきました。ありがとうございました。

原理

ザーッというホワイトノイズの音声をレールを通して機関車に送り込み、機関車に積んだスピーカーを鳴らします。
音源は外部にありますが、音は機関車から出ます。

高周波を利用して実用性を高めた市販品も存在し、ある程度の普及もみせていますが、ここで作ったものは単純に音声そのものをフィーダー線に混合して車両に流し、スピーカーで拾います。
混合された電流をそのままスピーカーに流すと、出力の大きいパワーパックの直流電流でスピーカーがだめになる恐れがあるので、間にコンデンサーを入れて直流をカットします。音声信号は交流として振舞うので、コンデンサーを通り抜けてスピーカーに流れます。

そのほか地上側の回路としては、やはりパワーパックの電流が音源(FMラジオ等)に直接流れ込まないように阻止するコンデンサーと、逆にノイズ音声がパワーパック側に流れ込まないように阻止するコイルを仕掛けます。

音源は

音を機関車で作り出すのではなく、ホワイトノイズ音声を外から送り込むので、そのための音源が必要です。
昔はFMラジオの局間ノイズが使われました。ただ、今のラジオは電子選局により「局間」の概念がなかったり、局間のノイズが自動的にカットされたりするので、使えないこともあります。
幸い、どこの国で作られたのかわからない超安物のラジカセがあったので、それを使いました。

ツェナーダイオード等を利用したホワイトノイズ発生回路もよく紹介されています。

PCや携帯オーディオからMP3等でノイズ音声を再生したり、ノイズ発生アプリを実行して利用する方法もあります。ただそのままでは音が小さいのと、製作のミスでPC内部にパワーパックの電流が直接流れてはマズそうです。私は間にどうでもいいアンプ(PC用のアンプ内蔵スピーカー)を挟んで試しました。

ここに書きますのは私のずさんな作例であり、個人の限られた環境のみで通用しているものです。
製作された結果については一切の責任が持てませんのでご了承ください。明らかな間違いがありましたらご指摘いただけますと大変嬉しいです。

回路と部品

パワーパックとフィーダーの間に割り込んでノイズ音源を送り込む地上回路と、スピーカーを積んだ車載回路からなります。

地上回路

図1 地上回路
パワーパックと並列にノイズ音源を接続し、フィーダーに送り込みます。

(1)FMラジオに接続するジャック

(2)無極性電解コンデンサー 100μ(マイクロ)50V
 パワーパックの直流がFMラジオ等の音源に流れ込むのを防ぎます。交流は通すので音声信号は通り抜けます。

(3)チョークコイル(トランスで代用)
 音声信号がパワーパックに流れ込んで、線路への出力が弱くなったり、イヤなこと(?)が起こったりするのを防ぎます。コンデンサーとは逆に直流は通すので、走行用電流は通り抜けます。

(4)パワーパック(走行用端子)接続コード

(5)フィーダー接続コード

車載回路

図2 車載回路
レールから拾った電流からノイズ音声を取り出し、動輪の接点で断続させてスピーカーを鳴らします。

(6)無極性電解コンデンサー 10μ 25V
 パワーパックの直流がスピーカーを直撃するのを防ぎます。交流は通すので音声信号は通り抜けます。

(7)スピーカー
 壊れたDCCデコーダーから取得しました。インピーダンス不明です。

(8)シンクロ接点
 動輪の裏にセロテープを貼って1回転2箇所(お好みで)の通電部分を作り、リン青銅線を曲げたバネで拾います。

無極性電解コンデンサ

コンデンサーは10μとか100μとかの容量になると電解コンデンサーになりますが、極性があってはまずいので、無極性(=両極性・双極性)電解コンデンサーを使います。
写真左が10μ25V、右が100μ50Vです。電圧は高くてもよいですが、あまり高いと急にデカくなって車両に積めません。

スピーカーのインピーダンスが8Ωくらいなら車載用は10μ、100Ωくらいなら2.2μなど、変えている例もあります。

普通の(極性のある)電解コンデンサーを2本使い、マイナス極同士をつないで使う方法もありますが、特に車載用はスペースが小さいので、1本で済む無極性のほうが簡単です。

チョークコイル

チョークコイルはどういうものを用意すればよいか、はっきりわかりません。最初の記事に関しては「小型トランスで代用」とありましたが、小型といっても相対的に色々ありますものね。ここはパワーパックの電流も通ります。

ラジオ用の1mH〜4mHくらいの高周波チョークでは、低周波の音声信号は通してしまいますから使えません。波形を調べる道具もないので効果のほどはわからず、色々なトランスをつないでみて、音の様子(変なノイズが入らないか)や走り方の影響を見ながら決めました。
※通常モーター・コアレスモーター、電球・LED、トランジスター式パワーパック・パルス制御式パワーパック等、各種にて

結局、ベルトが溶けて回らなくなっていた古いテープレコーダーから電源トランス(写真右上)を取り出し、その2次側のコイルを使いました。これが一番「感じ」が良かったです。あと最近の小型のものは別ですが、昔のごろんとした重いACアダプタ内にもトランスが入っていると思います。

ステレオプラグ

FMラジオのノイズはヘッドホンジャックから取り出しました。ラジオ側はステレオですが、車両側はモノラルになります。

最初の記事では、ステレオのラジオには必ずステレオプラグを使い、図のようにLRの2本をまとめるようにとあります。こうしなくても、普通にモノラルプラグの接続コードを使えば問題ないと思ったのですが、実際にやってみると、記事のとおりステレオプラグの2接点をまとめたほうが音量が少し大きくなりました。
モノラルプラグでも、配線が正しければステレオの片チャンネルがなくなることはありませんが、まとめ方が違っているために違う結果になったようです。

ただし、普通のモノラルプラグのコードを使っても多少音が小さい?程度ですし、特にアンプを挟むのであればそのままでよいように思います。

ヘッドホンコードの芯線は、熱によって表面の絶縁被覆を溶かす方式なので、ハンダごての先端にハンダをよく載せて、そこに浸すように何秒かおいてハンダめっきします。

地上回路製作

地上回路試作

地上回路は適当なラグ板にまとめてテストしました。
写真では普通の電解コンデンサーを2本使って試作しています。

この状態で色々な車両・いくつかのパワーパックを使い、最適な(といっても手持ちの部品の中ですが)トランスの選択やコンデンサーの容量を確かめました。

地上回路のケース組み込み

ケースは余っていた食品入れです。このトランスは特に発熱しないのでプラ容器でも大丈夫ですが、気持ち的にはもっとちゃんとしたケースに入れたいところです。

地上回路完成

完成です。ステレオプラグは先ほどのように電線のまとめ方を変えたため、ちょっと体裁悪いです。熱収縮チューブなどあればすっきりまとまるのでしょう。

このプラグをFMラジオなどのヘッドホンジャックに差し込みます。あとはフィーダーをつなぎ、レールにスピーカーを当てて「シューッ」と音がすればOK。
※パワーパックもつなぐときはスピーカー側にもコンデンサーを忘れずに。

車載回路製作

無難に旧製品のKATO製D51を使いました。構造が単純で(ライトもない)、回路が間違っていても壊す要素が少ないからです。使い道も広いですし…。

スピーカー用の穴

スピーカーは石炭の裏側に上を向けて取り付けるので、石炭にドリルでボツボツと穴を開けます。
記事のとおり0.5mm程度のドリルで開けると、ほとんど(びっくりするほど)目立ちません。

私は最初、何も考えずに1.2mmくらいで開けたため、さすがに気になるようになり、あとで1つずつパテで埋めて狭くしました。
写真はその様子です。何となく怪しいでしょう…?

スピーカーの固定

穴をあけた石炭をバッフル板?とみなしてスピーカーを固定しました。
石炭が立体のため、そのままでは密着しません。あらかじめスピーカーの外周をパテで埋めて隙間を少なくし、ゴム系接着剤を多めに付けて固めました(本当にガッチリ固定して取れなくなるのも困ると思いまして)。

テンダー内の配線

無極性電解コンデンサーをテンダーの床に置き、片方の集電板とスピーカーに柔らかいリード線(ヘッドホンコードの芯線)でつなぎました。

最初、電解コンデンサーを集電板に直接ハンダ付けしたのですが、コンデンサーの硬いリード線に負けて集電板が浮き上がることがあったので、フニャフニャのリード線に変えました。

写真ではわかりにくいですが、次のように配線しています。
(1)手前の集電板と、コンデンサーの片足
(2)コンデンサーのもう片足と、スピーカーの赤線
(3)スピーカーの黒線からエンジン側にリード線(動輪の接点と接続)

線の色分けは成り行きです。

ウェイトの取り付け

配線を傷めないようにウェイトを置き、ネジ留めしました。ウェイトは未加工です。ちょうど後ろの切り欠き(一部の旧製品でコンデンサが入っていたところ)に電解コンデンサの頭が収まります。
※主に品番206時代の特に古い製品には、この切り欠きがありません。

この状態でスピーカー部をかぶせやすいよう、石炭の側板の角穴は下に切り開いておきました。

なお、ウェイトを入れないほうが、テンダー全体がエンクロージャーとなり、いくぶん聞きやすい太い音になります。
しかし、その代わりにどうしても集電性能が落ちます。ウェイトを入れないもの・カットして一部を入れたものなどいくつか試した結果、自分としてはそのままウェイトを入れたほうが快適に使えました。

動輪接点の作成

今度はエンジンの接点です。当初気が重かったのですが、作ってみると割と簡単でした。

接点のバネはある程度弱くしたかったので長めにとり、第二動輪に接触させることにしました。
途中で1回巻いて床板にネジで留め、後端にテンダーのスピーカーからのリード線をハンダ付けします。

床下に余裕がほとんどないので、アンカプラーなどにつっかえないよう注意が要ります。ネジの先が貫通して金属部に接触してはいけません(音が出っぱなしになります)。

第二動輪の裏側には、約120度の扇形に切ったセロテープを2箇所貼りました。よって動輪1回転に付き2回のチャフ音になりますが、Nゲージではちょうどよいかもしれません。
角度は最初、記事に沿って90度にしたのですが、低速時に間延びしたため、何度か調整して狭くしました。通電部分を狭くしすぎても、スピードが乗ったときに変になります。

完成

完成しました。レールに乗せて変箱をつなげばOKです。
音のほうはDCCサウンドにはかないませんが、遊んでいる身にはそう変というわけではなく(周りはどうだかわかりませんが)、ちゃんと動輪とシンクロするので気分がいいです。

さて、誠に申し訳ないのですが、手持ちのボロい道具とヘボな腕では、動画も音声もまともにとれませんでした。
本来、「シュッ…シュッ…」の間の部分はモーター音しかしていないのですが、全体にジリジリいう不快なノイズが載ってしまい、ひどい動画です。
この世のものとは思えない最低画質と最低音質です(おまけに重い)。晒してみます。

→宇宙一汚い動画 約20秒 MPEG-1形式・2.03MBMPEG-4形式・1.35MB

そのほか

ちょっとした工作の割に面白く遊べました。
ですが、上記のようにいい加減に作っている部分が結構ありますので、ここで何かをおすすめするものではありませんのでご了承ください。

動輪のコンタクターが意外と簡単に作れたので、DCCでもチャフシンクロ付きのデコーダーを使ってみたくなりました。動輪の動きに音声が直接シンクロするのはとてもいいものでした。


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