Nゲージ蒸気機関車2014年のメモ>2014.2.12

D51北海道形(プラ製品)

KATO製品も発売されましたので、「切詰デフ+密閉キャブ」の姿で3社から出ているプラ製品を、発売順に並べてみました。
この11年間で、小型のモーターが使えるようになったり、いわゆる細密化が行われるようになったりと、おおまかな流れの変化があります。


全体(非公式側)

公式側の写真が多いので、また非公式側から。
(気のせいか落ち着かない感じですが)

マイクロエース

2003年 マイクロエース
「D51 398+キ604」キマロキ編成セットより。
恐らくプラ量産品初の晩年型です。

この頃はKATOもマイクロエースも、まだSM5タイプの(今から見れば)大きなモーターでした。

リアル・ライン 2007年 リアル・ライン
モーターが小さくなってボイラーに収まりました。
プラ製品ではありますが、それまで個人の改造の範疇と考えられていた細かいディテール表現を標準で行うなど、発表時にはファンの度肝を抜きました。
KATO 2014年 KATO

コアレスモーターの採用とギリギリの設計?で大きさはほぼ基本縮尺ぴったりになり、値段も安いという強力な製品になりました。

全体(真横)

マイクロエース

2003年 マイクロエース
大型モーターのため腰が高く、エンジン部が長く調整されていました。

リアル・ライン

2007年 リアル・ライン
エンジン部の大きさは同じぐらいですが、テンダーを思い切り引き寄せて全長を短くし…

KATO

2014年 KATO
…ここでエンジン部の長さも短くなりました。

発売の第一弾が北海道形であり、その形態にこだわっていたリアル・ラインのテンダーが、標準タイプだったのは不思議な気もします。
当初から、その後の標準タイプのほうを重点的に展開する計画だったのかもしれません。

前面

マイクロエース
2003年 マイクロエース
全体の寸法のコンセプトと、実際に使えるモーターとのギャップに立ち向かった表情。なおデフ前の手すりは3社で唯一、きちんと抜けたプラモールドです。
リアル・ライン
2007年 リアル・ライン
手作り感が強いですが、このあたりをふわっと見たときの「北海道型らしさ」はとてもよく出ており、それは今見ても変わらないと思います。
KATO
2014年 KATO
最新製品らしく整っています。KATOが作るとKATOの顔になっているのが面白いところ(それは、マイクロエースもそうなのですが)。
マイクロエース
2003年 マイクロエース
副灯のレンズはこの頃すでに銀で表現されています。
リアル・ライン
2007年 リアル・ライン
まるで金属のように見える薄いデフ、実はプラ製です。これはしばらく気付きませんでした。
KATO
2014年 KATO
バネ箱の角ギリギリにあるテールライトは、バネ箱上面の網目板(外せます)と一体です。

これら3つを混ぜますと、さすがにマイクロエース製品は形や高さの点ですぐに区別できるのですが、リアル・ラインはKATOと並んでいても極端な違和感はないように思います。もちろん各部の様子はだいぶ違うのですが、模型の雰囲気づくりが上手かったのだと思います。

ついでにKATO外観小ツアー

密閉キャブなど、特徴的な部分のみ簡単に。
なお付属ナンバーのうち、D51 467が密閉キャブ改造されたことがあるのかどうか、自分の中では若干の謎です(手持ちの本からもすぐには見つけられず、途中で挫折)。
(2014.2.17追記) 教えていただきまして判明しました。詳しくはページ末尾にて。

煙突
回転式火の粉止めは煙突と一体になっており、分離はできないようです。
標準形と違い消灯機構はないので、無理に回さぬようご注意。
テンダー
上段にある後部ライトのレンズの導光部は内側に貫通しているので、点灯改造する際に便利かと思います。もしかしたら内部にサウンドデコーダーを入れる際には、ものによりカットが必要かもしれません。
キャブ公式側
側板側にはみ出した旋回窓枠が作られています。ランボードに沿ったテンダー予熱管は、キャブ下配管+従台車バネと一体で、先端(左端)がボイラー脇に差し込まれています。
分配弁は耐寒型ですが、ドロダメは耐寒カバーのないものに見えます。
キャブ非公式側
こちらの前面窓はHゴムです。発電機の排気管はキャブ屋根まで伸びていません(北海道形はそれが普通)。細かい配管表現も標準形とは異なります。
実物には凍結防止用の細い蒸気管も要所に設置され、カマ全体からもうもうと蒸気が上がっていることがありました。
連結面
実物でも北海道形の密閉キャブはドアが後付けのため、テンダー前面を切り取って当たりを避けています。機炭間隔は実物とほぼ同じなので、石炭皿もキャブ内に入り込んでいます。曲線通過のため、キャブ後妻の開口部が少し左右に広げられています。なお最小通過半径はR249、標準通過勾配は4%です。
キャブ後部
標準形ではキャブの雨樋・手すりと水撒管がつながったパーツでしたが、北海道形では水撒管のみ別パーツです。やむなく激しい線形のレイアウトを走らせるときは(大型蒸機では避けたほうがいいと思いますが)、水撒管を後ろに引き抜いて外せます。

公式側

公式側

実物がさまざまなだけに、人により細かいことを言い出せばきりがないもしれませんが、典型的な晩年のD51の特徴は十分よく押さえられており、この価格でここまでのプラ量産品が出る時代になったのは嬉しいことです。
私は車両自体に手を入れる動機がもうほとんどありません。増炭枠の木目??に手を入れたり、遊びで速度検出器のシャフトを伸ばしたり、全体のウェザリングなどはやってみたいですが、何かもったいなくて(笑)。
それよりレイアウトが釣り合わなくなり、何とかしたくなってきました。

今の季節、除雪列車もいいかもしれません。
マイクロエースがロータリー車を単品発売してくれると喜ばれるかも…。

ロキ

D51 467について当時の情報をいただきました。1975年8月の「旅」臨時増刊号にて、1975年6月12日〜15日にかけて撮影された同機の写真があり、その時点で開放キャブでした。
廃車まで5ヶ月を切り、もう次の冬を越すことはなくなった時点での撮影ですから、これが最終形態のようです。ただしそれまでのことはわかりません。

キャブはタブレットキャッチャー付きで、縦樋がかなり上のほうから斜め後方に曲がり、タブレットキャッチャーを避けています。よくあるタブレットキャッチャー部だけの逃げではありません。しかも左右で曲がり方が違います(力ずくで曲げたようにも見える)。防寒カーテンも付いています。 テンダーは標準タイプに増炭枠付きで、増炭枠の後部は垂直です。
デフの点検口は縁取り付きで、後側・下側ぎりぎりに開いています。逆止弁は耐寒カバーのない標準型です。またモーションプレートは前方の穴が1個のタイプ(KATOでいえば旧D51)です。
お調べいただき誠にありがとうございました。おかげさまでやっとスッキリしました。

せっかくナンバーがあるので、キャブをカットしたり、標準形のテンダーに振り替えたりして改造するのも面白そうです。


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