Nゲージ蒸気機関車2015年のメモ>2015.6.22

トミーナインスケールの電動ポイント


「わが国鉄時代 Vol.14」の中に、室蘭本線の由仁付近の田んぼの脇をD51のコンテナ列車が走っている爽やかな写真がありました。
ふと撮影日の「’75.8.9」を見て思い出しました。この日自分がどこで何をしていたのか。

…おっと残念、写真の1年後の1976年8月9日のことでした。レイアウトのベニヤ板にトミー製のポイントを取り付けておりました。
今のお盆休みとやっていることは同じだなぁ…。

まだ当時のポイントが手元にあります。
トミックス製品の前からNゲージをなさっていた方にはおなじみだったと思いますが、自分も久々に見てみたかったので、ダンボールから引っ張り出しました。

電動ポイントと手動ポイント

1976年当時、トミーのポイントは4〜5番の「19″ポイント右・左」と、もっと分岐の急な「8″ポイント右・左」がありました。
各々手動と電動がありました。

19″手動ポイントはまだいくつか手元にありますが、電動の在庫はこれだけです。もうボロボロです。
電動ポイントからコントローラーとスイッチマシンを抜いたものが、手動ポイントとして売られていました。値段は電動が1,500円、手動が800円でした。なお当時の関水金属(KATO)の手動ポイントは900円でした。

ポイントの使い方

不鮮明で申し訳ありません。台紙の裏側の説明です。

当時のトミーの固定式線路はバックマン製で、現在のファイントラックとまったく異なる規格です。
ポイントを付き合わせてできる複線間隔は32mmでした。現在のファイントラックは37mmですから今より狭く、KATOの33mmとほぼ同じです。
しかし本線用の曲線レールは半径8インチと9インチの2種でしたから、曲線部分の複線間隔は25.4mmということになります。これでは渡り線部分と複線間隔が違うので、単純な複線エンドレスが作りにくいような気がしますが、当時のレイアウトプランからはそんな様子は見て取れず、ちょっと不思議です。

ポイントの配線

電動ポイントのスイッチマシンは当時一般的だった3線式で、付属のコントローラーを使ってAC端子に接続していました。
ちなみにこのタイプのスイッチマシンは、本当はACでもDCでも差し支えありませんでした。電磁石のコイルが2個並んでいて、どちらか通電したほうに鉄心が吸い込まれるだけだったからです。ACだと切り替え時に振動を伴った「ブン」というような大きめの音が混じります。

電動ポイントは電流を一瞬だけ流すようにしないと焼けてしまう、というのは初心者でも基礎知識として知っていましたから、操作するときは緊張しましたよね。

バックマンのレール

ついでに、当時のバックマン製のレールの箱でございます。

KATOの電動ポイントセット

さらについでに。KATOのポイントは紙箱入りの本体と、各種スイッチやコネクターをばらばらに買い揃えるものでしたが、後年はトミー同様にブリスターパックにすべてをセットした製品も発売していました。
本当は上の三角のところに押しボタンスイッチが入っているのですが、それだけ取り出して使ってしまいました…。

KATOの固定式ポイントの在庫がなくなって5年以上たちますが、押しボタンスイッチは今でも買うことができますね。これを使ってうまく配線すると、非選択式のポイントをあたかも選択式のように使うことができるので便利です。私は今でも使っています。
押しボタンスイッチ

トミーのポイントに戻ります。
もう40年経っている製品ですが、通電して動かしてみます。

通電

コントローラーにポイントからの3線プラグと、パワーパックからのACコードをつなぎます。
つなぐとレバーの方向に応じて緑・赤のランプが点灯します。AC17.5Vでずっと点きっ放しになるので、当時も電球が早く切れそうで気がかりでした。

切り替え

レバーを切り替えたい方向に止まるまで動かし、さらに少し力を加えて動かすと、スイッチマシンに通電してポイントが切り替わります。
すぐに手を離せば、バネの力で元の位置までレバーが戻ります。

反対側に切り替え

反対側も同様です。こちらは赤のランプが点きます。ランプの色で定位・反位がわかる楽しい仕掛けです。
定位・反位を逆にしたいときは、3線プラグを逆向きに差し込めばOKです。

内部の電球

レバーの向きに応じて赤・緑のランプが切り替わる仕組みはシンプルです。

レバーの中ほどに、電球が直接仕掛けられていて、レバーと一緒に左右に移動します。
その光が赤・緑のどちらかのレンズを通して見えるというだけです。

模型用の光源としてはまだ電球が主流でしたが、当時すでに赤や緑のLEDは一般的な品であり、容易に入手できました。この頃、KATOの初代キハ82のテールライトに赤色LEDが採用されたことがありますが、すぐ電球式に変更されました。

内部のバネ

レバーを動かし、さらに強く押して戻す仕掛けは、端についている板バネによります。
写真のように少しバネが壁から浮いてセットされています。レバーの角がこのバネを押し付け、手を離せば元の位置に戻ります。

電動ポイント全景

手の届かないところにあるポイントを遠隔操作して、列車を好きなところに進行させる楽しさは、今の製品と何ら変わるところがありません。

なお、この製品のポイントコントローラーやスイッチマシンのコイルは、単品のカタログ商品にはなっていなかったと思います。紛失・破損があれば修理扱いだったでしょう。
※補足:その後、コントローラーを別売している小売店の広告を発見しました。
翌年には今に続く「トミックス」にバトンタッチしますが、この固定式線路も「N式レール」(だったかな?)の名称で、何年か併売されていました。


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