昔のといっても最初期のではなく、アトラス製品になってからのものです。今のユニトラックにはないレールがいくつかありました。
現在の機関車を走らせたらどうなるかと気になって、引っ張り出しました。
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1972年頃の、関水金属「レイアウト・プラン集」のページ画像を引用させていただきました。当時のポイントのラインナップです。
品番もアトラスと同じでした。何となく見慣れたものもあれば、今のKATO製品においては見慣れないものもあります。
6番ポイントは今のユニトラックにもあります。なぜか、ポイントの種類が豊富なトミックスにはこういう大型ポイントがありません。
上が標準電動ポイント、下が6番電動ポイントです。フツーの形のポイントです。
標準電動ポイントのほうは、今の4番ポイントと大体同じ長さですが(124mm±1mmで、結構ばらつきがありました)、6番ポイントは今のユニトラック版と結構違った大きさです。
ユニトラックは道床幅が広いので、元のサイズでは直進側と分岐側の道床やジョイナーが重なってしまい、その先のレールをつなぐことができなかったようです。それで分岐側に少し延長されています。
重ねてみるとこんな感じです。番手は同じですが、ユニトラックは分岐側の線路が長くなっています。
昔の6番ポイントを向かい合わせにして渡り線を作ると、複線間隔が標準の33mmになりますが、今のユニトラックの6番ポイントでは49.5mmになります。
ユニトラックの初期はまだ4番ポイントがなく、6番ポイントのみだったので、複線間隔33mmの渡り線は簡単にはできませんでした。あとになって複線間隔33mmのダブルクロスが発売されましたが、4番ポイントの発売はずっとあとでした。
これは標準電動ポイントの箱です。中身はアトラスですが、パッケージは関水金属のデザインでした。
標準電動ポイントは、その後関水金属のアレンジが加えられてオリジナルとは違ったものになり(特にポイントコイルや配線システム)、箱もスリムになって10年くらい前まで生き残っていました。
一方6番電動ポイントは、最後までアトラスの配線システムのままだったと思います。
カタログなどでも目立つ存在でした。実際にレイアウトに固定して使用されていた例はあまりないと思います。
省スペースでヤードを作るにはとても便利そうなものですが、私も実際にレイアウトで使ったことはありません。何となくヤバさを感じるところもありまして(笑)。
どういう役割の線路なのか、見たまんまです。
6番ポイントのRとLを重ねたような、左右対称の分岐です。
なおトミックスの3方ポイントも役割は同じですが、トミックスは異なる2つのポイントが直列したような構造であり、左右の分岐半径が異なります。
3方への進路の切り替えは、独立して動く2つのトングレールによります。
スイッチマシンも左右に2個付いており、それぞれ片側ずつのトングレールを動かします。ポイントコントローラーは普通のものを2個使います。
レールの外観だけ眺めると、こんなのでちゃんと切り替えができるのか?と思ってしまいますが…。
それはまあ、それなりにできています。
両方のトングレールをまっすぐにして、ストックレールに密着させると、気持ちとしては中央に直進します。
右のトングレール(写真では上側)を動かして隙間を作ると、気持ちとしては右側に分岐。
逆に、右のトングレールを密着させて左を離せば、気持ちとしては左に分岐します。
改めて、これらのレールのつながりをたどってよく見ていただくと、
「いや、これはおかしいだろ(笑)」と感じられるかもしれませんが、
私もなぜ通過できるのかよく分かりません(笑)。
無謀にも、当時よりもはるかに薄いタイヤ、低いフランジを持った現在の機関車を走らせてみます。
選手は、昨年発売されたKATOの新C11です。理由は、手の届くところにあったから。
テストコースは単純です。道床のないプラ枕木の線路、「9mmゲージ」って感じです。
まずは中央の直線経路です。
C11が超スローで進入します。
シャッター速度を遅くしているので速く見えますが、じわりじわりと進んでいます。
ゆっくり、ゴトゴト通過していきます。脱線はしていないようです。
止まった(笑)
超スローはやめますね。普通の速度より、やや遅めでいきます。
出発進行!
「ゴトゴトゴト」
乗り心地は悪そうです。
無事通過です。当たり前かもしれませんが。
写真を省略しましたが、バックして元の位置に戻りました。帰りも脱線はしませんでした。
次は右コース(写真では上側)です。
出発します。
「ゴトゴトゴト」
脱線と復旧が繰り返されているんですかね…。
でも通過しました!また、バックして戻ってきました。
左コースも同様に通過できました。
実は、このように根元から分岐側-つまり対向側-に走行させるときは、意外に脱線しません(車両によると思いますが)。
何回も、何十回も走らせていると、逆の背向側に走らせるときに脱線することがあります。
これは右向きに走っていまして、一応通過はしたのですが、
通過直後に「ゴトリ」
動輪が脱線して、車体が傾いています。10回に1回ぐらいでしょうか。
でも、現代の車両と昔の気難しそうなポイントの組み合わせで、この程度の脱線頻度に収まっているのは意外でした。
トミックスのC57も、バックして右方向に通過するときだけ、先輪が脱線しました。
実は、トングレールが当たる部分のストックレールが少し削り込まれている関係で、ゲージが部分的に9.7mmぐらいに開いているところがあり、そこに車輪が落ち込みがちになるのです。
KATOのD51(新)も同じ傾向でした。
レール自体にも製造のばらつきがありそうなので、もっとうまくいくもの、うまくいかないものがあるかもしれません。
これはスリーウェイと同時代の、KATOの旧D51です。さすが当時の組み合わせ、どの方向にも脱線せずに通過できました。
…というのも偶然かもしれないんですよね。というのは旧D51も、当時の普通のポイントや普通のカーブで脱線することもありましたし。
固定式レイアウトを作るとき、線形や施工方法によって、どうしても脱線する箇所ができることがあり、原因がわからなくて泣きたくなったことはありませんか。どんなにゆっくり通過させても、先輪がポンと脱線したりして。本当に悔しいんですよね。
続きます。
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