Nゲージの小型Cタンクを積極的に発売しているトーマモデルワークスから発売された、動力付き完成品の模型です。
プラ量産品に比べて圧倒的に少量生産である(と想像される)金属完成品でありながら、本体価格はギリギリ2万円を切っており、ずいぶん安い価格に思えます。
キットの発売も予定されていますが、これを書いている時点では時期不明です。
ユーザー取り付けの付属パーツも少々あります。
カプラーの取り付けは必要として、次は個人的に必須なナンバープレート、あとは付けても付けなくてもお好みでよいと思います。
箱の中身です。
機関車本体のほか、冷却管とつかみ棒のエッチング板、ナンバープレート、カプラー、その取り付けネジ、そして6角穴付きボルトが入っています。
6角穴付きボルトはサイドロッドを外すときに使います。これを使う必要が生じたときは、何か下廻りに厄介なことが起きたときかもしれません。
パーツのエッチング板は黒に着色済みなので、すぐ使うことができ大変楽です。
製品に関係ありませんけども、エッチング板の枠の隅に丸い穴が開いていて、その周囲だけ塗装が剥がれています。もしかしたら塗装の際に、治具のようなものにネジで留めてあった跡でしょうか。
でもこの穴の裏側には、塗り残しが全然ないんですよね。
パーツは固い板の上で、カッターで押し切ってみましたが、これが予想以上に固い!無理せず続きはニッパーを使いました。
公式側の冷却管を付けました。
一番上の管の前端を、内側に短く直角に曲げ、細く切った両面テープ2枚で機関車側面に貼りました。写真で赤く着色したあたりの裏側にテープを貼っています。
非公式側の冷却管は少し前方にずれており、前側がランボードに載る格好になります。その部分にのりしろのようなものがあるので、ヤットコで内側に直角曲げしておきます。
こちらも2箇所を両面テープで貼りました。後方はタンク側面に、前方はのりしろの下側をランボードに重ねて貼りました。
つかみ棒もエッチングで、左右別々に取り付けます。
写真の赤い部分に両面テープを貼り…なのですが、私は直接ゴム系接着剤を塗ってしまいました。コニシのボンドGクリヤーです。
ランボードの前端に切り込みがあるので、そこに外側からつかみ棒を差し込み、端梁の裏に重ねて接着しました。
その後、ごく少量の瞬間接着剤を合わせ目に付けて固めました。瞬間接着剤は失敗すると白化したり、表にはみ出したりするので、無理に固めないか、別の方法を考えたほうがよいかもしれません。取れたらまた付け直せばいいですしね。
ナンバープレートは赤色に塗装済み・磨き出し済みです。切り口が各プレートの下側に来るように作られているので、切り離したあとのヤスリ仕上げも楽です。…といっても小さいので私はもう素手で持てません(笑)。実機の写真などを参考に、前後左右4箇所にゴム系接着剤で貼りました。
次はカプラーです。ダミーカプラーが付属していますが、マグネ・マティックカプラーやカトーナックルカプラーとも一応手動連結できます。
このダミーカプラーは、3Dナックルカプラーという名称で別売もされています。
その名の通り3Dプリンターで製造されているようです。表面の特徴的な模様や着色の様子を見ますと、恐らく業務用 Projet 3500HDMax系のプリンターで、Ultra High Definitionモードの黒色アクリル製ではないかと思います。
マグネ・マティックカプラーNo.1015も適合するとのことなので、後部カプラーはそれを使うことにしました。写真左がNo.1015です。KATOが扱っているNo.2001と違い、組み立てに熱着や接着がいらないので楽です。ただ取扱店が少ないので私はめったに使いません。
No.1015の取り付けネジはM1.2ですが、この製品はM1.4ネジで留めるようになっているため、1.4mm→1.5mmドリルでカプラーの取り付け穴をさらっておきました。
しかし、後部のカプラー取り付け穴はどれだろう…?
矢印のところに小穴が開いていますが、大きさが小さすぎるようなので、これではなさそうです。
恐らく、その後ろにある短いネジを外し、代わりにカプラーをネジ留めするのではないかと考えました。
いったんネジを外しました。
しかし問題が…付属のカプラー固定ネジは、No.1015を取り付けるにはギリギリ短くて、メスネジに届きません。もうちょっとのところなんですが、無理にギュウギュウ回すとネジを舐めそうなのでやめました。
無理をせず、もう少し長いネジを探しました。
今までワールド工芸のキットを組み立てて、少しずつ余った予備のネジをとっておいたところ、ないものはないほどの在庫になりました(笑)。
よし、ちょうどいいネジがあった!
行きましょう、鉄郎。
今度はピッタリ付きました。高さも規定通りでした。
約1時間で部品の取り付けが終わり、完成品が素組み完成しました。
もともとの組み立て・塗装もきれいにできており、別付けパーツでそこそこの精密感も出ます。ちょうどいいバランスの外観表現かと思います。
(拡大写真)
走りも結構静かで低価格の組み立て品の割には滑らかです。まあ、キットを組み立てて成功したぐらいの感じ(前にも同じようなことを書きましたが…)でしょうか。時間をかけて入念に調整すればさらに行けるかもしれませんが、十分だと思います。
お好みで安全弁を金で塗ったりしてみても引き立つかもしれません。筆を持つ手が滑ってキャブなどにベタッと金色が付かないように、ちょっとマスキングしておいたほうがいいかもしれません(などと書いているときは、たいてい過去にやらかしています)。
全体の構造は昨年の龍ヶ崎4号機に似ているようで、ボイラーはパイピング一体表現の鋳造品なので一定の重量があります。キャブやサイドタンクなどはエッチングで、リベット表現は柔らかめです。
なお昨年の日車Cタンク動力改良版や、龍ヶ崎4号機の動力とは、軸距離が違うほかモーターも異なっており、そのままの流用ではありません。
メーカーの公式サイトでこの機関車の3Dイラストを最初に見た時は、結構大きく見えたのですが、実物は想像したよりも小さかったです。
トミーのK.S.K.タイプCタンクと並べるとこんな感じです。
こちらはKATOのD51標準形と。
今後もこういう低価格で手軽な完成品が出るといいですね。組み立てよりも、走らせる遊びを直接楽しみたいこともありますからね。
ただ海外生産の製品価格は、ちょっとした情勢の違いで変わってしまいますよね…。一度高くなったものが再び安くなることはまずありませんし。
たまたま線路に載っていたセキ3000×8両とヨ5000の貨物編成は、平坦線で普通に牽けました。また固定式線路のポイントのフログも普通の低速で止まることなく通過できました。
あまり無理をさせて調整が崩れたりすると後悔しそうなので、限界に挑戦というようなことはしていません。自分で組み立てたわけではないため、調整のポイントも体得していませんので、あるものを大事に使います。