Nゲージ蒸気機関車2019年のメモ>2019.8.7

D51 だらだら3D出力

先月D51のデフ周辺をいくつか作ったのですが、その際画面表示用に作ったD51素体があったので、きちんと造形できるように作り変えてみました。KATOのD51標準形の動力に被せられるように、少しずつデータを修正してきたものです。
KATOのD51自体には特に不満がないため、わざわざ上廻りを3Dプリンターで置き換えるのは有意義に感じませんが、自分でも一応やってみたかったという感じです。
まだ、あまりうまくできていません。


造形用モデル

データはとりあえずエンジン部のみです。造形後の膨張具合を見込んで寸法を決めていますが、やってみないとわからないところもあります。やってもわからなかったりします(笑)。

造形中は、造形物が1層ごとに強くFEPフィルムから引き剥がされるので、ある層で急に面積が変わったりすると、色々と造形結果に問題が起きます。なるべく各層の面積が均一になるようにモデルの傾きを検討しました。ほか、正面の煙室扉になるべく不自然な積層縞ができないことも考慮しています。

今回は出力寸法の様子を見るだけなので、積層ピッチはやや粗めの0.05mmにしました。もっとも、このあたりが、この低価格プリンター(Anycubic Photon)にはちょうどいいところです。全体に、ぼやっとした作りですので。

修正のため何度も再プリントすることが予想されるので、面倒ですがサポート構造は自分で3Dモデリングしておきました。D51自体のデータ作成にはのべ1週間もかかっていませんが、サポート構造を作るのにはそれ以上かかりました。作業自体が気乗りしないうえに、ゴチャゴチャしていますからね…。

今はスライサーがアップデートされ、プラットフォームの引き剥がし時の上昇速度や、それ以降の上昇・下降速度も設定できるようになりました。
各層をそっとFEPフィルムから引き剥がそうと、標準の半分程度の速度にしました。硬化時の発熱を冷やす意味もありました。造形時間は余分にかかりますが、副産物としてモーターの駆動音がたいへん静かになりました(注:Anycubic Photonのモーターはもともと結構静かです)。夜間隣の部屋に置いておくと、稼働している様子がまったくわかりませんでした。

ただ、速度だけ変化させても、造形結果には目立った違いは表れませんでした。単に静かになっただけでした。
造形には、水洗い可能なUV樹脂を使用しました。この樹脂は私には使い方が難しく、上手に使えたことがありません。

造形終了

約8時間後。造形が終了し、プラットフォームからはがしたところです。
プラットフォームからはがしたとたんに、ベース面(ラフト)の中央が持ち上がるように外側に反り、上部の構造物もことごとく外側に開いてきました。
これほどたちまち変形してくるとは予想しなかったので、正直驚きました。

ベース面の初期5層の照射時間が、通常層に比べて極端に長く(80秒取りました)、硬化度合いの差が開きすぎました。

サポート切り離し

モデル部分(D51ボイラー、左右の後台枠)がつられて変形する前に、サポート材をざっくり切り落としておきました。
その後、モデル部分は太陽光で2次硬化させました。切り離したサポート部分は、2次硬化させずに、サンプルとしてそのままとっておきました。

写真でおわかりかもしれませんが、前後の枠状のプロテクター部分が、モデル部分に比べて色が薄くなっています。造形中にUV樹脂の顔料が分離して透けているのです。上に行くにしたがって透けが大きくなっています。
反対に、中央付近に配置されていたモデル部分には、白の顔料が凝集し、表面が石膏のようにざらついています。やはりどうも私には水洗い樹脂が上手に使えませんが、最終出力に使うわけではないので、ここではいいです。

サポート変色

4日後。
「なんじゃあ こりゃあ」

太陽光で2次硬化させたモデル部分は真っ白なままですが、太陽光に当てなかったサポート部分は赤っぽく変色してきました。
使わない部分なのでどうでもいいですが、日に当てなかったところのほうが大きく変化してくるとは思いませんでした。何の色なんだろう…。

サポート変色

モデル部分と同一層で、平面距離も大して違わないところで造形されていたものなのですが、その後の状態変化はこんなに違います。

組み合わせテスト

さて、動力部に組み合わせてみました。
やはり、細部の寸法がいろいろ違い、うまく合わずに難儀しました。まだ完全ではありませんが、何となくかぶせて走れるところまではきました。
旧1/140シリーズのD51に近い部品構成で、ランボードとボイラーは一体にしました。分離しているのは後台枠のみです。
後台枠も旧1/140シリーズと同様、従台車と一体化させようかと迷いましたが、とりあえず現在のKATOのD51と同様に、火室下部に固定する別パーツにしました。

仮塗装

白いままではディテールの具合がわからないので、黒塗装しました。
ディテールは大体思ったとおりに出ていましたが、全体にシャキッと出ず甘いので、もう少し凹凸を強調したほうがよさそうに見えるところがあります。
ドームの形は自分好みに練ったもので、これは自分的にはバッチリ出ていました。反面、同様にデフォルメした煙室扉周辺は、膨張の度合いが思ったより大きく、やや予想イメージから外れています。

屋根

今回は曲面部のドットのガタガタが目立ちにくいよう、アンチエイリアスをかけて出力してみました。
積層ピッチ0.05mm、水平解像度(XY最小サイズ)0.047mmと、決して細かくはありませんが、屋根の曲面部分に積層の線やドットがまったく見えません。
写真は照明を色々回して、最も表面が荒く見えるところを選びましたが、それでも縞々はまったく見えません。
※注:キャブ屋根だけ、ばかによいのです。他のボイラー部分などには、それなりに縞模様があります。

しかし、アンチエイリアスは要するにパターン輪郭のギザギザを補間してボヤッとさせる機能ですから、細かく密集したディテールは甘くなりがちですし、予期せぬ模様が出ることもあります。スライス時のデータ量も大幅に増えるので、ふだん私はあまり使いません。また、デフ側面やキャブ側面のような、平面部の造形ブレによる積層縞を消す効果はありません。

塗装後の仮合わせ

…という感じで、非常に少しずつ続けています。
一度できてしまえば、セルフ・バリエーション展開も楽そうです。ただテンダーも丸ごと残っていますし、それほどモチベーションも高くありません(笑)。いつかは完成すると思いますが、時間はかかりそうです。


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