Nゲージ蒸気機関車2020年のメモ>2020.10.17/2020.10.21

白いタキ3000(KATO)の行方


白いタキ3000について

先日、タキ3000の記事を書いたところ(→タキ3000)、予想以上に多くの感想をお寄せいただきましてありがとうございます。
当時、関水金属とトミーの価格・作りの違いが印象に残っているという方が多く、またトミーのタキ3000の車高を下げようとした方も複数おられました。私も当時やってうまくいかなかったので、何となくまたやってみたくもなりました。

さて、その中で、「KATOのタキ3000には、黒・シルバー・イエローのほか、ホワイトがありました」というお便りがありました。
私は黒ばかり使っていまして、他の色にはあまり興味なかったのですけども、手持ちのカタログや当時の紹介記事を見ても、ホワイトは見つけられませんでした。

実際にお持ちということで、写真も頂きました。ありがとうございました。当初、諸事情で行き違いとなってしまい、掲載できず申し訳ありませんでした。
ご存じの方にとっては何でもないことかと思いますが、今まで知らなかった私には新鮮でした。

白いタキ3000

間違いなく白であり、シルバーではありません。こんなものがあったのですね。

白いタキ3000

表記は通常製品と同様です。あとで塗り足し・書き足したものではなく工場印刷品です。

特徴

以上より、1978〜1979年頃の製品ではないかと思いました。この頃、通常のタキ3000もすでに焼結車輪ではありませんでしたが、3桁品番でケースは古いままでした。
全国的に販売されたものか、限定的に少数が出荷されたものかわかりません。ご存じの方は教えてください。

※何せ、あまり知らない分野なので、「D51にはかつて【なめくじ】もあった模様です」に近いことを書いているかもしれませんがご勘弁を…。

広告写真の謎

知らなかったものは謎になるという程度ですけども、1978〜1980年頃の「鉄道模型趣味」の広告や記事をあたっていたところ、1978年9月号のKATOの広告に、次の写真を見つけました。

鉄道模型趣味 1978年9月号 関水金属広告より画像引用

同誌の誌面画像を引用させていただきました。

新しく出る「レイアウトプラン集」(1978年版)の広告写真ですけども、たくさんの車両が並んでいるセクションの左に、タキ3000の色違いが2種写っています。

鉄道模型趣味 1978年9月号 関水金属広告より画像引用

ここにいた(笑)

これに間違いないです。その後発売されるイエローも見えますが、黒とシルバーはありません。

私が鉄道模型趣味誌を通じて発見できたのはこの1枚だけでした。見落としがなければ、記事、広告にはなかったと思います。カタログにもありませんでしたが、一部の版のみとか、チラシ等にあったのかはわかりませんでした。

ところが

この広告の「レイアウトプラン集」を私は持っていますので、それにもっと写っていないかと思い、ページをめくってみました。
すると。

関水金属 Nゲージレイアウトプラン集(1978年)より画像引用

「関水金属 Nゲージレイアウトプラン集」(1978年)より画像を引用させていただきます。

広告にいた、白いタキ3000がいない!(笑)

関水金属 Nゲージレイアウトプラン集(1978年)より画像引用

部分拡大ですけど、広告では確かにスニ40の端、ここにありました。
イエローは残っているのに、ホワイトが取り除かれています。

他にも多少の配置が変わっている車両はあるので、白いタキ3000だけ除かれているわけではないようですが、これに注目していると取り除かれた意図が何とも謎に思えてしまいます。
面白いですね。

その後

鉄道模型趣味 1979年1月号 関水金属広告より画像引用

先の広告から4か月後の1979年1月号に、タキ3000「イエロー」と、ホワイトの代わりに「シルバー」が登場します。
でも現物がありますので、ホワイトも確かに同じころ、世に放流されていたようでした。

(鉄道模型趣味 1979年1月号 関水金属広告より画像引用)

この方からは、タキ3000にはホワイトのほか、「グレー」の目撃談も頂きました。
都内有名店に入荷し、目の前で見ていたところ、店員氏がそれを取り上げて、他の常連客に「珍しいものが入りました」と見せて売ってしまったそうです。
ああ、何か1度は経験するモヤッとする光景…。

シルバーがくすんだような、ねずみ色1号のような配色で、こちらも表記その他はシルバーとまったく同じであったということです。
これも手持ちの資料からは手がかりがありませんでした。


タキ3000(グレー)

2020.10.21追記 「グレー」をお持ちの方から写真を送っていただきました。ありがとうございました。

タキ3000(グレー)

まさに、ねずみ色1号的なグレーです。まったく馴染んでいます。
(車輪とカプラーは別物に交換されています)

タキ3000(グレー)表記

レタリングも通常通り、工場で印刷したものに見えます。

タキ3000(グレー)ハッチ付近

この個体は上部のハッチ部分の塗りがやや薄く、黄色っぽい下地が透けています。
こういう成型色なのかもしれませんし(電気機関車のスカートなど、グレーのパーツは後日このように黄変することもありました)、部品繰りの都合で、当時すでに発売されていた「イエロー」の余ったパーツを塗り直したのかもしれません。

タキ3000(ホワイト)

この方はホワイトもお持ちで、最初に情報を頂いた方のホワイトと確かに同じもののようです。

「グレー」についてですが、この写真の製品は青・銀インサートのケースで、品番は枝番なしの「8008」(通常の黒と同じ)であるそうです。
であれば1981年以降でも、何らかの広告がなされているかと思ったのですが、メーカー広告は手持ちの資料からは見つけられていません。

しかし、鉄道模型趣味 1981年10月の表紙の片隅に、ようやくそれらしきものを見つけました。画像引用させていただきます。

鉄道模型趣味 1981年10月号より画像引用

これがそうだと思います。イエローや通常の黒タキと並んで、一番下にグレーが見えます。

最初、試作品が偶然流れたのかなとも思いましたが、メーカーの方から、ホワイトとグレーを一度販売したことがあると伺った方もいらっしゃいました。シルバー・イエローと同様、KATOのタンク車の種類が少なかった時代において、色々な用途のタンク車を想定して遊んでほしい、というサービス的な商品だったのかもしれません。昔、ブルートレインの牽引用としてEF70のブルーを発売したことがあったように。
また台湾に、タキ3000に似たグレーのタンク車があり、中にはだいぶ白っぽく見えるものもあるようで、これらの製品と雰囲気が似ているなと思いました。

ただ、同じ時期からあったシルバー・イエローと違い、ホワイト・グレーがなぜ一緒に広告されなかったのか、なぜ枝番が与えられなかったのかは個人的には謎です。立場的にちょっと低いといいますか。何しろ昔のことなので不明です。

すでに古くなっていますが、たまたま私が持っている1997年の海外向けカタログから。
私はほぼ国内オンリーのため、これらが商品なのかサンプル写真なのかはわかりませんが、色替えされているのはタキ3000だけではないですね。
少々画像を引用させていただきました。一部は1995年に日本でも販売された「F-3トレインセット」に含まれていたものと同じようです。

KATO International Model Railroad Catalogより画像引用

表紙を開くとさっそくタキ3000とホキ2200が。
先頭に立っているのはHeavy Mikadoです。

KATO International Model Railroad Catalogより画像引用

お友達と。別な塗色です。

KATO International Model Railroad Catalogより画像引用

タキ43000もちょっと何かされている感じですかね。

KATO International Model Railroad Catalogより画像引用

タキ3000シルバーには、ちゃんと枝番が付いて掲載されていました。

KATO International Model Railroad Catalogより画像引用

余談ですけどもHeavy Mikadoの1997年時点のバリエーション。
見事な数ですね。こっちの世界にハマっていたら大変だったでしょうね。

他にもピンポイント的に作られたものや、サンプル的な塗色の車両はあるのかもしれません。
知らなかったものについて、ここまでお付き合いいただきましてありがとうございました。


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