昔発売されていたバンダイの鉄道玩具「ミニミニレール」の不動品がいくつかあったので、修理のため中を見てみました。
プラレールに比べるとサイズはかなり小さく、軌間は約10.5mmです。惜しいところでNゲージの9mmには届きません。よほど動力機構がギリギリだったのか、単純に実物の1067mmゲージを約1/100にしてみたのでしょうか。
直そうと張り切っていたところ、何度か電池を入れなおしたりスイッチを入れなおしたりしているうちに急に動き出しました。
古い玩具でよくあるような、金属接点の接触不良か、ギヤ類の軽いグリス硬化などが原因だったのではないかと思います。
このあとは、開けてみただけです。
ボディーは電池交換のため、上に引っ張ればパカッと外れます。
シャーシ上部に電池受けがあり、丸まった透明シートで挟み込むようにして単5電池を2本入れます。
単5電池は同じバンダイのミニミニカー(電動ミニカー)にも使われていました。
火室下部の箱状の部分にモーターが入っています。第4動輪との間にちらりとウォームが見えます。
第4動輪のみ底部にギヤが露出しており、ゴムタイヤが付いています。
この動輪は、同シリーズの新幹線や国電に使われている車輪と同じ直径です。
シャーシの上ふた(電池受けの部分)は、4つのタッピングビスを緩めると外れます。
シンプルな動力機構が現れます。モーターが完全に床下に収まっているのは地味にすごいです。
上ふた(電池受け)の裏側です。右前方の側面に電源スイッチがあり、電池受けの端子とモーター端子には金属板で回路が作られています。リード線は使われていません。
電源スイッチは接・断のみで逆転機構はありません。
モーターは当時の電池式玩具では最小の部類であったキャラメル形です。レーシングカーの玩具などで何かと目にした形状ですが、あまり模型工作用として単体販売されていたことはなかったように思います。
モーター外装の金属板の片側には紙が貼られていました。この上に重なる配線の金属板との絶縁用かもしれません。
ウォームは第4動輪のギヤ軸と噛み合います。ご覧のように駆動軸は1軸のみです。
ロッドは当時おなじみの一体形状に打ち抜かれています。
おもちゃとしてはごく普通です。
なぜか第4動輪のみ、若干シャフトが長くて左右間隔が広いのは、ロッドの引っ掛かりを避けたのでしょうか。
この動力、D51だから成立したのかもしれません。この大きさの車輪でもD51ならそこそこ感じが出ますし、何とかランボード下に収まりますからね。C62やC57ならデザイン的に苦しかったかもしれません。
動輪の横動にはまだ余裕もありそうなので、台枠などをもう若干狭め、9mmゲージとして作ることも不可能ではなかったように思います。改造して9mmに改軌することもできそうです。
ただ、このような車輪形状とフランジの大きさですので、市販のNゲージの線路を普通に走ることは難しそうに見えます。犬釘にガタガタ当たるでしょうし、ポイントにも詰まりそうです。
商品には「小さいながらもデザインは精巧にできておりますので、マニアの方にも満足していただけます」のような文言がありました。
向こうはミニミニレールの重連(並べただけ)、手前はKATOの旧D51です。実際こんな並べ方をすると、かなりいい線いっている玩具のように見えます。
単体で見るとやはり模型というよりは玩具というほうが似合いますね。しかしD51の感じはけっこう出ていまして、煙突の形など部分的にはマイクロエースのD51よりよく見える箇所もあります。
何とか先輪が付いていればぐっと映えたかなと思います。自分で付けても面白いと思うのですが、これで今更遊ぶのかというと残念ながらそれもないので、このままです。
モーターが完全床下収納のため、キャブ内にバックプレートもあるのが意外な強みです。上下を留めるネジはすごいんですけども(ネジって場所取るんですよね…)。
編成は客車1両で少々物足りないので、試しに同じ客車を2両・3両とつないでみますと、さすがに1軸駆動では苦しいようです。実用になるのは大負けに負けて2両まででしょうか(計4両)。長編成にしたければブースター客車が要りそうです。
次の修理はこれ…だったのですが、やはり何度か試してみたら動き出しまして、終わりになりました。
おもちゃの動力も、自分で何か工作をする折には大変参考になります。