Nゲージ蒸気機関車2021年のメモ>2021.10.23

プラ製C55のランボード調整(1/80)

だいぶ前に買った天賞堂の「No.51006 C55 3次型標準タイプ」です。縮尺1/80の中国製プラ製品です。


高級ブラス製品とは方向性が違う低価格の普及商品で、2005年の発売当時の価格は39,000円+税でした。
同縮尺のKATOの低価格プラ製品とはかなり表現構造が違います。

ランボードが

ランボードの食い違い

全体的にぐにゃっとした模型のため、あまり細かいところの整合には興味を持っていなかったのですが、非公式側のランボードの高さが給水ポンプの前後で違うのが少々気になるようになってきました。

あれC55の3次形ってこういうものだっけ、とぼんやり眺めていましたが、違うゾ(笑)。

ランボードの食い違い

前方ランボードとボイラー下端の間に隙間があり、前方ランボードの後端が少し下がっているようです。実際、そのランボードを押し上げてみるとぐらぐら動きます。

何らかの事情でこのように設計されたのではなく、組み立ての際かその後にズレてしまったのかもしれません。よく見ると、そのせいで周辺の配管にもズレが出ているような気がします。

分解

分解図

どこかのはめ込みが外れているだけかもしれないと思い、分解して調べることにしました。→分解遊び(笑)。 私は天賞堂のプラ製蒸機を分解したことがありません。

この種の製品には説明書に分解図があるので役立ちます。各部の取り付けネジや配線の取り回しまで記されているわけではないので、そこは自分で考えながら分解します。おっかなびっくりです。

ボイラーは主台枠前方の1本のネジで留まっていました。ネジを外してボイラー前方を持ち上げると動力から少し浮いてきました。

上下分離

後部は2か所のツメで留まっていました。
結局、1.前のネジを外す→2.前方からボイラーを浮かす→3.後部端梁のツメを外す の順でした。けっこうはめ合わせはきつく、外すときは摩擦感がありました。

ボイラーと動力部はヘッドライトのリード線でつながっていたので、切らないように取り外してあります(ボイラー側基板の取り付け部のキャップを外すと取れます)。「左」と書かれた黄色いテープは私が貼ったものですが、ヘッドライトはLEDではなく電球で極性はなかったようです。

後部のツメ

後部を引っ掛けてあった2個のツメと角穴です。

機炭間の配線はコネクターがなく外せないので、ドローバーも連結したままにしておきました。この模型は機炭間隔が固定式で結構広いです。

テンダー内

ちなみにテンダー内にはサウンド準備加工がなされています。オプションのLTM角形車載スピーカーを取り付ければサウンドシステムコントローラーSL-1で音を鳴らすことができます。テンダーの車軸のひとつに接点が付いています。

もちろんDCCデコーダーの8Pコネクターも用意されています(LTMスピーカーとの同時装着は不可)。

スピーカーを装着しないと、せっかく装備されているこのメカはひっそり眠っていることになりますね。

ランボード調整??

ランボード

ボイラーはプラ製ですけども、ランボードはダイカストでしょうか。金属鋳造のようです。一部塗料が剥がれていて気づきました。

後方ランボードは内側のタブがボイラーにネジ留めされています。一方前方ランボードはネジ留めされておらず、タブはボイラーに重なっているだけです。ここは確かに浮いていましたが、ぴったり押さえてもまだ前後のランボードは完全な一直線にはなりませんでした。どこがおかしいのか…。

ランボードのねじれ?

てきとうに画いた絵です。どうも前方ランボードの後端が少し下がっているのと同時に、それぞれのランボードに若干のねじれがあって、横から見ると食い違っているように感じました。

後部ランボード

後方ランボードはネジで取り外せるので(一部接着されている配管は剥がれます)、両端をヤットコで挟んでひねってみました。もし劣化していたらポキンと折れる可能性もあり、あまり思い切ったことはできません。ただ多少は直りました。

この模型の配管にはプラ製の部分と金属線の部分がありますが、低価格品のため固定方法は簡易的です。配管留めがなく接着されている箇所もありますし、端が未固定でぶらぶらしているところもあります。これはこれで、手作業による組み立てを早くするためによく考えられているのだと思います。

前方ランボード

前方ランボードはデッキと一体化している大きな構造のため、外すのは最初からあきらめ、できる範囲で修正しました。

後部の浮きは、自分でタブに穴をあけ、1.2mmネジでボイラーに固定しました。ボイラー側にはちゃんとネジ留め用の穴が準備されていました。

逆止弁破損

しかし、ランボードをぎゅうぎゅう押して曲げていたら、片手が逆止弁を押さえつけていまして、先端のハンドルをもぎ取ってしまいました。
こういう不注意がたびたび入ります。

修正後

修正後です。前方ランボードのうねりが結構あって完全には食い違いが直りませんでしたが、ある程度はましになりました。これ以外にも何だか曲がっているところはたくさんありまして、大体同じ程度に揃っていればいいかなと。
私は同時に発売されたC57も持っていますが、そのランボードもこれぐらいの感じでした。

折った逆止弁は手作業で直すことができました。0.3mmドリルで慎重に穴をあけ、0.3mm洋白線を芯にしてつなぎ合わせました。だめなら3Dプリンターで出し直そうと思っていました。

再組立て

ライト配線接続

組み立てる前に、外したリード線を再びつなぎました。穴に通してキャップをはめます(ハンダ付け不要)。

そのあとリード線を噛みこまないように気を付けて、ボイラーと動力部を元通り組み合わせました。

これ以上何もありませんけども、写真のみ貼ってみます。

C55 3次形 公式側

コンセプト的に私には合っている製品でした。ちょっと買ってみようかなという気になりましたし。手ごろな価格で買って遊べることを狙った商品なので、高級品とは作りの考え方が色々違います。分解しても意外な作りになっているところがありました。
こちら側のランボードはズレてはいませんがご覧のとおりで、突っ込みどころは色々かもしれませんね。個体差も相当あると想像します。

写真では未取り付けですが、他にディテールアップ用として、前後のステップ・ドレインコック・シリンダー尻棒などの別パーツがたくさん付属しています。

C55非公式側
C55前側

せっかく装備されているサウンド機能を使ったことがないので、どんなものなのか一度遊んでみたいです。

この商品はC55が3タイプ(すべて3次型)、C57が5タイプ同時に発売されました。取扱説明書もC55・C57の共通になっています。

実物の特徴を模型でどう表現するかを考えるにあたり、メーカー品や人様の作られた模型は大変勉強になります。
ただ、あまり詳しくない機関車の模型を作る際、他の模型だけを参考にして楽に作ろうとしても難しいと思います。その模型が表している形が本当は実物ではどうだっだったのか、結局調べる必要がありますからね。…どうしてもわからなくて、とりあえずあの模型と同じにしておこう、みたいになってしまうことはありますね(笑)。


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