Nゲージ蒸気機関車2021年のメモ>2021.12.11

KATOの動輪輪心を交換

ボックス動輪のC12

ロッドが外され、なぜかD51のボックス動輪が適当に付いたC12が出てきました。
6年前、3DプリンターでD50を試作した際、スポーク動輪を提供するため犠牲になった中古品のようです。

今なら家庭用の3Dプリンターでもスポーク輪心を(形だけは)作ることができるので、試しにこの使わなくなったボックス動輪をスポーク輪心に作り変えてみようと思いました。
それができれば、もし今後またD50などを作ろうとしたときに、C12やC56の動輪をかき集める必要はなくなります。


中心を残して輪心を除去

KATOの輪心にはシャフトが直接固定されており、一定の精度が必要なので、自作の輪心にポンと交換することは簡単にできません。
…交換自体はできるでしょうが、私の道具と工作力ではまともにセンターが出ないと信じます。上手な方なら適切な造形と樹脂の選択で実現できるかもしれません。

精度が必要な中心部は残し、輪心体の外側だけを取り除いて交換してみることにしました。中心部を残す考え方は10年近く前にネットで拝見したことがあります。どなたのサイトだったかわからなくなっており申し訳ありません。ありがとうございます。

ボックス動輪のカット

なるべく動輪を分解したくなかったので、輪心の一部をニッパーでカットしておおまかに取り除けないかと考えました。

数か所ニッパーを入れてみましたが、表面を少しかじり取っただけで、その先うまく事が運ぶ様子が見えません。すぐやめました。

動輪の分解

ピニオン抜き(ギヤプーラー)を使ってシャフトを抜き、動輪を分解しました。

輪心は金属車輪の裏側に開いているいくつかの穴から、少しずつ各部を押し出すようにして外しました。クランクピン穴のボスを裏側から押すのがかなり効きましたが、とても平均に力を入れて外したという状態ではありません。

多少曲がったとしても、再び金属車輪の内部に押し込むので、それほど問題が後を引くことはないだろうと期待します。

中心部の取り出し

あとは削り放題なので、不要な部分をパチパチとニッパーで切り、ナイフとヤスリで整えました。

もっともこの素材はきれいなヤスリがけは難しいです。何個かやりましたが、たぶん形は不ぞろいになったと思います。

中心部の取り付け

金属車輪に中心部のみを押し込みました。完全な形だった時に比べて外れやすくなっていると思うので、ぴったり接着するのがよいかもしれません。今はただ差し込むだけにしてみました。

左右の動輪の組み付け

左右の動輪を元通りシャフトに圧入しました。片側を90度先行させます。

KATOのシャフトは位相が合わせやすいよう角形に面取りされています。先端部の形状も工夫されており、位置を探りながらゆっくり差し込んでいくと、ちょうどよい角度で収まるようになっています。

工場で手作業で量産するのですから、組み立てやすいように工夫されているのですね。

丸穴を削ったもの

金属車輪にはボックス動輪の丸穴が4個開いています。スポーク輪心にするとこれがもろに見えると思います。意外と気にならない可能性もあり、なんともいえません。

一部動輪はリューターで多少丸穴の形を変えてみました。あまり広げると車輪が歪む恐れもあるので不徹底なまま終えてしまいました。夜間だったので機械の音を長時間出せなかったというのもあります。

内側を黒で塗ったほうが目立たないか、塗らないほうがかえって目立たないかも、この時点では何ともいえませんでした。
→最終的に作った結果を見ますと塗ったほうがよいように感じます。

C12に取り付けてみたところ

この段階で一度動力車に組み付けて走らせてみることにしました。
もし走りが悲惨になっていたら、この時点で失敗です。

試走

とりあえず見た感じでは異状はないようで、一安心です。
微細な見方では影響は出ていると思いますけども。

ギヤプーラーと万力

動輪の分解とシャフト圧入に使った、ユニバーサルピニオン抜きと万力です。

なるべくまっすぐ引き抜き、まっすぐ差し込む助けになるものであれば、別の道具でもよいと思います。

新しい輪心の製作と取り付け

D50の動輪モデリング

最終的にD51の動力部に戻すことを想定し、D50の動輪輪心をモデリングしました(15本スポークタイプ)。第1動輪と第4動輪は実物では微妙に違いますが、寸法を読まないとわからない程度なので作例は同じにしました。

残した中心部の切削サイズがばらばらなので、恐らく内側はぴったり合わないと思います。大きめに作ってはおきますが、かつ1個1個現物合わせで削ることを前提にしました。

造形時のサポート役になることも考慮して内周にもフチを付けました。

細いプラ帯を1本ずつ貼り付けてスポークを作っていったほうが楽しいように思いますが、私がやると悲惨な結果が見えるので、便利な機械に頼ってしまいました。 デジタル製作なら誰にでも同じようにできます。

サポート付け

スライサー(ChituBox)に読み込んでラフトとサポートを付けました。

サポートは基本はオートで付けましたが、いちいち先端が少しずれて輪心表面にはみ出していたので、手作業で少しずつ調整しました。まあいつものことです。

初めの頃のバージョンに比べればスライサーのオートサポートは著しく良くなっています。最終調整は必要であるものの、だいぶ頼れるようになってきています。

(造形:Phrozen Sonic Mini 4K/xULTRAT BLACK/t0.035/4s 室温25〜26℃)

造形終了

約50分で造形できました。トミックスのようにポンと交換するというわけにはいきませんが、この程度のものにはなりました。

取り付けテスト

改造用に買ってあったD51に取り付けてみました。走りにも見た感じでは怪しさがなく(スポーク動輪のD51は十分怪しいですが)、もし将来またD50を作ることがあれば使えるとは思います。今回はただ輪心交換をやってみただけです。

D51への取り付け

忘れないようにメモ: なぜか第1動輪ピンがぴったり奥まで差し込めず、所定の位置から0.3mmほど浮いてしまい、クロスヘッドと干渉することがありました。
若干ピンを削って調整しました。

ケース収納

すぐ使う予定はないものの、本来のボックス動輪に戻すのも面倒なのでそのままケースに入れました。

もしこのまま使わずに忘れてしまい、あとで普通のD51のつもりで取り出したら結構ショックを受けそうです。


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