古い話ですが「子供の科学」の1964年10月号です。発売は9月だったので東海道新幹線の開業直前の号です。
やはり当時の最新の話題として、あちこちのページに新幹線技術についての紹介があります。ほかにも隅々まで実に面白いです。
このページの誌面画像は、すべて「子供の科学」1964年10月号(誠文堂新光社)からの引用です。
高解像度では載せにくいので、見づらい画像もありますがご了承ください。
表紙は有楽町付近のビルから撮影された、試験走行中の新幹線電車です。
さすがに今見ると設備や建物が時代がかっていますけども、当時としては最新の「現代」の光景ですね。しかし、まだまだ国内には蒸気機関車もたくさん走っていました。
目次です。特集記事「テープレコーダー」「レインジャー7号」も当時の新しい話題です。レインジャー7号とはアメリカの月探査機で、月面に衝突させ、その直前に月面写真を撮影するのがミッションでした。
もちろんラジオ工作や一般模型工作もあり、当時流行っていたスロットカーの工作(HOレーシングカー)や、鉄道模型のHO工作(クルとクモル)などもあります。
この頃は家庭用の小形の鉄道模型といえば16.5mmゲージでした。よってNゲージの記事はまだありません。まさにこの頃KATO(関水金属)では、日本初のNゲージとなるC50の設計をされていたそうです。
こちらは「テープレコーダーの選び方使い方」の一部です(念のため一部モザイクをかけました)。
レコードとは違って録音が自由にできる夢の装置。3万円以下で買えるポータブル機が数ページにわたって紹介されています。
まだカセットテープはなくオープンリールです。
ウチにも赤井電機のテープレコーダーがありましたが、ポータブルといっても重くて重くて、感覚的に30kgぐらいあったような気がします。だいぶ大げさかしら。
さて新幹線です。結構なページ数を割いて、何か所にも分散して新幹線や鉄道技術についての記事があります。
新幹線については12両編成の見取り図と、在来線の列車との違いについて車両面から設備面まで解説されています。
ブレーキや安全装置、フェールセーフの考えに関する解説の一部です。当時の電気試験車が「露払い電車?」として紹介されています。
新幹線以外にも、臼井重信氏による「陸蒸気登場」の記事などもありまして、この号はかなり鉄道成分が高いです。
工作の記事からひとつ…当時スロットカーが流行していたことを受けての記事です。
HOスロットカーといえば電路の幅が16.5mmの規格を指すことが多いと思いますが、この記事ではHO電気機関車の棒型モーターとパワーパックを使うことにより、HOレーシングカーと呼んでいるような気がします(電路の幅についての記載は特にありません)。
記事では車体に市販のプラモデルを利用しますが、動力・集電機構はバラのパーツを買って自作し、コースも自作です。
電路は等間隔に打ち込んだ虫ピンの頭に真鍮線をハンダ付けして作るというもので、周回コースを作るには固定式になりますから、かなり大掛かりな工作になりそうです。完成できた人は少なかったろうと思います。
そういえば昔、古いマテルのHOスロットカーのセットを職場のみんなで修理して遊んだことがありましたっけ…カーブでスピードを落とすタイミングが難しくて、ちょっとでも速度オーバーするとクラッシュして車がポーンと飛んで行ってしまうんですよね。初めて一人が1周完走したときはみんなで手を叩いて大喜びでした。
電路のクリーニングには、私が持ち込んだKATOのユニクリーナーが活躍しました(笑)。
ちなみにこの号の「工作の質問」コーナーには、「Oゲージ用のモーター2個ぐらいで、人を乗せて走るゴーカートのような車ができますか」というのがありました。
答えは、「まずできないでしょう」でした(技術的にはできたとしても、対象が小中学生ですからね…)。
とりとめないのでこのへんで終えます。古い本は広告も面白いですよね。