飲酒後の帰宅の話


今から40年前の正月休みのことです。

遠方の街で働いている友人が帰省したため、車で久しぶりに会いに行きました。
話がはずんでいるうちに、別の友人ら数人にも電話をかけ、これからどこかの店に集まってお酒でも飲もうということになりました。
私は車を置いて、最初の友人と徒歩で約束の店に出かけました。

ちょっとした同窓会となったため少々盛り上がり、何店かを回って終わったときは日付をまたいでいました。

もう公共交通機関はなくなっていたので、私は歩いて帰宅するからと言って皆と別れました。置いたままの車は後日取りに行くことにしました。

しかし自宅までは50分ほどかかります。真冬の冷たい風に打たれながら歩くのはすぐに辛くなりました。今から車を取りに戻ればこの寒さからは逃れられます。飲酒したとはいえ、今の自分はどう考えてもしらふですから、慎重に運転すれば事故も起こしそうにありません。

…と、死神に誘われて向きを変えたところで、急にすべてを失うぞというような未知の圧力を感じ、かけらほど残っていた良識が勝ちました。再度向きを変え徒歩で帰宅しました。

翌朝は二日酔いに痛む頭とともに目が覚めました。帰宅途中のことはよく覚えていなかったのですが、着ていたコートの背中が汚れているのです。 そのうちいくつかのシーンがフィードバックしました。目の前に広がる満天の星空。これは、途中で仰向けに寝ていたんじゃないか?

というわけで、私は幸い今に至るまで飲酒後に運転をしていませんが、歩いて帰るのがいやならタクシーだってあったはずですし、流していなければ公衆電話で呼ぶことも当時簡単にできたはずです。 そもそも二日酔いになるような状態で車を運転できると思ったことが異常ですよね。飲酒した時点で正常な判断力なんかないんですって。


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