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日車35トンCタンク(トーマモデルワークス)

日車Cタンク 3代目と初代

2023.4.18

2017年にプラ製車体とフライホイール付き動力で登場し、話題となった日車Cタンクの3代目です(写真では前が3代目、後ろが初代)。
今回は動力部が待望の組み立て済みです。上廻りも光造形による一体造形となり、大幅に簡単になりました。


キットの様子

組み立てたキットは「#1221 日車35トンCタンク 南薩4号機 動力組立済Aキット」です。
AキットということはBキットも一応あり、そちらは動力が未組み立てのため間違えないように注意です。

部品一式

Aキットの内容(写真)は、組み立て済みのスロー動力・一体造形の車体・カプラー・ギヤカバー、そして安全弁などの小部品です。

模型の制作経験が少なくても、これなら何とかできそうだと思わせます。写真のボディーを写真の動力にただ載せるだけで走りますからね。まあ載せなくても走りはしますが…。

一体式の車体は大変きれいに造形されていました。性質上多少のばらつきは生じると思います。

車体側面にできる斜めの筋目は大変細かくて目立ちません。もちろん目立たないといっても色んな角度から光にかざせば必ず見えます。
私は何もせずそのまま塗りますが、色々な方法できれいに表面を整える方もいらっしゃると思います。

組み立て説明書はPDFファイルです。箱の側面にある2次元バーコードを読み取ればスマートフォンで読むことができます。
私はPC画面で超拡大して見たかったので、PCでURLを入力しダウンロードしました。

組み立て

昨年までのトーマモデルワークスの光造形シリーズとほぼ同じ流れで組み立てました。
正しい組み立て方は説明書に詳しく書かれています。

●準備〜小パーツの接着

穴開け・ネジ切り

車体底部の5箇所の穴を1.2mmドリルで整え、M1.4タップを立ててネジ切りをしました。

青い矢印の3箇所が動力ユニットを留める穴、赤い矢印の2箇所がカプラーの取り付け穴です。

ドリルやタップがないときはネジを使わず、両面テープで車体を留めればできるでしょう。カプラーもオプションのNo.2001を使えば両面テープ留めでも一応間に合うかと思います。あとは工夫次第で。
最近は細いタップを扱う店が減っているような気がします。

サポート痕の整形

後部のステップに細いサポートの一部が残っていますから、ニッパーやナイフで切り取ります。
このステップを誤って折ってしまった時のために、接着用のスペアパーツも含まれているのが親切です。

後部の屋根にもサポートの切除痕が点々と残っているので、平ヤスリで平らにしました。説明書にあるとおり、細かい粉が飛ばないよう、少し水を付けて作業しました。

このほか、車体側面の裾にも一部サポートの跡があったので削っておきました。

後部ライト

後部ライトはサポートからニッパーやナイフで切り取りました。取り付け位置の妻面に小さい凹みがあるので、そこを1.0mmドリルで貫通させて接着しました。普通の瞬間接着剤です。

1.0mmドリルがないときは穴を開けず、ライト後部の取り付け脚も切り取って平らにし、直接接着すればよいと思います。

つかみ棒とシリンダーブロック

前側はデッキにつかみ棒を差し込んで接着し、フレームに左右のシリンダーブロックを接着しました。

シリンダーブロックは、前後2パーツに分かれていた旧キットに比べ、ずいぶんよくなりました。
(旧キットでも別途ホワイトメタルの一体パーツが用意されていました)

つかみ棒はかなり太めに作られてはいますが、折ってしまうのが心配であれば塗装後に接着してもよいと思います。私は塗装後であろうが折るときは折りますので(笑)、先に接着しました。

試走

動力ユニットに被せて試走してみました。組み立て済み動力なのですぐ走ります。

お好みで隙間に少々ウェイトを積んでもよさそうですが、主台枠も含めて丸ごと樹脂製なので、ほどぼどにしておいたほうがよいかもしれません。

塗装するパーツ

以上で組み立てる部品が揃いました。

安全弁はあらかじめ接着してもよいですが、先に接着すると場所的に金色が塗りにくくなるので、あとに回しました。
走っていた蒸気機関車の安全弁や汽笛は必ずしもピカピカの金色に見えたわけでもないので、塗り方は好みによると思います。

●塗装

塗装

使う塗料はプラ模型用になります。缶スプレーで結構ですが、水性のアクリジョンで塗装しました。個人的には結構コツのいる塗料だと思いますが塗膜は丈夫です。
表面の筋目が目立たないようにするにはつや消しがよいですが、せっかくのディテール表現も目立たなくなるので、最近は光沢を半分加えています。

現在、アクリジョンのエアブラシ用うすめ液は改良品になっていますけども、今回は古いほうを使いました。
1年ばかり改良品を使った感じでは、どうも自分には改良前のほうが合っているようでした。単に練習不足かもしれません。

安全弁と汽笛には金を塗り、前後のライトに爪楊枝の先で銀色を色差ししました。

●組み立て

ライトのパーツ

前後のレンズには、指定通りHアイズ3ミニ(クリア)の1.5mmを使いました。
ライト内の上下に微量の木工用ボンドを付けてはめ込みました。私は銀で塗るだけでレンズを入れないことも多いです。

ほか、安全弁を接着し、ナンバープレートと社章を貼りました。
ナンバープレート類は今回のキットには含まれておらず、手持ちの最後を使いました。また買っておきませんと。

ギアカバー

ギアカバーをモーターブラケットに被せて両面テープで留めました。

前後位置がよくわかりませんけども、とりあえず写真の程度にしておきました。

上下合体

動力ユニットを車体の3箇所の穴(青い矢印)に所定のネジで留めました。

写真を撮り忘れましたが、前後の赤い矢印の穴にはカプラーを留めます。付属のカプラーまたはNo.2001が使えます。
No.2001の取り付けネジはM1.2なので、1.5mmドリルを通して穴を拡大し、キット付属のM1.4×L4.0mmネジで留めました。

これで組み立て終了です。

完成

キットではありますが、難しいところはほとんど組み立て済みですから、手軽に済まそうと思えばすぐ完成します。
もちろん手間をかけたい方はどんどん手間をかけていくことができます。
動力ユニットは超低速型のため、小型Cタンクらしく低速をじっくり効かせ、安定して走ります。初代や2代目のキットがうまくいかなかった方も、今度こそ楽しく遊べると思います。

完成

#1221 日車35トンCタンク 南薩4号機
(拡大写真)

とても普通に見える、まとまりのよいスタイルの機関車だと思います。

前方

大きく見えるかもしれませんが全長は端梁間で4.5cm程度しかありません。

カプラー解放テコはもちろん、ボイラーの細い配管や手すりも浮いています。

集電は第1・第3動輪から行われています。

後方から

旧キットの後部妻板は、角窓・丸窓の2種を選べましたが、今回は一体造形で角窓とされました。
サイドタンク上のリベット列や後部の石炭なども、今回追加されたディテールです。

後部は吊り下げ式光造形の上面(サポート側)になるため、ディテールが明瞭に出にくい面です。前面に比べればややディテールが甘く積層の線が大きめですが(写真では特に違いなく見えますが)、それはそういうものです。
吊り下げ式の一体造形は、どの面を捨て面にするかが工夫のしどころでして。

新旧キット

初代

#0621 日車Cタンク(2017年)

初代キットです。コアレスモーターにフライホイール付きの安定した動力です。

上廻りは黒成型のプラキット、下廻りの金属部も黒に着色済みという新しい構成で、未塗装でもそれらしく仕上げることができました。作例も未塗装です。
ただし、動力の組み立てには他の蒸機キットを組み立ててきた経験が必要です。組み立て済みの動輪ギヤに合わせたドライブシャフトの組み立て、噛み合わせ調整、集電ブラシ調整とハードルがいくつかありまして。

2代目

#0623 日車Cタンク(2018年)

初代の翌年に発売された2代目です。

動力部は組み立てを容易にするため大幅に変わり、モーターはキャブ内に縦置きとなりフライホイールはなくなりました。

初代に比べて走りはやや軽く速くなりました。動力部だけの別売もされ、自作車両にも便利に使えました。

3代目

#1221 日車35トンCタンク(2023年)

今回の最新製品です。確実に走りを楽しめるキットになりました。

初代・2代目に比べ造形もシャープになりディテールアップされています。キャブのドア下のステップはなくなったので、何か作って追加するのも面白いと思います。

K.S.KタイプCタンク

HN-502 K.S.K.タイプCタンク(1976年) トミーナインスケール

ついでに、このサイトでCタンクの大きさ基準として出てくるCタンクです。
この模型を生で知っている人は40年以上前からの経験者に限られるはずですが、なぜかそれ以上に有名な気がします。

適当に2軸貨車をつなげば、大体さまになります。

Cタンクと貨物

前回の日車Cタンクの2代目製品のあとには、類似のCタイプ動力を使って龍ヶ崎4号機なども発売されたので、そういった製品も今後は組み立て済み動力で製品化されることがあるでしょうか。まあそれはまったくわかりません。


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