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トミックスのオハ35(雑談)

C57とオハ35

2008.7.29


古くからのファンの方なら、トミックスのオハ35をお持ちの方は多いと思います。1977年の発売当時の状況をご存知ない方のために書きますと、当時プラ完成品の旧型客車はKATOのオハ31系しかなく、より近代的なスハ43系などが欲しいときにはオハ31系で代用するか、初代のグリーンマックスのキットを組むしかありませんでした。

当時のホンコン製のトミー製品は、外観的には精密なKATOの製品にまだまだ及びませんでしたが(その分価格が安いのが武器でした)、オハ35系はそれまでのホンコン製品に比べて数段高いレベルの外観でした。当時よく売れていたトミーのDD13(ホンコン製)などに引かせると、不釣合いな出来栄えに見えました。まあ、機関車に比べればずいぶん単純な格好なので、作りやすかったのかもしれません。

DD13とオハフ33

オハ35系は、当時からさしたる変化もなく最近まで売られており、私はずっと注目していたわけではありませんが、せいぜい車輪の材質やナンバーの印刷方式(後年インレタ化)が変わった程度ではないかと思います。ペーパーで自作してもそれほど変なものにはならない客車でもあり、窓周りの表現も古いですが時代を考えれば悪くはありません。実際に乗っていた方は覚えていらっしゃると思いますが、客室側から見ると、実物の窓枠まわりがごつごつした感じなので、そういう印象が残っているのでしょう。

トミックスのシステム製品は、明るい茶色の道床、赤い鉄橋や開放ランプ、緑のパワーユニットやポイントコントローラー、そして紺色のパッケージという色彩豊かな製品群でした。やや玩具的に味付けされた色調は、ホンコン製品から脱却し始めた当時の車両の作風にもマッチしていて、いかにも楽しそうな製品に見えました。その頃の機関車には、このオハ35系はよく似合います。まだプロポーション的には拙さの残るC57や、旧DD51、DF50などにもマッチしています。ただプラ車輪の頃の台車まわりはさすがにオモチャっぽくて、他社製品と比べてもちょっと寂しい感じでした。

C57とオハ35系

今ではオハ35系といえばKATO製品が普通になっています。が、トミックス製品にはひとつ機能的な長所があります。室内灯もテールライトも取り付けられないため集電機構がまったくなく、最近の金属車輪の製品は転がりがものすごく良いのです。1両だけを写真に撮ろうとすると、手を離すと転がっていってしまうので頭にくるほどでした(笑)。コレクション目的の方を除いては、それだけの理由でこれを買いにいくようなものではないと思いますが…。

さて、現在普通のKATO製品は、最新のスハ43系よりは1つ前の仕様なので、ベンチレーターは屋根と一体成型で、窓枠が車体側に表現されています(ガラスははめ込みです)。しかし、オハ35系はそれくらいの軽い表現が似合うようにも思います。最新のスハ43系の別付けのベンチレーターや窓枠の表現は、逆にNゲージのサイズでは重く見えたりもします。ただ、旧客を気軽であっさりした車両と感じるか、重厚な車両と感じるかは、見る人によって違うでしょう。

いずれにしても、精密度が高くてビシッとできたKATOのオハ35系は、最近の細密化された機関車に引かせても負けませんし、少し前の機関車に引かせても、豪華すぎて目立つようなこともありません。昭和の客車が欲しいというときには無難な模型です。

DD51とKATOのオハ35系

オハ35のサイドビューだけ、ちょっと比べてみました。両社とも青・茶の2色があります。

トミックス トミックス(拡大写真)
トミックス KATO(一般形)(拡大写真)
KATOにはこのほか、半切妻でシル・ヘッダーにリベットのないの戦後形もあります。

おなじみのグリーンマックスや中村精密(→MODEMOに移管)にも古くから旧型客車のプラ製品がありますが、どれも少しずつ表現に違いがあるものの、かつてそのへんに普通にいた旧客の「あの感じ」がよく出ていますね。車高など各社でバラバラですが、それぞれにファンがいらっしゃることと思います。
下の写真は左がグリーンマックス(オハフ61)、右がMODEMO(スハ32)です。これらのシリーズもかなりたくさん出ています。

グリーンマックスとMODEMO

長年お世話になったグリーンマックスのキットも好きですが、今組もうとすると、ベンチレーターの位置決めや、座席の自作が面倒だったりもします。キットを組み立てる人が激減しているため(かどうかは根拠がありませんが)、置いている店もかなり少なくなりました。中村精密は、MODEMOから完成品化される際に座席付きとなっています。

ところで、トミックスのオハ35系でしばしば話題に出る謎ですが…これ、安全に分解できる順当な方法ってあるんでしょうか。ほとんど、肝試しと化しているような気が(笑)。まだ「これだ!」という画期的な方法に出会ったことがありません。


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