Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>2軸客車ハ2・ハ3(トーマモデルワークス)
2021.3.7
トーマモデルワークスは光造形3Dプリントの商品を以前から発売していますが、これは昨年末に発売されたNゲージの最新キットです。
私自身は光造形方式のキットは未経験でした。未塗装板キットのような構成で、パーツ点数が少なかったためこれを選びました。
製品はデッキ外側が手すりの「ハ2」と、板になっている「ハ3」の2種です。
小形の客車はよく知らず、モチーフになっている実物も存じませんが、先に発売された完成品の「ハ1」よりこちらのほうが屋根とのボリュームのバランスが好きです。
「ハ2」です。
光造形に特有な、車体のサポート材は切除済みです。上廻りは歪みも少なく大変きれいに造形されています。私のウデと機材では、こんなにきれいに造形できません。
車端の手すりは非常に細く、ここは破損しないよう注意が必要です。予備が1枚付属しています。
床板は台車枠も含めて一体造形で、こちらは上廻りに比べれば多少の反りがあり、ドライヤーで軽く温めて修正しました。なお通常のプラ模型と同じ加減で温めてしまうと、ある時点から急激にグニャグニャになってしまうので要注意です。
屋根は強化プラとされており、砂のような模様で表面がザラザラに加工されています。屋根の造形はシンプルなものです。
こちらは「ハ3」です。
車端は手すりではなく外妻板となっており、あとは「ハ2」と同じです。外妻板は普通は壊れませんので予備は入っていません。
組み立て説明書はPDFで、箱の横に参照用のQRコードとURLが印刷されています。最初は気づかず公式サイト内を探し回りました。
ちなみにURLは全部小文字です。
説明書はダウンロードして保存しておいたほうがよいです。箱を捨ててしまうと、あとで参照できなくなるかもしれません。
自分が自分の3Dプリンターで何かを作る場合、部品を分割するとまずぴったり合わないため、なるべく一体化しているのですが、このキットは結構よく合うので驚きました。 もちろん光造形式の性質により、サポートが付く側は形が不明瞭になりますし、何となくはめ合わせの手ごたえがはっきりしない箇所もありますが、自分で3D造形したものに比べれば軽微です。
車体には片側に切り口のような痕が微妙にあるので、説明書に指定された箇所を平らに削りました。
同様に妻板も片側の断面を平らに削りました。最初から大して乱れているわけではありません。
車体です。左右の側板と天井、床の一部が一体で造形されており、前後に妻板をはめ込んで接着すれば箱になります。
ひっくり返したところです。側板中央の下にある2つの突起は、床板を固定する際に床板の凹みにはまります。
車体に妻板をはめ込み、裏から少量の瞬間接着剤で固定しました。部品同士はピッタリ合いました。
屋根板です。ムクで歪みなくまっすぐできていました。
この写真ではさっぱり見えませんが、Aの2箇所の袋穴はあとで車体をネジ留めする穴、Bの前後3箇所ずつの凹みは、あとで外妻板や手すり板の上部の突起が入る穴です。
ピンの先などで軽くほじっておきました。Aの穴は特にネジ切りは行わず、M1.4ネジを直接タッピングするのですが、少々浅いところがあったので1.2mmドリルで少し掘り込みました。誤って貫通したらショックですから気持ち深くしただけです。
床板の前後の穴は、カプラーを下からネジ留めする穴です。ここはM1.4タップでネジ切りをしておきました。
年々、タップを売っている店が減っているような気がします。あってもM2.0以上しかないなど。蒸気機関車の金属キットの組み立てではM1.4がほぼ必須なんですけど。
まあ、カプラーを留めるためだけに使いますから、なくても何らかの方法を工夫して付けられるのではと思います。
床板の裏側です。ブレーキの横梁などがいくつか表現されています。
車端部の2箇所ずつの穴には、前後の手すりまたは外妻板の下部の突起がはまり込みます。
「ハ2」では、手すりを先に接着してから一緒に黒で塗装しましたが、「ハ3」では外妻板を車体色と黒に塗り分けてから、あとで床板に接着しました。
ふだん自分で3Dプリントをされている方は、部品をよく見ると、造形の向きやサポートの位置がおおまかに想像できるかもしれません。サポートの影響が少なく、また表面に目立つ方向の線が表れにくいように工夫されています。
ここまで30分程度しかかかりません。手持ちの塗料で適当に塗装しました。車体はいつも茶色にしがちですが、たまに違う色ということで緑色にしました。
プライマーもサーフェイサーも使っておらず、直接塗りました。
乾燥の際、「ハ2」の細い手すりに誤ってドライヤーを当ててしまい、気が付いたら飴のようにぐにゃぐにゃになっていました。熱に対して普通のプラ模型とはかなり違った反応をするので十分注意です。変化が急激にきます(3Dプリンターの光造形樹脂はたいていそんなもので)。
半泣き一歩手前になりながら修正しましたが、完全にはもとに戻っていません。
窓ガラスを貼りました。残念ながら透明板は付属していないので、0.2mm透明プラ板を38mm×6mmに切ってゴム系接着剤で貼り付けました。 手持ちがなければ買ってくるしかありませんが、使うのは少量なので、何かのブリスターパックの一部など、使えそうな透明シートを探してみるのもよいかもしれません。私、蒸機のキャブの窓ガラスなどは結構そうしています。
長いガラスは車体の中に少々入りにくいので、2つに切って1つずつ貼ってもよいかと思います。
屋根を重ね、車体内側から1.4mmネジ(短)で固定しました。セルフ・タッピングになります。
床の前後の梁が邪魔で、ややドライバーが斜めになりましたが一応付きました。
床板に車輪とカプラーを取り付けました。
車輪は付属していないので別途買う必要があります。私はKATOの「11-609 旧型客車用スポーク車輪(車軸長)」を使いました。客車や貨車の交換用に買ってはあったものの、スポーク車輪への交換は始めたらきりがないような恐ろしさを感じて、使っていませんでした。
車輪は軽く回りますが、走らせると軸受けからキーキー音がすることがあったため、針先で軸受けに微量の油を注しました。
カプラーを1.4mmネジ(長)でネジ留めしたら、床板を車体にはめ込んでおしまいです。
カプラーは手動連結タイプのものが付属していますが、マグネ・マティックカプラーNo.2001も付けられるようです。
取り付けたスポーク車輪です。
インレタは手持ちの余りから適当に1文字ずつ拾って貼りました。トミックスの気動車や客車の付属インレタの余りでも、使えそうなものがあります。
「ハ」なんて、面相筆で直接書いてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。私はもう自信ないです…というか自信を持ってやったことはありません。
車体の形をまとめやすいように考えられているので簡単でした。いくつか作っても、ばらつきの少ない出来上がりになるかと思います。
ハ2
細い手すりを熱で傷めてしまいましたが、予備はあるので万一本格的に壊したら交換します。
真鍮線をハンダ付けして作ってもよいですし、自分で3D造形してもよいですね。後者は相当太く作ることになるでしょうけども。
ハ3
細い部分がなくて扱いが気楽なので、もし増備するならこっちかなと思っています。
蒸気機関車と連結してみますと:
トーマモデルワークスの宮崎交通コッペル4号機です。似合っていると思います。
トーマモデルワークスの日車Cタンク(初回動力)です。これも行けますが、4両くらい連結すればもっと似合いそうです。
この初回動力、音は高いですが低速の粘りが非常によく、今でもかなり好きな走りです。
これはキビシイかなァ(笑)。D51は客車も似合いますがボギー客車のほうがいいですかね。スハ32系ダブルルーフなんかはこれにも結構似合っていました。
組み立て労力と結果のバランスがよいキットで、組み立てていて大変楽しかったです。光造形も注意深く設計製造されていれば、ちゃんとキット製品として成立するのがわかりました。
また、ふだん人様の製作した光造形品を直接手に取って見る機会がなかったので、仕上がり具合や造形方法など、勉強になることがたくさんありました。これを参考に自作の際もがんばりたいと思います。
(おわり)